AMD CPUの世代・アーキテクチャの解説と一覧

最終更新日 : 2019/07/11

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CPUは、「アーキテクチャ(設計)」を更新しながら、世代を新しくしていくものです。

その度ごとに性能が上がるのは当然ですが、「何がどう変わったのか」については、特に初心者の人には分かりにくいのではないでしょうか。

ここでは、AMD CPU/APUの世代に関する解説と、各世代ごとに分類したCPU/APUの一覧を掲載しています。

アーキテクチャと世代

まず、AMDのプロセッサの種類について、お話しします。

CPUの内部に「GPU(グラフィックチップ)」が置かれるようになって久しいですが、AMDは「内蔵GPUを持たないものをCPU」、「内蔵GPUを持つものをAPU」と呼んで区別しています。

よって、AMDのCPUを搭載したPCには、必ず「グラフィックボード」が必要になりますので、注意が必要です。

また、スペースに難のある「ノートPC」はグラボが載せづらいという面がありますので、iGPU(内蔵GPU)はノートPCでこそ、より有用です。

おそらくそういった理由でだと思いますが、AMDにはiGPUがなくグラボが必要になる「ノート向けCPU」が存在しません。つまり、「デスクトップ向けCPU/APU」と「ノート向けAPU」で構成されているということです。覚えて帰って下さい。


それでは、本題に入ります。

アーキテクチャ とは、「設計」を意味する言葉です。通常新しいアーキテクチャが完成すると、スペック(仕様)に差を付けた複数のモデルを製造しますが、これらは「~アーキテクチャ世代」として1つのグループとして扱われます。

また、同一世代のCPUには「最上位桁の数を同じくする4桁の数字」が割り当てられますが、この千の位の数字を取って「第X世代」としてまとめられることもあります。

これよりAMDのアーキテクチャや世代について、「CPUアーキテクチャ」と「GPUアーキテクチャ」に分けてお話ししますが、「シリーズ名」や「世代の呼び方」などについては、正式なものがなかったり、あやふやだったり、世代ごとに呼び方が変わったりすることもありますので、暫定的なものと考えて頂きたいと思います。

CPUアーキテクチャ

まずは、CPUアーキテクチャです。

アーキテクチャ名
(読み方)
ベース
アーキ
テクチャ
プロセス
ルール
採用世代
Zen
(ゼン)
Zen 14nm Ryzen 1000シリーズ CPU
Ryzen 2000シリーズ APU
Zen+
(ゼンプラス)
12nm Ryzen 2000シリーズ CPU
Ryzen 3000シリーズ APU
Zen 2
(ゼンツー)
7nm Ryzen 3000シリーズ CPU

表中の「ベースアーキテクチャ」とは、その系統の祖となるアーキテクチャのことを便宜上呼んでいるだけで、正式な名称、概念ではありませんので、ご注意下さい。


現在は「Zen 2アーキテクチャ」の時代です。

前世代の「Zen+アーキテクチャ」は、さらにその前の世代で「Zen系アーキテクチャ」の祖となる「Zenアーキテクチャ」の「小規模改良版」といった位置付けでした。

それに対して、Zen 2はそれなりに手が加えられたアーキテクチャで、元から期待は高かったのですが、ライバルIntelに全く及んでいなかった「シングルスレッド性能(1コア当たりの性能)」でも同等に達するなど、大きな進化を遂げた世代となりました。

また、同じくらいの性能を持つIntel CPUよりもずっと価格が安いですから、CP(コスパ)面でも圧勝しているのです。今やCPUの第一選択肢は、Ryzenとなったといっても過言ではないでしょう。

Ryzen登場以前の「Bulldozer系アーキテクチャ」の時代には考えられなかったほどの飛躍です。

GPUアーキテクチャ

続いて、GPUコアのアーキテクチャを見ていきましょう。

アーキテクチャ名ベース
アーキテクチャ
GCN 1.0Graphics Core Next
(グラフィックスコアネクスト)
GCN 1.1
GCN 1.2
GCN 1.3
GCN 1.4
RDNARadeon DNA
(ラデオン ディーエヌエイ)

「Graphics Core Next(グラフィックスコアネクスト)」は、GPUをCPUのように扱うための技術「GPGPU」を考慮されて設計された、AMDのGPUアーキテクチャです。

