GPUの選び方

最終更新日 : 2020/12/13

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PCの動作の中でも「グラフィック処理」はかなり負荷の掛かる仕事といえますが、「動画」を見るくらいであれば、良いGPUは必要ありません。CPU内蔵GPUでも充分なくらいです。

しかし、「3Dグラフィックス」の処理には膨大な計算が必要になりますから、GPUへの要求性能は格段に上がって、CPU内蔵GPUでは難しくなるのが現状です。「高精細な3Dゲーム」であれば尚更です。

だからこそ「ゲーミングPC」において、GPUは「最重要パーツ」と呼ばれるのです。

ここでは、「ゲーミングPC向け」を中心とした「GPUの選び方」についてお話ししていますが、基本的な部分は一般用途においても同じですから、参考にして頂ければと思います。



GPUの選び方

基本的な知識については、GPU(グラフィックボード)でお話ししていますので、適宜参照して下さい。

それでは、適切なGPUを選ぶ方法を、順を追ってお話ししていきます!

[1]: GeForceか、Radeonか

PC向けのGPU開発会社には、「NVIDIA」や「AMD」、またiGPU(CPU内蔵GPU)を含めると「Intel」などがありますが、dGPU(グラフィックボードに載せるGPU)のブランドといえば、NVIDIAのGeForceとAMDのRadeonが事実上の選択肢となります。

そこで、まずは「GeForceとRadeon、どちらを選ぶべきか」を考えることから始めようと思いますが、この段階で完全に決めきる必要はありません。重要なのは、GeForceとRadeonの特徴を知り、自分に必要なのはどちらなのかをしっかりと理解することだからです。

以下に、それぞれの「一般的な評価」を示します。

GeForce ブランド Radeon
ゲーム向き 特徴 動画向き
高い シェア 低い
低い 消費電力 高い
高い 価格 安い

GeForce GPUとRadeon GPU、それぞれの「特徴」といえば、前者が「ゲーム向き」、後者が「動画向き」という点が挙げられます。GeForceは「3Dグラフィックスの処理能力」に、Radeonは「発色の鮮やかさ」に定評があるからです。

「シェア」に関しては、高性能GPUを必要とする理由の多くが「ゲーム」ですから、ゲームに強いGeForceの方が高くなるのは必然といえるでしょう。また、少なくともゲーム用途においては、GeForce GPUの方が「ワットパフォーマンス(電力効率)」も圧倒的に上です。

唯一、「価格」だけがRadeonの強みといえそうですが、これはあくまでも同クラスGPU同士の比較、つまり現行世代のハイエンド同士やミドルスペック同士の価格を比べてのお話しで、Radeonは相対的に性能が低いですから「コストパフォーマンス」という意味ではさほど良くはありません。

つまり、「GeForce >> Radeon」といっても差し支えないのです。よって、「GeForceが前提」くらいの考えで良いと思います。


しかし、「Radeon RX 5000シリーズ」の登場で、風向きが変わりました。それまで「GPGPU(GPUをCPUのように扱うための技術)向け」に設計されていたRadeon GPUでしたが、RX 5000シリーズからはGeForceと同じく「ゲーム向け」に方針を変えたのです。

また、久々に「ハイエンド」が登場した「Radeon RX 6000シリーズ」は、絶対性能はもちろんのこと、ワットパフォーマンスも大幅に改善されましたので、GeForceとRadeonの「ゲーミング性能」の差はほとんどなくなってきています。よって、ゲーム用途でのRadeon GPUという選択肢も、充分考慮するに値します。


最適化

さて、PCに関する重要な概念の一つに「最適化」と呼ばれるものがありますので、お話ししておきましょう。

最適化とは、「あるハードウェアや環境に向けて作成することで、パフォーマンスを向上させること」をいいます。

ソフトウェアが動くハードや環境はそれぞれ異なりますから、ソフト開発者が使用できる技術や機能なども、対象となるハードにより違いが生じます。

どのハードにも依存しない「オーソドックスで一般的な環境」に向けて作成すると、ハードの持つパワーを充分に生かせない場合があります。これはもったいないですから、ソフト開発者は特定の環境に絞って開発を行うことがあるのです。これが、最適化です。

