Menu

CPUのスペックの見方と用語解説

最終更新日 : 2019/12/01

glossary

「CPU」のスペック(仕様)表に記載されている言葉には専門用語が多いため、馴染みのない人にとっては良く分からないものだらけではないでしょうか。

CPU内部の高度で複雑な構造を理解するのは難しいですが、スペックからおおよその性能を読み解くくらいであれば、それほど専門的な知識は必要ありませんので、誰でも習得することが可能です。

ここでは、CPU関連で良く使われる言葉や概念について、具体的な例を挙げながら分かりやすく解説していますので、「基礎知識」として、是非とも身に付けて帰って下さい。

スペックの見方と用語解説

それでは、実際に存在するCPUのデータを基に、使われている用語の解説とデータの見方のポイントについてお話ししていこうと思います。

以下に、IntelとAMDのメインストリーム(主流)向け、現行世代最高性能CPUの「スペック」とそのCPUが属する「世代に関するデータ」を挙げます。

IntelメーカーAMD
Core i9-9900KSCPU名Ryzen 9 3950X
8コア数16
16スレッド数32
4.0GHz定格
クロック周波数
3.5GHz
5.0GHzブースト
クロック周波数
4.7GHz
16MBL3キャッシュ64MB
127WTDP105W
UHD 630iGPU-
LGA1151ソケットSocket AM4
14nm++プロセスルール7nm
Coffee Lake
Refresh
CPU
アーキテクチャ
Zen 2
Coffee Lake
Refresh-Sなど
開発
コードネーム
matisse
Core i9
Core i7
Core i5
Core i3
Pentium
Celeron
ブランド Ryzen-
Threadripper
Ryzen 9
Ryzen 7
Ryzen 5
Ryzen 3
Core i9-9900K
Core i7-9700K
Core i5-9600K
Core i3-9350K
数字 Ryzen Thread
-ripper 3970X
Ryzen 9 3950X
Ryzen 7 3800X
Ryzen 5 3600X

中央の項目をクリックすると、それぞれの解説場所へ移動します。

メーカー

PC向けのCPU製造メーカーといえば「Intel(インテル)」と「AMD(エイエムディー)」を覚えておけば良いでしょう。他にもメーカーは存在しますが、PC向けではIntelとAMDの2強状態です。

また、以前は「70%以上」を占めたIntelの販売シェアでしたが、「AMD Ryzenブランド」の大躍進により、現在は逆転してAMDが優位に立っています。

かつてのような華やかな開発競争が再び起こっているのが、現在のCPU業界なのです。

CPU名

CPUには、名前(製品名)が付けられますが、Intelではこれを「プロセッサナンバー(Processor Number)」、AMDではこれを「モデルナンバー(Model Number)」と呼んでいます。

プロセッサ/モデルナンバーに含まれる数字には、意味や規則性がありますので、後ほど詳しくお話ししたいと思います。

コア

CPUやGPUのような「プロセッサ」において、実際にデータ処理を行う装置のことを「コア(Core)」といいます。

処理を行う装置ですので、数が多いほど高性能といえるのですが、プログラム側が各コアに処理を上手く振り分けるようになっていないと、最高の性能は発揮されません。

つまり、「16コア」CPUでも、プログラム次第では1つのコアにだけ強い負荷が掛かって、他のコアが遊んでいるという状態が起こり得るということです。

とはいえ、最近のOSは処理の振り分けが上手くなっていますので、特に複数のプログラムを同時に実行するのであれば、コアが多い方が断然優位です。

システムはユーザーが見えないところで様々なプログラムを稼働していますので、ある程度の余力があった方が、不意の高負荷にも対応しやすいからです。

コア数は、CPUの性能を決める重要な要素であることを覚えて帰って下さい。

スレッド

「スレッド(Thread)」とは、プログラムの最小単位となるもののことで、CPUはこのスレッド単位でプログラムを処理します。

コアが一度に処理できるプログラム = スレッドは1つだけなのですが、余っている装置を使ったり、処理の手順を組み替えるなどして効率化を図ることによって、複数のスレッドを同時に処理しているように見せる技術があります。

