CPUのスペックの見方と用語解説

最終更新日 : 2021/05/23

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CPUのスペック(仕様)表に記載されている言葉には専門用語が多いため、馴染みのない人にとっては良く分からないものだらけではないでしょうか。

CPU内部の高度で複雑な構造を理解するのは難しいですが、スペックからおおよその性能を読み解くくらいであれば、それほど専門的な知識は必要ありませんので、誰でも習得することが可能です。

ここでは、CPU関連で良く使われる言葉や概念について、具体的な例を挙げながら分かりやすく解説しています。基礎知識として、是非とも身に付けて帰って下さい。

スペックの見方と用語解説

それでは、実際に存在するCPUのデータを基に、使われている用語の解説とデータの見方のポイントについてお話ししていこうと思います。

以下に、IntelとAMDのメインストリーム(主流)向け、現行世代最高性能CPUのスペックとそのCPUが属する世代に関するデータを挙げます。

IntelメーカーAMD
Core i9-11900KCPU名Ryzen 9 5950X
8コア数16
16スレッド数32
3.5GHz定格
クロック周波数
3.4GHz
5.3GHzブースト
クロック周波数
4.9GHz
16MBL3キャッシュ64MB
125WTDP105W
UHD 750iGPU-
LGA1200ソケットSocket AM4
14nm / 10nmプロセスルール7nm
Rocket Lake
/ Tiger Lake
CPU
アーキテクチャ
Zen 3
Rocket Lake-S
/ Tiger Lake-H35
など
開発
コードネーム
Vermeer
Core i9
Core i7
Core i5
Core i3
Pentium
Celeron
ブランド Ryzen-
Threadripper
Ryzen 9
Ryzen 7
Ryzen 5
Core i9-11900K
Core i7-11700K
Core i5-11600K
Core i3-1125G4
数字 Ryzen 9 5950X
Ryzen 7 5800X
Ryzen 5 5600X

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メーカー

PC向けのCPU製造メーカーといえばIntel(インテル)AMD(エイエムディー)を覚えておけば良いでしょう。他にもメーカーは存在しますが、PC向けではIntelとAMDの2強状態です。

また、以前は70%以上を占めたIntelの販売シェアでしたが、AMD Ryzenブランドの大躍進により、現在は逆転してAMDが優位に立っています。

かつてのような華やかな開発競争が再び起こっているのが、現在のCPU業界なのです。

CPU名

CPUには、名前(製品名)が付けられますが、Intelではこれをプロセッサナンバー(Processor Number)、AMDではこれをモデルナンバー(Model Number)と呼んでいます。

プロセッサ/モデルナンバーに含まれる数字には、意味や規則性がありますので、後ほど詳しくお話ししたいと思います。

コア

CPUやGPUのようなプロセッサにおいて、実際にデータ処理を行う装置のことをコア(Core)といいます。

処理を行う装置ですので、数が多いほど高性能といえるのですが、プログラム側が各コアに処理を上手く振り分けるようになっていないと、最高の性能は発揮されません。

つまり、16コアCPUでも、プログラム次第では1つのコアにだけ強い負荷が掛かって、他のコアが遊んでいるという状態が起こり得るということです。

とはいえ、最近のOSは処理の振り分けが上手くなっていますので、特に複数のプログラムを同時に実行するのであれば、コアが多い方が断然優位です。

システムはユーザーが見えないところで様々なプログラムを稼働していますので、ある程度の余力があった方が、不意の高負荷にも対応しやすいからです。

コア数は、CPUの性能を決める重要な要素であることを覚えて帰って下さい。

スレッド

スレッド(Thread)とは、プログラムの最小単位となるもののことで、CPUはこのスレッド単位でプログラムを処理します。

コアが一度に処理できるプログラム = スレッドは1つだけなのですが、余っている装置を使ったり、処理の手順を組み替えるなどして効率化を図ることによって、複数のスレッドを同時に処理しているように見せる技術があります。

これをSMT(Simultaneous Multithreading: 同時マルチスレッディング)といいますが、IntelではHTT(Hyper-Threading Technology : ハイパースレッディングテクノロジー)と呼んでいます(AMDはSMTと呼んでいます)。

SMTでは、最大で2コア分ほどの処理能力を得ることができるようになるため、SMTが有効なCPUのスペック表には、コア数の倍の数のスレッド数が表記されています。

また、OSからは、SMTは物理コアのように見えるため、スレッド数分のコアがあると認識されます。つまり、8C/16Tであれば、16コアであると認識されるということです。

ただし、SMTはプログラム側がSMTを有効活用できるようになっていなければ、効果は限定的になってしまいます。平均的には25%ほどの性能アップといわれていますが、一部の用途では逆に足を引っ張ることもありますので、過度な期待は禁物です。

クロック周波数

クロック周波数は、処理速度を表すもので、Hz(ヘルツ)という単位で表されます。

数字とHzの間のGGiga(ギガ)の頭文字で、10億を表す接頭辞です。よって、4.0GHzならば、40億Hzを表すことになります。

クロック周波数は、2種類存在します。

1つは定格クロックで、通常動作時のクロック周波数を表します。

そして、もう1つはブーストクロックで、負荷が掛かった時のクロック周波数を表します。この負荷が掛かった時にクロックが上がる機能のことを、Intelはターボブースト(Turbo Boost)、AMDはターボコア(Turbo CORE)と呼んでいますが、ターボ機能を持たないCPUもあります。