また、ソフトのリリース後に、GPUメーカーが「ドライバ(ハードを動かすシステムソフトウェア)」や専用ソフトなどを通じて、特定のソフトのパフォーマンスを上げるアップデートを行うこともありますが、これも最適化といえるでしょう。


GeForceのシェアの高さの理由の一つに、最適化を挙げることができます。

ゲーム開発者がゲームに強いGeForce GPUを想定して開発を行うと、ゲーム目的の一般ユーザーはGeForce GPUを「優先的に選ぶ」という流れが生まれます。

これによりGeForceのシェアが上がり、開発者は「シェアの高いGeForceへの最適化を強める」という構図になります。すると、性能をフルに発揮できるGeForceが一般ユーザーから「さらに選ばれやすくなる」というスパイラルが出来上がるからです。

しかし、先ほどお話しした通り、Radeonも「ゲーム寄り」に路線変更しましたので、これからはRadeonに最適化されたソフトも増えてくることが予想されます。また、家庭用ゲーム機にRadeonの採用例、採用予定が多いことも追い風になるでしょう。

もうしばらくはGeForce有利の流れが続くかと思いますが、Radeonにも将来性は少なからずありますし、現時点でもRadeonに最適化されたゲームは存在しますので、プレイしたいゲームが決まっている人は、その辺りを一度調べてみると良いかもしれません。

[2]: グラフィック品質は解像度とフレームレートに依存する

グラフィック品質を決めるパラメータはいくつもありますが、中でも中心となるのが「精細さ」と「滑らかさ」です。きめ細かい画像が滞りなく動くと、人は美しいと感じるからです。

グラフィックにおいては、精細さの指標を「解像度」、滑らかさの指標を「フレームレート」といいます。基本的なことは、以下のページでお話ししていますので、ご参照下さい。

一般的な「快適さの基準」は、「解像度」が「フルHD(1920 x 1080)」で「フレームレート」が「60fps(秒間60フレーム)」です。FHD: 60fpsをクリアしていれば、多くの人が不満を感じることはないでしょう。

また、ゲーム制作者は多くの人にゲームをプレイしてもらいたいため、想定するGPUの「スペック(仕様、性能)」をあまり高く設定したがりません。「ハイスペック」を前提にしてしまうと、プレイヤーの母数が限られてしまうからです。

この2点を合わせると、ゲーム制作者は「普及させやすい価格のGPUで、FHD: 60fpsをこなせるグラフィック品質を目指している」ということになります。


これ以上のレベルとなると、精細さを追求するならば「4K(4000 x 2000級)解像度」を、滑らかさを追求するならば「120fps~」を目指すことになりますが、「4K: 120fps」については、最新のハイエンドGPUでもまだ少し性能が足りません。よって、どちらかは妥協する必要があります。

また、解像度に関係なく「30fps」を切ると、頻繁にカクつきが生じて操作性に問題が起こることもあり得ますので、グラフィックに関心がない人も最低でもこの数字はクリアしておきたいところです。

[3]: 目標とする「グラフィック品質」を決める

次は、自分が望むおおよその「グラフィック品質」について考えます。

前述の通り、グラフィック品質は主に「解像度」と「フレームレート」によって決まりますが、「映像美をとことん追求したい人」と「ゲーム内で有利な状況を得たい人」、「とにかくプレイできれば良い人」では、当然のことながら必要となる条件は変わってきます。

「映像美をとことん追求したい人」と「ゲーム内で有利な状況を得たい人」はどちらも「高性能PC」が必要になりますが、どちらかというと、前者は解像度、後者はフレームレートの方がより重要なパラメータとなります。

「とにかくプレイできれば良い人」は「FHD: 60fps」辺りでもそれなりに満足できるかと思いますので、「コスパ」というパラメータが重要になってくるのではないでしょうか。