GCNは、APUの「iGPU(内蔵GPU)」にも「dGPU(グラフィックボード用)」にも使われていますが、最初の製品が「2011年」に発売されていますから、非常に息の長いアーキテクチャとなっています。

当然、改良を繰り返して世代を進めてはいますが、GCN系列という意味では同じですから、基本的な部分は似ています。

また、アーキテクチャの呼び方についてですが、「GCN 1.x」や「第x世代GCN」という表記の仕方が一般的です。どちらでも良いようですが、「第1世代」が「1.0」ですから、数字がずれてしまう点に注意が必要です。


そして、「2019年7月」にGCN系列を置き換える新たなアーキテクチャとして登場したのが、「Radeon DNA(ラデオン ディーエヌエイ)」です。

GCNは「GPGPU向け」のコンセプトを持ったアーキテクチャでしたが、RDNAは「ゲーム向け」に作られたアーキテクチャですから、一般ユーザー寄りになったといえるでしょう。

AMDはベースアーキテクチャを長く使う傾向にありますので、今後はこのRDNA系列アーキテクチャが続くものと思われます。

開発コードネーム

開発コードネーム とは、製品の開発時に特定の製品や世代、シリーズ全体などに付けられる名前のことです。

以下に、AMDプロセッサの近年の開発コードネームを挙げますが、前述の通り、AMDにはCPUとAPUがありますので、それぞれに分けてお話しします。

CPUコードネーム

現在、AMDのPC向け主流CPUには「ノート向け」がありませんから、全て「デスクトップ向けCPU」ということになります。

以下に、その開発コードネームを古い順に挙げます。

開発コードネーム
(読み方)
アーキテクチャシリーズ名
Summit Ridge
(サミットリッジ)
ZenRyzen 1000シリーズ
Pinnacle Ridge
(ピナクルリッジ)
Zen+Ryzen 2000シリーズ
Matisse
(マティス)
Zen 2Ryzen 3000シリーズ

Intelの開発コードネーム は、「デスクトップ向け」や「ノート向け」、「性能」、「TDP」などコンセプトごとに分類して、それぞれにコードネームを割り当てていますが、AMDは1つのアーキテクチャに対し、1つのコードネームを割り当てて、1つのシリーズとする方式を取っています。

よって、「Zen 2アーキテクチャ」を採用した開発コードネーム「Matisse」世代のCPUは、「Ryzen 3000シリーズ」と呼ばれている、というように表現されます。

APUコードネーム

PC向けの主流APUの開発コードネームを古い順に挙げます。「デスクトップ向け」と「ノート向け」で共通です。

開発コードネーム
(読み方)
アーキテクチャ
(CPU/GPU)
シリーズ名
Raven Ridge
(レイヴンリッジ)
Zen/VegaRyzen 2000シリーズ
Picasso
(ピカソ)
Zen+/VegaRyzen 3000シリーズ

まず、「第1世代Ryzen APU(Raven Ridge)」が「Ryzen 2000シリーズ」と名付けられたことについて、お話しします。

「第1世代Ryzen CPU(Zenアーキテクチャ)」は「2017年3月」に、「第1世代Ryzen APU(Zenアーキテクチャ)」は「2018年2月」に、そして「第2世代Ryzen CPU(Zen+アーキテクチャ)」は「2018年4月」に発売されました。

また、第2世代Ryzen CPUは、下位クラスをRyzen APUに担当させるため、「Ryzen 3」以下のクラスをラインアップに加えないという戦略を持っていました(現在はRyzen 3ブランドは存在しています)。

そこで、本来であれば「1000番台」の数字を持つべき第1世代Ryzen APUに「2000番台」の数字を与えて、第2世代Ryzen CPUの下位ブランドとしたため、世代と最上位桁の数字にずれが生じたという訳なのです。

これは、「第2世代Ryzen APU(Zen+アーキテクチャ)」でも引き継がれたようですので、「APUのアーキテクチャは1つ古い」ということを覚えて帰って下さい。