また、スペック表には載っていませんが、アイドル状態(負荷が全く掛かっていない状態)では、定格クロックを落として省電力モードに入るという機能もあります。

現在のクロック周波数は、このように細かくコントロールされているのです。


同じメーカーの同じ世代のCPUであれば、クロック周波数で大体の性能比較が可能なのですが、メーカーや世代が違うCPU同士では、クロック当たりの性能が異なるため、単純な順位付けはできません。

とはいえ、おおよその目安として高いクロックのものほど高性能といえますので、性能を見る上で重要な要素であることには違いありません。

キャッシュメモリ

キャッシュ(Cache)とは、貯蔵庫というような意味の英単語です。そして、キャッシュメモリ(Cache Memory)とは、CPU内にある超高速なメモリのことです。

CPUの処理速度は非常に高速ですので、メインメモリとのデータのやり取りは、プログラムの処理速度においてボトルネック(制約)になりがちです。

そこで、CPUコアとメインメモリの間に高速なメモリを置いて、上記のボトルネックをいくらか解消しようという仕組みが、キャッシュメモリなのです。CPUの内部に置かれます。


キャッシュメモリは多段階構造になっており、CPUに近い位置から順にL1キャッシュ / L2キャッシュ / L3キャッシュというように呼ばれます。LはLevel(レベル)の頭文字です。また、1次キャッシュ2次キャッシュと呼ばれることもあります。

基本的にCPUに近いほど高速ですが、その分高価でもあるため、容量はとても小さくなります。比較的大きなL2、L3キャッシュでも数十MB(メガバイト)ほどが一般的ですので、全てのデータをキャッシュに置いておくことはできません。

良く使われるデータをキャッシュに置いておくことができれば、高速化に繋がりますが、必要なデータが頻繁に変わってしまう場合だと、結局はメモリから取ってくることになり、あまり有効ではなくなります。これらはプログラム次第ということになるでしょう。

よって、キャッシュの容量差を体感できることは、あまりないと思います。高性能CPUほどキャッシュ容量も大きいのですが、それほど重要視するべきものでもありません。

TDP

TDPとは、Thermal Disign Powerの頭文字を取った言葉で、日本語にすると熱設計電力となります。ちょっと何いってるか分かんないですね。

結論からいうと、TDPは最大消費電力とほぼ同じ意味になります。単位W(Watt : ワット)で表されます。


厳密にいうと、TDPは設計上、どれくらいの発熱量になるかを表すものとなります。

消費された電力は熱となって放出されますが、CPUなどの半導体においては消費電力と発熱量はほぼ同じものとして扱えるのです。

CPUやGPUは、稼働時に非常に高温になるハードです。高温状態が続くと、PC内のハード類がやられてしまいかねませんので、熱源は常に冷却され続けなければなりません。

冷却装置にどれくらいの性能が必要かを知るためには、CPUやGPUがどれくらい発熱するのかを知る必要がある訳です。TDPとは、その目安となるものなのです。


さて、クロック周波数の項目で、CPUは負荷が掛かるとコアの周波数を上げるとお話ししましたが、実はターボ機能が働く条件の1つに「TDPの枠内で」というのがあります。

TDPは全てのコアがフルに働いた状態を元に定められているのですが、1つのコアに処理が集中し、残りのコアが遊んでいるような状態では、TDPには余裕がある訳です。

そこで、この余裕分を稼働中の1つのコアに振り分ける = 余剰TDP分に相当するクロックだけ上昇させるというのが、ターボ機能の仕組みなのです。

また、働いているコアが多いほど、TDPの余裕も少なくなる訳ですから、2コアに振り分けた(負荷が掛かっている)場合は、1コアに振り分けた場合よりもクロックの上限は低くなります。


TDPの重要性にあまりピンとこない人もいるとは思いますが、CPU能力の上限を決める要素の1つともいえますので、是非とも覚えて帰って下さい。

内蔵GPU

CPUの内部に設置されたグラフィック処理用のプロセッサのことです。通称、iGPUとも呼ばれます。詳細は、CPU内蔵GPUでどうぞ。


IntelのPC向けCPUには、全てiGPUが搭載されていますが、AMDは異なります。

AMDは、iGPUを持たないものをCPU、持つものをAPU(Accelerated Processing Unit)と呼んで区別しているのです。

よって、AMDのCPUにはGPUがありませんから、グラフィックボードが必ず必要になります。ご注意下さい。

ソケット

ソケット(Socket)とは、マザーボード上にあるCPUを取り付ける場所のことです。

ソケットは物理的な形を持つので、ソケットが異なるもの同士では取り付けることができません。

CPUメーカーが異なれば、ソケットもまた全く異なるので互換性はありませんし、同じメーカー同士でも世代を経るに連れ、変わることがあります。

基本的にはソケットが同じ場合のみ、CPUを交換することが可能となります。

プロセスルール

プロセスルール(Process Rule)とは、CPUやGPU、メモリなどの半導体を構成する回路の配線の幅を指す言葉です。製造プロセス(Manufacturing Process)とも呼ばれます。