さらに、アップデートなどでゲームが重くなることを考慮に入れて、やや高めのスペックを見込んでおくことも必要になります。

結局は実際にプレイしてみなければ分からない部分もありますが、事前にこれらのことを考えておくことで、ある程度は最悪の事態である「スペック不足」を防ぐことが可能です。

もちろん、グラフィック品質が高ければ高いほど、これを処理する「GPU」のパワーとその価格も高くなりますので、理想と現実のバランスを取る必要も出てきます。ただ、予算はなかなか上げづらい部分があるとは思いますが、グラフィック品質が満足できるレベルに達していない環境はストレスになりやすいですから、あまり妥協するのも良くはありません。

自分がプレイする姿をイメージして、必要なグラフィック品質がどれくらいであるかを把握しておきましょう。

[4]: GPUを決める

希望の「グラフィック品質(解像度とフレームレート)」がおおよそ固まったら、いよいよ「GPU」の選定に入ります。

この段階で、もしプレイするゲームが決まっているならば、まずはソフトの「推奨スペック」を確認しておきます。推奨スペックとは「快適なプレイが可能な環境」のことで、大抵のソフトウェアで定められ公開されています。

とはいえ、何をもって快適とするかは人それぞれですから、ソフトウェア製作者が具体的にどの程度の「解像度」、「 フレームレート」を想定しているかは分かりません。ただ、やはり最もオーソドックスな「FHD: 30~60fps」が一つの目安となっているように思います。重い場面では多少カクつくことがあるかな、というレベルです。

よって、「とにかくプレイできれば良い人」もできれば推奨スペックは満たしておきたいですし、もっと高い解像度、フレームレートを望む人は推奨スペック以上の性能を持つGPUを選ぶ必要があるかもしれません。

プレイするゲームが決まっていない場合は、その時点における「平均程度の重さのゲーム」を先程決めた目標とするグラフィック品質でプレイすることを想定すると良いでしょう。


また、推奨スペックと同等か、あるいはそれ以上に役立つデータが存在します。それは、GPUの性能を数値で表した「ベンチマークテストのスコア」です。

ベンチマークテストには様々な種類があり、GPUの得手不得手によって結果も多少は前後するのですが、性能を測る指標としては大変有益ですので、絶対にチェックしておきましょう。

当サイトでもいくつかのテスト結果をまとめていますので、ご紹介します。

まず、複数のゲームの「平均フレームレート」のデータをおすすめBTOゲーミングデスクトップPCなどに掲載しています。これは実際にゲームを稼働させて計測したフレームレートですから、「ゲーミングPCのGPU」にとっては答えといっても過言ではないほど重要なデータといえます。

それから、ゲーミング性能に限らず、GPUの総合的な性能を測るテストのデータをGPU比較&ランキングに掲載しています。ここでは、「絶対性能」だけでなく、「コスパ」や「ワッパ(ワットパフォーマンス: 電力効率)」なども比較していますので、是非ご覧頂きたいと思います。


コスパやワッパなどもコンセプトによっては重要な指標といえますが、やはり最重要は絶対性能です。目標とするグラフィック品質をクリアできるパワーがGPUになければ、コスパやワッパが良くても意味がないからです。

特に「小型PC」や「ノートPC」を考えているならば、注意が必要です。小さな筐体では「熱処理」がしきれないこともあり得ますので、その場合は格下でもワッパの良いGPUに変えるとか、「ケースサイズ」を大きくするなどの方針の変更を行う必要があるかもしれません。


以上のような点に気を付けながら、最適なGPUを探しましょう。

[5]: 性能を上げるなら、クロック周波数よりもコア数

さて、基本的な選び方は前項までで終わりですので、ここからは「ちょっとした選び方のポイント」について、お話ししたいと思います。


現在持っている、あるいは考えているGPUよりも高い性能のGPUに変えたい場合、「コア数を増やす(1つ格上のGPUに変える)」のと「クロック周波数を上げる(同じGPUのOC(オーバークロック)モデルにする)」のでは、どちらがより効果的なのでしょうか?