続いて、 GPUアーキテクチャ についてですが、上記の表には「GCN」や「RDNA」ではなく、「Vega(ヴェガ)」という言葉が載っています。

詳細は Radeon GPUの特徴とスペックの見方 を参照して頂きたいのですが、簡単に説明すると、Vegaは「マクロアーキテクチャ」といって、GCNやRDNAなどの基本的なアーキテクチャよりも高い次元にある「チップ全体のアーキテクチャ」のようなものです。

これまでお話ししてきたようなCPUやGPUのアーキテクチャは、正確には「マイクロアーキテクチャ」といいます。

マクロアーキテクチャはAMDが近年取り入れた概念で、今ではAMDのGPUアーキテクチャといえばマクロアーキテクチャの方を指すことが多くなっています。

ちなみに、Vegaマクロアーキテクチャは、第5世代GCNマイクロアーキテクチャを採用しています。


APUコードネームに話を戻します。

最新世代は「Zen+/Vega」のコンビから成る「Picasso」で、「第2世代Ryzen APU」ながら「3000番台」の数字を持つシリーズとなっています。

また、シリーズ名は少しややこしく、「デスクトップ向けAPU」はモデルナンバーのサフィックス(後ろに付く文字)に「G」が付くため、「Ryzen 2000Gシリーズ」というように呼ばれることもあるようです。

同様に、「ノート向け」は「末尾H」と「末尾U」がありますので、それぞれ「Ryzen 2000Hシリーズ」、「Ryzen 2000Uシリーズ」となるようです。

Ryzen 3000シリーズ CPU 一覧

  • Zen2アーキテクチャ
  • AMDのCPUは、「デスクトップ向けのみ」で「内蔵GPUを持たない」
サフィックス(末尾の
アルファベット)
X: 高性能
CPU名C/TクロックTDPiGPU
開発コードネーム: Matisse
Ryzen 9 3900X12/243.8/4.6105W-
Ryzen 7 3800X8/163.9/4.5
Ryzen 7 3700X3.6/4.465W
Ryzen 5 3600X6/123.8/4.495W
Ryzen 5 36003.4/3.965W

Ryzen 2000シリーズ CPU 一覧

  • Zen+アーキテクチャ
  • AMDのCPUは、「デスクトップ向けのみ」で「内蔵GPUを持たない」
  • 「PRO」が付くのは企業向けのモデルだが、「PRO」以外が同名のモデルとは基本的なスペックも同じ
サフィックス(末尾の
アルファベット)
X: 高性能
E: 低消費電力
CPU名C/TクロックTDPiGPU
開発コードネーム: Pinnacle Ridge
Ryzen Threadripper 2990WX32/643.0/4.2250W-
Ryzen Threadripper 2970WX24/483.0/4.2
Ryzen Threadripper 2950X16/323.5/4.4180W
Ryzen Threadripper 2920X12/243.5/4.3
Ryzen 7 2700X8/163.7/4.3105W
Ryzen 7 PRO 2700X
Ryzen 7 27003.2/4.165W
Ryzen 7 PRO 2700
Ryzen 5 2600X6/123.6/4.295W
Ryzen 5 26003.4/3.965W
Ryzen 5 PRO 2600
Ryzen 5 2600E3.1/4.045W
Ryzen 5 2500X4/83.6/4.065W
Ryzen 3 2300X4/43.5/4.0

Ryzen 1000シリーズ CPU 一覧

  • Zenアーキテクチャ
  • AMDのCPUは、「デスクトップ向けのみ」で「内蔵GPUを持たない」
  • 「PRO」が付くのは企業向けのモデルだが、「PRO」以外が同名のモデルとは基本的なスペックも同じ
サフィックス(末尾の
アルファベット)
X: 高性能
CPU名C/TクロックTDPiGPU
開発コードネーム: Summit Ridge
Ryzen Threadripper 1950X16/323.4/4.0180W-
Ryzen Threadripper 1920X12/243.5/4.0
Ryzen Threadripper 1900X8/163.8/4.0
Ryzen 7 1800X3.6/4.095W
Ryzen 7 1700X3.4/3.8
Ryzen 7 PRO 1700X
Ryzen 7 17003.0/3.765W
Ryzen 7 PRO 1700
Ryzen 5 1600X6/123.6/4.095W
Ryzen 5 16003.2/3.665W
Ryzen 5 PRO 1600
Ryzen 5 1500X4/83.5/3.7
Ryzen 5 PRO 15003.5/3.7
Ryzen 5 14003.2/3.4
Ryzen 3 1300X4/43.5/3.7
Ryzen 3 PRO 13003.5/3.7
Ryzen 3 12003.1/3.4
Ryzen 3 PRO 1200