この配線の幅が細ければ細いほど、同じ面積にたくさんの回路を詰め込むことができますし、逆に同じ大きさの回路であれば、全体のサイズを小さくすることができますので、プロセスルールの縮小化は性能アップを意味することになるのです。

現在のCPUのプロセスルールは、7nm(ナノメートル)前後ですが、微細化は徐々に厳しくなってきています。また、一説によると5nmほどが限界ともいわれていますので、今後の展望はやや不透明といわざるを得ないのが現状です。


また、14nm+14nm++、あるいは14nm FinFETなど、長さの後に+FinFETが付く場合もありますが、前者は改良型を後者は方式を表しています。共にベースとなる14nmからパワーアップしたものという解釈で良いでしょう。

特に、14nm++は初期の10nmを上回る性能になるなど、数字だけでは判断しきれない部分があることを覚えて帰って下さい。

アーキテクチャ

アーキテクチャ(Architecture)とは、設計を意味する言葉です。


現在のCPUコアの最新アーキテクチャは、IntelがWillow Cove(ウィローコーヴ)、AMDがZen 3(ゼンスリー)です。

プロセッサ(CPUやGPU)の基本的な能力は、コアのアーキテクチャで決まります。よって、新アーキテクチャの登場時、前アーキテクチャからどれくらい進化を遂げたのかは、多くの人の興味を引くことになるのです。

開発コードネーム

アーキテクチャが完成したら、次はプロセッサの開発に入りますが、プロセッサは1種類だけではありません。とにかく性能を追い求めたハイエンドモデル低消費電力を極めたモデルなど、様々なコンセプトを持ったプロセッサが、世代ごとに何種類も作られるのです。

これらの開発過程において、各コア、各プロセッサや世代、シリーズ全体などに名前が付けられることがあります。これを開発コードネームといいます。


Intelの開発コードネームは、製品のコンセプトを同じくする集団ごとにアーキテクチャ名 + アルファベット、数字という命名規則で名付けられています。

また、そのコンセプトは、基本的にデスクトップ向けノート向けで分けられて、さらにTDPや搭載iGPUの違いなどによっても分けられて、それぞれがグループを構成しています。


AMDの開発コードネームは、Intelのようにコンセプトごとに付けられている訳ではなく、別の分け方がなされています。

まず、先ほどお話しした通り、AMDはCPU内蔵GPU(iGPU)の有無により、プロセッサ自体の名前を変えています。iGPUを持たないものをCPU、持つものをAPU(Accelerated Processing Unit)と呼んでいるのです。表中のVermeer(フェルメール)はiGPUを持たないCPUのコードネームです。

ちなみに、iGPUを持つAPUの最新コードネームはRenoir(ルノアール)といいます。


ブランド

開発が終わったプロセッサには、それぞれにプロセッサナンバー / モデルナンバーが付けられますが、それらはまずブランド化されて分類されます。


IntelのCPUには、性能の高い順にCore i9(コアアイナイン)Core i7Core i5Core i3Pentium(ペンティアム)Celeron(セレロン)のブランド名が与えられます。

また、ハイエンドシリーズとして、新たにCore Xシリーズという名称が与えられ、これまでのハイエンドCPUを含めて、1つのシリーズにまとめられるようになりました。


AMDのCPUの主力ブランドは、Ryzen(ライゼン)です。分かりやすさを重視してIntelと数字を合わせてきたのだと思いますが、上位からRyzen 9(ライゼンナイン)Ryzen 7Ryzen 5Ryzen 3と名付けられています。

そして、Core i9対抗のハイエンドブランドは、Ryzen Threadripper(ライゼンスレッドリッパー)といいます。


CPUはコアのアーキテクチャが同じであれば、基本的な性能もまた同じなのですが、コアなどの装置の数や規模を変えることで性能に差を付けているのです。これらの差の大きな区切りがブランドという訳です。

数字

各ブランドには複数のCPUが含まれますが、それらは数字で区別されます。


IntelもAMDも数字の最上位桁で世代を表します

また、最上位桁以外の数字でその世代における相対的な性能を表しますが、ブランドにより割り当てられる数字が変化します。上位ブランドほど大きい数字が使われます。

IntelのRocket Lake世代に与えられた数字は11000番台です。これは第11世代Coreブランドを意味しています。ただ、PentiumやCeleronは、この規則には従いませんので、注意が必要です。

AMDのVermeer世代に与えられた数字は5000番台ですが、ややこしいことにZen 2アーキテクチャを採用した前世代CPUは第3世代3000番台でした。その後、同じくZen 2を採用したRenoir世代APU4000番台が与えられたのですが、そのせいか最新のAMD CPUは4000番台がスキップされて第4世代Ryzenながら5000番台を名乗ることになったのです。


さらに、数字の後にアルファベット1,2文字で表されるサフィックスが付くものと付かないものがありますが、これもまたコンセプトや性能の違いになります。