これを「SMT(Simultaneous Multithreading: 同時マルチスレッディング)」といいますが、Intelでは「HTT(Hyper-Threading Technology : ハイパースレッディングテクノロジー)」と呼んでいます(AMDはSMTと呼んでいます)。

SMTでは、最大で「2コア」分ほどの処理能力を得ることができるようになるため、SMTが有効なCPUのスペック表には、コア数の倍の数のスレッド数が表記されています。

また、OSからは、SMTは物理コアのように見えるため、「スレッド数分のコア」があると認識されます。つまり、「8C/16T」であれば、「16コア」であると認識されるということです。

ただし、SMTはプログラム側がSMTを有効活用できるようになっていなければ、効果は限定的になってしまいます。平均的には「25%」ほどの性能アップといわれていますが、一部の用途では逆に足を引っ張ることもありますので、過度な期待は禁物です。

クロック周波数

「クロック周波数」は、「処理速度」を表すもので、「Hz(ヘルツ)」という単位で表されます。

数字とHzの間の「G」は「Giga(ギガ)」の頭文字で、「10億」を表す接頭辞です。よって、「4.0GHz」ならば、「40億Hz」を表すことになります。

クロック周波数は、2種類存在します。

1つは「定格クロック」で、「通常動作時のクロック周波数」を表します。

そして、もう1つは「ブーストクロック」で、「負荷が掛かった時のクロック周波数」を表します。この負荷が掛かった時にクロックが上がる機能のことを、Intelは「ターボブースト(Turbo Boost)」、AMDは「ターボコア(Turbo CORE)」と呼んでいますが、ターボ機能を持たないCPUもあります。

また、スペック表には載っていませんが、「アイドル状態(負荷が全く掛かっていない状態)」では、定格クロックを落として省電力モードに入るという機能もあります。

現在のクロック周波数は、このように細かくコントロールされているのです。


同じメーカーの同じ世代のCPUであれば、クロック周波数で大体の性能比較が可能なのですが、メーカーや世代が違うCPU同士では、クロック当たりの性能が異なるため、単純な順位付けはできません。

とはいえ、おおよその目安として高いクロックのものほど高性能といえますので、性能を見る上で重要な要素であることには違いありません。

キャッシュメモリ

「キャッシュ(Cache)」とは、「貯蔵庫」というような意味の英単語です。そして、「キャッシュメモリ(Cache Memory)」とは、CPU内にある超高速なメモリのことです。

CPUの処理速度は非常に高速ですので、メインメモリとのデータのやり取りは、プログラムの処理速度において「ボトルネック(制約)」になりがちです。

そこで、CPUコアとメインメモリの間に高速なメモリを置いて、上記のボトルネックをいくらか解消しようという仕組みが、キャッシュメモリなのです。CPUの内部に置かれます。


キャッシュメモリは多段階構造になっており、CPUに近い位置から順に「L1キャッシュ」「L2キャッシュ」「L3キャッシュ」というように呼ばれます。Lは「Level(レベル)」の頭文字です。また、「1次キャッシュ」「2次キャッシュ」と呼ばれることもあります。

基本的にCPUに近いほど高速ですが、その分高価でもあるため、容量はとても小さくなります。比較的大きなL2、L3キャッシュでも数MB(メガバイト)ほどが一般的です。

小容量であるため、全てのデータをキャッシュに置いておくことはできません。

良く使われるデータをキャッシュに置いておくことができれば、高速化に繋がりますが、必要なデータが頻繁に変わってしまう場合だと、結局はメモリから取ってくることになり、あまり有効ではなくなります。これらはプログラム次第ということになるでしょう。

ただし、キャッシュの容量差を体感できることは、あまりないと思います。高性能CPUほどキャッシュ容量も大きいのですが、それほど重要視するべきものでもありません。

TDP

「TDP」とは、「Thermal Disign Power」の頭文字を取った言葉で、日本語にすると「熱設計電力」となります。ちょっと何いってるか分かんないですね。