Ryzen 3000シリーズ APU 一覧

  • Zen+アーキテクチャ(第2世代)
  • 前世代から「世代の数字が1つ大きいRyzen CPU」の「下位クラス」をRyzen APUが担当するため、「アーキテクチャの世代の数字」と「4桁の数字」にズレが生じている
  • Ryzenの下位ブランドである「Athlon(アスロン)ブランド」も含んでいる
  • 「PRO」が付くのは企業向けのモデルだが、「PRO」以外が同名のモデルとは基本的なスペックも同じ
  • AMDのAPUは、内蔵GPUの「64基のGPUコア」を1つにまとめて「コンピュートユニット(Compute Unit)」と呼ぶようになったため、表にもそれぞれのCU数を併記している
デスクトップ向け
サフィックス
(末尾のアルファベット)
G: デスクトップ向け
CPU名C/TクロックTDPiGPU
(CU)
開発コードネーム: Picasso
Ryzen 5 3400G4/83.7/4.265WRX Vega 11
Ryzen 5 3200G4/43.6/4.2Vega 8

ノート向け
サフィックス
(末尾のアルファベット)
H: ハイパフォーマンス
U: ノート向け
CPU名C/TクロックTDPiGPU
(CU)
開発コードネーム: Picasso
Ryzen 7 3750H4/82.3/4.035WRX Vega 10
Ryzen 7 3700U2.3/4.015W
Ryzen 5 3550H2.1/3.735WVega 8
Ryzen 5 3500U2.1/3.715W
Ryzen 3 3300U4/42.1/3.5Vega 6
Ryzen 3 3200U2/42.6/3.5Vega 3
Athlon 300U2.4/3.3
Athlon PRO 300U

Ryzen 2000シリーズ APU 一覧

  • Zenアーキテクチャ(第1世代)
  • アーキテクチャからすると「第1世代」に相当するが、「第2世代Ryzen CPU」の「下位クラス」をこの世代の「Ryzen APU」が担当することもあって、「2000番台」の数字が与えられている
  • Ryzenの下位ブランドである「Athlon(アスロン)ブランド」も含んでいる
  • 「PRO」が付くのは企業向けのモデルだが、「PRO」以外が同名のモデルとは基本的なスペックも同じ
  • AMDのAPUは、内蔵GPUの「64基のGPUコア」を1つにまとめて「コンピュートユニット(Compute Unit)」と呼ぶようになったため、表にもそれぞれのCU数を併記している
デスクトップ向け
サフィックス
(末尾のアルファベット)
G: デスクトップ向け
E: 低消費電力
CPU名C/TクロックTDPiGPU
(CU)
開発コードネーム: Raven Ridge
Ryzen 5 2400G4/83.6/3.965WRX Vega 11
Ryzen 5 2400GE3.2/3.835W
Ryzen 3 2200G4/43.5/3.765WVega 8
Ryzen 3 2200GE3.2/3.635W
Athlon 240GE2/43.5/-35WVega 3
Athlon 220GE3.4/-
Athlon 200GE3.2/-
Athlon PRO 200GE

ノート向け
サフィックス
(末尾のアルファベット)
H: ハイパフォーマンス
U: ノート向け
CPU名C/TクロックTDPiGPU
(CU)
開発コードネーム: Raven Ridge
Ryzen 7 2800H4/82.2/3.845WVega 11
Ryzen 7 PRO 2700U2.2/3.815WVega 10
Ryzen 7 2700U2.2/3.8
Ryzen 5 PRO 2500U2.0/3.6Vega 8
Ryzen 5 2500U2.0/3.6
Ryzen 3 PRO 2300U4/42.0/3.4Vega 6
Ryzen 3 2300U2.0/3.4
Ryzen 3 2200U2/42.5/3.4Vega 3
Athlon PRO 200U2.3/3.2