AMD 600シリーズチップセット

最終更新日 : 2023/01/17

AMD 600 series chipset

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AMD 600シリーズチップセットは、Ryzen 7000シリーズプロセッサーに合わせて登場したチップセットです。

ここでは、AMD 600シリーズチップセットのラインアップとスペック、そして前世代のAMD 500シリーズチップセットとの比較を行っています。


AMD 600シリーズチップセットのスペック一覧表

クラス ハイミドル
名前 X670EX670B650EB650
ソケット AM5
オーバークロック
CPU
メモリ DDR5: 5200 MT/s
PCIe 5.0 (*1) 16/4/4-/4/416/4/4-/-/-
PCIe 4.0 (*1) -/-/-16/-/--/-/-16/4/-
レーンの分割 1x16 or 2x8
USB 10Gbps 4
バス
PCIe 4.0 x4
チップセット
PCIe 5.0 -
PCIe 4.0 128
PCIe 3.0 (*2) 8
or 6 + SATA3 x2
or 4 + SATA3 x4
or 2 + SATA3 x6
or SATA3 x8
4
or 2 + SATA3 x2
or SATA3 x4
SATA3 (*3) PCIe 3.0次第
USB 20Gbps (*4) 20Gbps x2
or 20Gbps x1 + 10Gbps x2
or 10Gbps x4
20Gbps x1
or 10Gbps x2
USB 10Gbps 84
USB 5Gbps 0
USB 2.0
(480Mbps)
126

では、気になるところを解説していきます。


ソケット

AMD 600シリーズチップセットRyzen 7000シリーズCPUと共に登場したチップセットですが、ソケットは前シリーズのAM4からAM5に変わりましたので、互換性は失われました。よって、旧世代CPUはAMD 600シリーズチップセットを搭載するマザーボードに取り付けることさえできません。

ただ、ソケットは毎回変わる訳ではありませんので、AMDの次世代CPUは高い確率でAMD 600シリーズチップセットで使うことができるでしょう。しかし、BIOSのアップデートを行わないとCPUが認識できませんので、注意が必要です。

メモリ

メモリについてですが、これも前世代のDDR4からDDR5に完全に変わりましたので、旧世代のシステムから流用することなどは不可能です。

PCIe 5.0 / 4.0(CPU)

*1には数字が3つ並んでいますが、左からグラフィック用 / ストレージ用 / GPP(汎用)のレーン数を表しています。

グラフィック用はその名の通り、グラフィックボードのためのバス(データの経路)ですが、レーンを分割することができるものとできないものとに分かれます。レーンの分割の主な目的はマルチGPU(複数枚のグラボを協調させること)ですので、レーンの分割ができない場合はマルチGPUもできないということになります(グラフィックボード側の対応も必要です)。

ただ、マルチGPUは近年下火になりつつある技術で、対応の状況などもあまり公開されなくなりました。よって、もう考慮から外した方が賢明かと思います。

さて、上記の表ではX670EB650EPCIe 5.0に、X670B650PCIe 4.0にレーンを割り当てていますが、これが名前の末尾にEが付くか付かないかの違いを表しています。PCIe 5.0を採用するE付きの方が格上という意味です


ストレージ用NVMe接続の高速SSDのためのバスです。上記の表ではB650だけがPCIe 4.0での接続になります。


GPP(General Purpose Port)用様々な用途のためのバスという意味ですが、おそらくほとんどがストレージ用になるかと思われます。上記の表ではB650だけがGPPを持ちませんが、実際はオプションという扱いでマザーボードメーカーに委ねられるという形となるようです。

PCIe 3.0(チップセット)

チップセット側のPCIe 3.0には注釈(*2)が付いていますが、これはバスの種類を選択する必要があることを表しています。基本はX670E / X6708レーンB650E / B6504レーンですが、PCIe 2レーンとSATA3 2本を交換できるような形となっているのです。

よって、SATA3の本数はPCIe 3.0次第 (*3)となる訳ですが、この選択はユーザーが行うのではありません。あくまでもマザーボードメーカーが設計の段階で行うことですので、ユーザーは完成品であるマザーボードを選ぶだけです。

USB 20Gbps(チップセット)

USB 20Gbps(USB 3.2 Gen2x2)もPCIe 3.0と同様にバスの種類を選択する形となっています。ベースの本数はX670E / X6702本B650E / B6501本 ですが、20Gbps1本を10Gbps2本に変えることができます。これもマザーボードメーカーが行うことですので、ユーザーが変えられる訳ではありません。

前世代との比較

ハイクラス(X系列)

名前 X670EX670X570
ソケット AM5AM4
オーバークロック
CPU
メモリ DDR5: 5200 MT/sDDR4: 3200 MT/s
PCIe 5.0 16/4/4-/4/4-/-
PCIe 4.0 -/-/-16/-/-16/4 (*1)
レーンの分割 1x16 + 1x4
or 2x8 + 1x4
バス
PCIe 4.0 x4
チップセット
PCIe 5.0 -
PCIe 4.0 128 / 4 + 4 (*2)
PCIe 3.0 8
or 6 + SATA3 x2
or 4 + SATA3 x4
or 2 + SATA3 x6
or SATA3 x8
-
SATA3 PCIe 3.0次第4 + α (*3)
USB 20Gbps 20Gbps x2
or 20Gbps x1 + 10Gbps x2
or 10Gbps x4
-
USB 10Gbps 8
USB 5Gbps 0
USB 2.0
(480Mbps)
124

