快適なゲームプレイに最も重要な条件は、ゲーム画面が滑らかに動くことです。
しかし、PCの性能が低すぎると、処理落ち(処理が時間内に終わらずに遅れること)が頻繁に発生し、普通にプレイすることさえ困難になってしまうのです。
それを防ぐために重要になってくるのが、フレームレートなのです。
フレーム(frame)とは動画を構成する1枚1枚の絵のことで、漫画でいうコマに当たるものです。よって、フレームレート(frame rate)とは単位時間当たりのフレームの数を意味することになります。
いわゆるパラパラ漫画やアニメーションは、少しずつ異なるコマを高速で切り替えることによって、人間の目には連続的に動いているように見えるという原理を利用していますが、動画もまた同様です。
また、フレームレートと同じような意味で使われる言葉にfpsと呼ばれるものがありますが、これはframes per secondの頭文字を取ったもので、日本語に訳すと秒間のフレーム数という意味になります。つまり、fpsとはフレームレートの単位ということです。
動画はフレームレートが高いものほど滑らかに見えます。動きと動きの間にその中間となる画像を差し込むことができるからです。
逆にフレームレートが低いものほど、中間の動きがカットされるため、カクカクして見えることになるのです。低フレームレートは動画の品質を大きく下げる要因の一つです。
フレームレートの意味を体感できる簡単なテストがありますので、試してみてください。
まず正面を向きます。それから右でも左でも構いませんので、自然な速度で横を向いてください(急に行うと首を痛めてしまいかねませんので、無理なスピード、角度では決して行わないでください)。
次に同じ動きを行いますが、今度は中間地点で一瞬だけ止まってみてください。
これらが正しく行えた場合、前者は動作の途中が残像で何も見えなかったのに対して、後者は物や背景を認識することくらいはできたかと思います。この一瞬止まるポイントが増えれば増えるほど、映像は滑らかになってはっきりと見ることができるようになるのです。
さて、余談ではありますが、名称について一つお話ししておきます。
ゲームのジャンルの一つにFPSと呼ばれるものがあります。これはFirst Person Shooter(あるいはShooting)の略で、キャラクターとプレイヤーの視点が同じゲームのことです。
その多くが銃の撃ち合いを行うゲームで、爽快感や臨場感に溢れ、さらには戦術性の高さも要求されるため、なかなかに奥の深いゲームとして世界中で楽しまれています。
fpsもFPSもゲームでは良く見かける言葉ですが、一般的にはフレームレートを小文字のfpsで、ゲームジャンルの方を大文字のFPSで表すことが多いですから、覚えて帰って頂ければと思います。
ディスプレイは非常に短い間隔で画面の更新を行いますが、1秒間に画面を描く回数のことをリフレッシュレート(refresh rate)といいます。
リフレッシュレートの単位はHz(ヘルツ)で、現在の主流は60~75Hz辺りですが、これは秒間60~75回、画面が描き直されていることを意味します。
フレームレートと良く似ているように思われるかもしれませんが、実は全くの別物です。なぜなら、リフレッシュレートはディスプレイの都合で、フレームレートはソフトの都合で更新されるからです。
例えば、仮にソフトが秒間120回フレームを作ったとしても(120fps)、リフレッシュレートが60Hzのディスプレイであれば、半分の60fps分しか画面に反映できないのです。
近年はリフレッシュレートが120Hz以上のディスプレイも増えてきましたが、高リフレッシュレートのディスプレイでなければ、高フレームレートの滑らかな映像を楽しむことができませんから注意が必要です。
また、高フレームレートを実現するには、それ相応のPC性能も必要となります。性能が不足するとフレームを作るのに掛かる時間が増えるため、高いフレームレートを実現するのが難しくなるのです。
以上のような理由から、あらかじめfpsの上限をソフトウェア側で制限しているものも少なくありません。無制限の場合、画面に反映されないデータは不必要な処理を行っているともいえますが、これはPCに余計な負荷を掛けているだけだからです。
ゲームにおいては60fpsが快適さの基準となります。もちろん個人差がありますので多少は前後しますが、60fpsもあれば多くの人は満足感を得られるはずです。