結論からいうと、TDPは「最大消費電力」とほぼ同じ意味になります。単位「W(Watt : ワット)」で表されます。


厳密にいうと、TDPは「設計上、どれくらいの発熱量になるか」を表すものとなります。

消費された電力は、熱となって放出されますが、CPUなどの半導体においては、消費電力と発熱量はほぼ同じものとして扱えるのです。

CPUやGPUは、稼働時に非常に高温になるハードです。高温状態が続くと、PC内のハード類がやられてしまいかねませんので、熱源は常に冷却され続けなければなりません。

冷却装置にどれくらいの性能が必要かを知るためには、CPUやGPUがどれくらい発熱するのかを知る必要がある訳です。TDPとは、その目安となるものなのです。


さて、 クロック周波数 の項目で、CPUは負荷が掛かるとコアの周波数を上げるとお話ししましたが、実はターボ機能が働く条件の1つに「TDPの枠内で」というのがあります。

TDPは全てのコアがフルに働いた状態を元に定められているのですが、1つのコアに処理が集中し、残りのコアが遊んでいるような状態では、TDPには余裕がある訳です。

そこで、この余裕分を稼働中の1つのコアに振り分ける = 余剰TDP分に相当するクロックだけ上昇させるというのが、ターボ機能の仕組みなのです。

また、働いているコアが多いほど、TDPの余裕も少なくなる訳ですから、2コアに振り分けた(負荷が掛かっている)場合は、1コアに振り分けた場合よりもクロックの上限は低くなります。


TDPの重要性にあまりピンとこない人もいるとは思いますが、CPU能力の上限を決める要素の1つともいえますので、是非とも覚えて帰って下さい。

内蔵GPU

CPUの内部に設置された「グラフィック処理用のプロセッサ」のことです。通称、「iGPU」とも呼ばれます。詳細は、 CPU内蔵GPU でどうぞ。


Intelの「PC向けCPU」には、全てiGPUが搭載されていますが、AMDは異なります。

AMDは、iGPUを持たないものを「CPU」、持つものを「APU(Accelerated Processing Unit)」と呼んで区別しているのです。

よって、AMDのCPUにはGPUがありませんから、「グラフィックボード」が必ず必要になります。上記の「Ryzen 7 2700X」もiGPU非搭載ですので、CPUということになり、グラボを別に用意する必要があるという訳です。

ソケット

「ソケット(Socket)」とは、マザーボード上にあるCPUを取り付ける場所のことです。

ソケットは物理的な形を持つので、ソケットが異なるもの同士では取り付けることができません。

CPUメーカーが異なれば、ソケットもまた全く異なるので互換性はありませんし、同じメーカー同士でも世代を経るに連れ、変わることがあります。

基本的にはソケットが同じ場合のみ、CPUを交換することが可能となります。

プロセスルール

「プロセスルール(Process Rule)」とは、CPUやGPU、メモリなどの半導体を構成する回路の「配線の幅」を指す言葉です。「製造プロセス(Manufacturing Process)」とも呼ばれます。

この配線の幅が細ければ細いほど、同じ面積にたくさんの回路を詰め込むことができますし、逆に同じ大きさの回路であれば、全体のサイズを小さくすることができますので、プロセスルールの縮小化は「性能アップ」を意味することになるのです。

現在のCPUのプロセスルールは、「10nm(ナノメートル)」前後ですが、微細化は徐々に厳しくなってきています。また、一説によると「5nm」ほどが限界ともいわれていますので、今後の展望はやや不透明といわざるを得ないのが現状です。


また、「14nm+」や「14nm++」、あるいは「14nm FinFET」など、長さの後に「+」や「FinFET」が付く場合もありますが、前者は「改良型」を後者は「方式」を表しています。共に「ベースとなる14nmからパワーアップしたもの」という解釈で良いでしょう。

特に、「14nm++」などは、初期の「10nm」を上回る性能になる予定とのことですので、数字だけでは判断しきれない部分があることを覚えて帰って下さい。

アーキテクチャ

「アーキテクチャ(Architecture)」とは、「設計」を意味する言葉です。


現在のCPUコアの最新アーキテクチャは、Intelが「Coffee Lake Refresh(コーヒーレイクリフレッシュ)」、AMDが「Zen 2(ゼンツー)」です。