結論からいうと、「GPUのランクを上げてコア数を増やした方が良い」となります。

GPU全体の処理能力は、ざっくりいうと「コア数 x クロック周波数」ですから、片方を例えば「20%増し(1.2倍)」にする場合、計算上はどちらを上げても全体では同じ数値になります。

しかし、GPUのランクを上げた場合のコア数の増加は、少なくとも「20%以上」のものがほとんどであるのに対して、OCモデルによるクロック周波数の上昇は、「20%未満」のものが大半なのです。つまり、クロック周波数は上げづらいため、性能アップの効果は限定的であるということです。

ただし、格上のGPUがコア数では上回っていても、クロック周波数が低い場合もありますので、コア数の差が性能の差に必ず比例するという訳でもないことには注意が必要です。

また、GPUの「メーカー」や「世代」が異なる場合、「1コア当たりの性能」も異なりますので、コア数やクロックの比較をしても意味がありません。あくまでも同じメーカー、世代のGPU同士の比較でなければならないことも覚えて帰って下さい。


それから、OCには特有の問題も存在します。それは「消費電力の増加」とそれに伴う「発熱量の増加」、「冷却装置の強化」などが避けられないことです。グラフィックボードメーカーは、安全性を考慮した作りに仕上げてはいますが、無理が掛かっている点に関してはどうしようもないのです。

さらに、GPUのランクを上げる場合は、「VRAM容量」やその他の装置のスペックも上がっているため、コアの能力の上昇を受け切ることができますが、OCモデルはベースは元のモデルのままであるため、どこかがボトルネック(制約)になる可能性を否定できません。


以上のような点から、きっちりと性能を上げたいならばGPUのランクを上げるべき、ということはお分かり頂けたかと思いますが、当然のことながら「価格」もまた上がってしまいます。

特にハイスペックなものほど、能力の上り幅以上に価格上がってしまいますから、GPUのランクを上げることは簡単ではありません。

よって、性能を目に見えるほど確実に上げたいならば「格上げ」を、価格的に無理がない範囲で性能アップを図りたいならば「OC版」を、という選び方が良いでしょう。

[6]: 必要なVRAM容量とは?

VRAMとは、「グラフィックボード(GPU)」専用のメモリのことです。

VRAMが不足すると、通常グラフィックデータは、メインメモリにスワップされます。

少々のVRAM不足では、さほど影響がありませんから、気にするほどではありませんし、気づかないこともあるくらいです。

さらに不足すると、徐々にフレームレートに影響が出始め、場合によっては露骨なカクツキが生じることもあります。

あまりにも不足すると、ソフトが起動しないことさえありますが、そういった場合はおそらくGPU能力自体が全く足りていませんから、そもそもまともなプレイ自体が不可能でしょう。

メモリとは、「多くても大して意味がないが、少ないと顕著に動作を遅らせる」ものなのです。


動作に大きな影響をもたらすVRAMですから、最低限必要な容量というのが気になるかと思いますが、実はあまり気にする必要はありません。

なぜなら、基本的にグラフィックボードには、コア数を始めとした「処理能力」に見合ったVRAMが搭載されているからです。また、メインメモリのように自分で増設できるものでもありませんから、気にしても仕方がないのです。

よって、GPUは「処理能力」を中心に考えて選ぶべきです。


ただし、注意点が2点あります。

1つは、近年流行している「MOD」を入れる遊び方を考えている人は、VRAMにも気を配った方が良いという点です。この場合は処理能力も重要になることが多いですから、上位ランクのGPUに変えた方が無難です。

そして、もう1つは、「GeForce GTX 1060」が該当しますが、同じGPUでもVRAM容量が半減したタイプがあるという点です。

基本的には処理能力に見合ったVRAMが搭載されているといいましたが、半減タイプは「VRAM容量のバランスを崩してでも価格を下げたモデル」と考えた方が健全です。

よって、自分の用途に必要なVRAM容量を分かった上で、VRAM不足に陥らないと確信している、あるいは不足しても構わないという人以外は、半減タイプを選ぶべきではないと思います。