フレームレートの下限については30fpsが一つの区切りといえるでしょう。TV放送は約30fps(29.97fps)、アニメなどは約24fps(23.976fps)で作られていますが、不自由を感じたことのある人はまずいないと思います。つまり、動画自体はこれくらいのフレームレートが出ていれば問題はないのです。
しかし、ゲームの場合、フレームレートは刻一刻と変化します。同じPCでも負荷が軽い場面ではフレームレートが上がり、重い場面では下がるものです。
例えば、巨大なボスが派手なエフェクト(effect : 効果)を用いて攻撃してくるなど、グラフィック負荷が大きくなる場面では処理が重くなりやすく、フレームレートがガタ落ちすることも珍しくありません。場合によっては、この少しの間のフレーム落ちが命取りにもなりかねませんので、処理落ちは大きなストレスとなりやすいのです。
よって、最低でも30fpsはキープしたいところです。
基本的には60fpsで充分とお話ししましたが、FPSゲームやレースゲームなどでは、高フレームレートを狙うことをおすすめします。これらのゲームでは、フレームレートが勝敗を左右することもあるからです。
フレームレート(fps)とは?で首を横に動かすフレームレートの簡単なテストを行って頂きましたが、正面と横の2フレームのみの場合、フレーム間の動きが大きいため視認性が悪くなるとお話ししました。
これは逆にいうと、画面の変化が小さくフレーム間の差が小さい場合は高フレームレートにはあまり意味がないということになる訳です。動きがないといえばデスクトップ画面が代表的ですが、120fpsであることを感じられるのはマウスを素早く動かした時くらいです。
しかし、FPSゲームやレースゲームなどの多くはアクション性が非常に高いため、1フレームで動く距離が大きくなりがちです。これはつまりフレーム間のギャップが大きいということですので、一瞬の判断と操作で勝敗が決するFPSでは、このコンマ数秒の差が致命的な差になってしまいかねないのです。
もちろんそこまで勝ちにこだわる必要もないといえばないのですが、PCスペックの差で勝敗が決まると非常に悔しい思いをすることは確かですので、動きの激しいゲームをプレイするのであれば120fps辺りを狙うことを強くおすすめしたいと思います。
まず重要なのはハードウェアです。グラフィックを処理するパーツであるグラフィックボード(厳密にいうとGPU)の性能がフレームレートへ最も大きな影響を与えます。
当サイトではGPU(グラボ)比較&ランキングのページでGPUの性能の比較を行っていますので、是非チェックしてください。
さて、ハードウェアではなくソフトウェアにもフレームレートに影響を及ぼすものがいくつかあります。
その中でも大きな影響を与えるのは、解像度です。これは画像が縦横いくつのピクセル(点)でできているかのデータで横 x 縦(1920 x 1080など)の形で表現されます。
GPUが処理を行う時に扱うのは、各ピクセルのデータですが、解像度が上がると必然的に処理するピクセルの量が増える訳ですから、ダイレクトに処理時間に影響が出てくるのです。
また、グラフィック品質も重要です。
ほとんどのゲームがグラフィック処理に用いられる技術の使用、不使用、あるいはどの程度のレベルで行うかの設定を持っていて、ユーザーが自由に変えられるようになっています。
その中に解像度も含まれるのですが、グラフィック品質の設定を高めにすると、当然のことながら負荷が上がってfpsにも影響が出ます。
グラフィック設定はややこしかったり、難しかったりするのですが、プリセット(Preset)と呼ばれる、あらかじめ設定済みのものが多くのソフトで用意されています。
大抵の場合、最高品質、標準品質、低品質というように分かりやすい名前が付いているので、ユーザーはそこから選択すれば良いだけなのです。
ゲームが重いと思ったら、解像度やグラフィック品質を下げると、fpsが改善されるかもしれません。
いずれにせよ、処理を行うのはGPUですから、高解像度、高画質、高fpsを求めるのであれば、ハイスペックGPUが不可欠となります。
MMORPGなどであれば必ずしも重視する必要はありませんが、前述のような動きの激しいFPSゲームなどでは勝敗に直結しますので、満足のいくGPU性能をしっかりと見極めましょう。