「プロセッサ(CPUやGPU)」の基本的な能力は、「コア」のアーキテクチャで決まります。よって、新アーキテクチャの登場時、前アーキテクチャからどれくらい進化を遂げたのかは、多くの人の興味を引くことになるのです。

開発コードネーム

アーキテクチャが完成したら、次はプロセッサの開発に入りますが、プロセッサは1種類だけではありません。「とにかく性能を追い求めたハイエンドモデル」や「低消費電力を極めたモデル」など、様々なコンセプトを持ったプロセッサが、世代ごとに何種類も作られるのです。

これらの開発過程において、各コア、各プロセッサや世代、シリーズ全体などに名前が付けられることがあります。これを「開発コードネーム」といいます。


Intelの開発コードネームは、製品のコンセプトを同じくする集団ごとに「アーキテクチャ名 + アルファベット」という命名規則で名付けられています。

また、そのコンセプトは、基本的に「デスクトップ向け」と「ノート向け」で分けられて、さらに TDP や搭載iGPUの違いなどによっても分けられて、それぞれがグループを構成しています。


AMDの開発コードネームは、Intelのようにコンセプトごとに付けられている訳ではなく、別の分け方がなされています。

まず、先ほどお話しした通り、AMDは CPU内蔵GPU(iGPU) の有無により、プロセッサ自体の名前を変えています。iGPUを持たないものを「CPU」、持つものを「APU(Accelerated Processing Unit)」と呼んでいるのです。表中の「Matisse(マティス)」はiGPUを持たないCPUのコードネームです。

ちなみに、iGPUを持つAPUの最新コードネームは「Picasso(ピカソ)」といいます。


ブランド

開発が終わったプロセッサには、それぞれに「プロセッサナンバー/モデルナンバー」が付けられますが、それらはまず「ブランド」化されて分類されます。


IntelのCPUには、性能の高い順に「Core i7(コアアイセブン)」、「Core i5」、「Core i3」、「Pentium(ペンティアム)」、「Celeron(セレロン)」のブランド名が与えられます。

また、ハイエンドシリーズとして、新たに「Core Xシリーズ」という名称が与えられ、これまでのハイエンドCPUを含めて、1つのシリーズにまとめられるようになりました。

そのCore Xシリーズの登場と共に、新たなハイエンドブランド「Core i9」も作られましたが、現在は非ハイエンドの最上位クラスとしてもCore i9が使われるようになっています。


AMDのCPUの主力ブランドは「Ryzen(ライゼン)」です。分かりやすさを重視して、Intelと数字を合わせてきたのだと思いますが、上位から「Ryzen 9(ライゼンナイン)」、「Ryzen 7」、「Ryzen 5」、「Ryzen 3」と名付けられています。

そして、Core i9対抗の「ハイエンドブランド」は「Ryzen Threadripper(ライゼンスレッドリッパー)」といいます。


CPUはコアのアーキテクチャが同じであれば、基本的な性能もまた同じなのですが、コアなどの装置の数や規模を変えることで性能に差を付けているのです。これらの差の大きな区切りが「ブランド」という訳です。

数字

各ブランドには複数のCPUが含まれますが、それらは「数字」で区別されます。


IntelもAMDも「数字の最上位桁」で「世代」を表します。

また、最上位桁以外の数字で「その世代における相対的な性能」を表しますが、ブランドにより割り当てられる数字が変化します。上位ブランドほど「大きい数字」が使われます。

Intelの「Coffee Lake Refreshアーキテクチャ世代」に与えられた数字は「9000番台」です。これは「第9世代Coreブランド」を意味しています。ただ、PentiumやCeleronは、この規則には従いませんので、注意が必要です。

AMDの「Matisseアーキテクチャ世代」に与えられた数字は「3000番台」です。これは「第3世代Ryzenブランド」を意味しています。


さらに、数字の後にアルファベット1,2文字で表される「サフィックス」が付くものと付かないものがありますが、これもまたコンセプトや性能の違いになります。