AMD 600シリーズチップセットのデータの見方についてはAMD 600シリーズチップセットのスペック一覧表でお話ししていますので、ご一読頂ければと思います。


まずは、CPU側のPCIeについてです。AMD 600シリーズチップセットの方の3つの数字の意味は左からグラフィック用 / ストレージ用 / GPP(汎用)でしたが、前世代のAMD 500シリーズチップセットの方はグラフィック用 / 選択という意味です。

X570の場合(*1)は、PCIe 4.0: 4レーン

  • NVMe(x4) x1 = 4レーンのM.2 / NVMe接続のストレージを1本
  • NVMe(x2) x2 = 2レーンのM.2 / NVMe接続のストレージを2本
  • NVMe(x2) x1 + SATA3 x2 = 2レーンのM.2 / NVMe接続のストレージを1本とSATA3を2本

からマザーボードメーカーが選択することになります。


また、X570のチップセット側のPCIe 4.0についても同様に、以下の選択を行う必要があります(*2)。

  • PCIe(x4) x1 = 4レーンのPCIeを1本
  • PCIe(x2) x2 = 2レーンのPCIeを2本
  • PCIe(x1) x4 = 1レーンのPCIeを4本
  • SATA3 x4 = SATA3を4本

これが2つありますので、個別にマザーボードメーカーが選択します。


以上の選択を行うため、X570のチップセット側のSATA3の数は変動することになる訳です(*3)。固定で4本ありますので、フルにSATA3を選んだ場合は最大で14本用意することが可能です。とはいえ、これだけの本数のSATA3が必要になる用途は限られていますので、多くの人にとってはあまり関係のない話になるでしょう。


 

では、世代間の比較を行ってみます。

X670E / X670の強みはPCIe 5.0が利用可能な点にあるといえます。ただし、現時点ではPCIe 5.0に対応したグラフィックボードもストレージも存在さえしませんので、このメリットを活用することはできません

とはいえ、PCIeには互換性がありますので、PCIe 5.0のバスはPCIe 4.0としても使えます(遅い方に合わされます)し、将来的にPCIe 5.0の製品が登場した際、すぐに利用可能となりますので、あって損することはないのです。


また、チップセット側を含めたバスの本数の多さもX670E / X670の強みですが、特にUSB 20Gbps(USB 3.2 Gen2x2)を利用できる点も非常に大きなメリットといえるでしょう(ただし、マザーボードメーカーが採用した場合です)。




互換性がありませんので、新しいRyzen 7000シリーズCPUを使うか、前世代となったRyzen 5000シリーズCPUを使うかでチップセットも変わることになる訳ですが、理由がなければ新しい方をおすすめします。

ただ、古い世代は成熟している分安定していることやセールで安く手に入る可能性があることなどの長所もありますので、デメリットを理解しつつ、敢えて旧世代を選ぶというのも悪くはないと思います。

ミドルクラス(B系列)

名前 B650EB650B550
ソケット AM5AM4
オーバークロック
CPU
メモリ DDR5: 5200 MT/sDDR4: 3200 MT/s
PCIe 5.0 16/4/4-/-/--/-
PCIe 4.0 -/-/-16/4/-16/4 (*1)
レーンの分割 1x16 or 2x8
USB 10Gbps 4
バス
PCIe 4.0 x4PCIe 3.0 x4
チップセット
PCIe 5.0 -
PCIe 4.0 8-
PCIe 3.0 4
or 2 + SATA3 x2
or SATA3 x4
4 / 2 (*2)
SATA3 PCIe 3.0次第4 + α (*3)
USB 20Gbps 20Gbps x1
or 10Gbps x2
-
USB 10Gbps 42
USB 5Gbps 02
USB 2.0
(480Mbps)
6

AMD 600シリーズチップセットのデータの見方についてはAMD 600シリーズチップセットのスペック一覧表でお話ししていますので、ご一読頂ければと思います。


まずは、CPU側のPCIeについてです。AMD 600シリーズチップセットの方の3つの数字の意味は左からグラフィック用 / ストレージ用 / GPP(汎用)でしたが、前世代のAMD 500シリーズチップセットの方はグラフィック用 / 選択という意味です。

B550の場合(*1)は、PCIe 4.0: 4レーン

  • NVMe(x4) x1 = 4レーンのM.2 / NVMe接続のストレージを1本
  • NVMe(x2) x2 = 2レーンのM.2 / NVMe接続のストレージを2本
  • NVMe(x2) x1 + SATA3 x2 = 2レーンのM.2 / NVMe接続のストレージを1本とSATA3を2本

からマザーボードメーカーが選択することになります。


また、B550のチップセット側のPCIe 3.0についても同様に、以下の選択を行う必要があります(*2)。

  • PCIe x2 = PCIeを2レーン
  • SATA3 x2 = SATA3を2本

以上の選択を行うため、B550のチップセット側のSATA3の数は変動することになる訳です(*3)。固定で4本ありますので、フルにSATA3を選んだ場合は最大で8本用意することが可能です。




ハイクラス(X系列)以上に世代間の差が大きい印象です。バスの種類も数もAMD 600シリーズチップセットは大きく飛躍したといって良いでしょう。

また、下位クラスのB650はベースがPCIe 4.0止まりですので、無理がなければPCIe 5.0が使えるB650Eにしておいた方が良いかもしれません。とはいえ、どちらもミドルクラスチップセットですので、あまり性能にこだわる必要はないという気もします。お好みで選んで頂きたいと思います。