AMD 600 series chipset
AMD 600シリーズチップセットは、Ryzen 7000シリーズプロセッサーに合わせて登場したチップセットです。
ここでは、AMD 600シリーズチップセットのラインアップとスペック、そして前世代のAMD 500シリーズチップセットとの比較を行っています。
クラス | ハイ | ミドル | ||
---|---|---|---|---|
名前 | X670E | X670 | B650E | B650 |
ソケット | AM5 | |||
オーバークロック | ○ | |||
CPU | ||||
メモリ | DDR5: 5200 MT/s | |||
PCIe 5.0 (*1) | 16/4/4 | -/4/4 | 16/4/4 | -/-/- |
PCIe 4.0 (*1) | -/-/- | 16/-/- | -/-/- | 16/4/- |
レーンの分割 | 1x16 or 2x8 | |||
USB 10Gbps | 4 | |||
バス | ||||
PCIe 4.0 x4 | ||||
チップセット | ||||
PCIe 5.0 | - | |||
PCIe 4.0 | 12 | 8 | ||
PCIe 3.0 (*2) | 8 or 6 + SATA3 x2 or 4 + SATA3 x4 or 2 + SATA3 x6 or SATA3 x8 | 4 or 2 + SATA3 x2 or SATA3 x4 | ||
SATA3 (*3) | PCIe 3.0次第 | |||
USB 20Gbps (*4) | 20Gbps x2 or 20Gbps x1 + 10Gbps x2 or 10Gbps x4 | 20Gbps x1 or 10Gbps x2 | ||
USB 10Gbps | 8 | 4 | ||
USB 5Gbps | 0 | |||
USB 2.0 (480Mbps) |
12 | 6 |
では、気になるところを解説していきます。
AMD 600シリーズチップセットはRyzen 7000シリーズCPUと共に登場したチップセットですが、ソケットは前シリーズのAM4からAM5に変わりましたので、互換性は失われました。よって、旧世代CPUはAMD 600シリーズチップセットを搭載するマザーボードに取り付けることさえできません。
ただ、ソケットは毎回変わる訳ではありませんので、AMDの次世代CPUは高い確率でAMD 600シリーズチップセットで使うことができるでしょう。しかし、BIOSのアップデートを行わないとCPUが認識できませんので、注意が必要です。
メモリについてですが、これも前世代のDDR4からDDR5に完全に変わりましたので、旧世代のシステムから流用することなどは不可能です。
*1には数字が3つ並んでいますが、左からグラフィック用 / ストレージ用 / GPP(汎用)のレーン数を表しています。
グラフィック用はその名の通り、グラフィックボードのためのバス(データの経路)ですが、レーンを分割することができるものとできないものとに分かれます。レーンの分割の主な目的はマルチGPU(複数枚のグラボを協調させること)ですので、レーンの分割ができない場合はマルチGPUもできないということになります(グラフィックボード側の対応も必要です)。
ただ、マルチGPUは近年下火になりつつある技術で、対応の状況などもあまり公開されなくなりました。よって、もう考慮から外した方が賢明かと思います。
さて、上記の表ではX670EとB650EがPCIe 5.0に、X670とB650がPCIe 4.0にレーンを割り当てていますが、これが名前の末尾にEが付くか付かないかの違いを表しています。PCIe 5.0を採用するE付きの方が格上という意味です。
ストレージ用はNVMe接続の高速SSDのためのバスです。上記の表ではB650だけがPCIe 4.0での接続になります。
GPP(General Purpose Port)用は様々な用途のためのバスという意味ですが、おそらくほとんどがストレージ用になるかと思われます。上記の表ではB650だけがGPPを持ちませんが、実際はオプションという扱いでマザーボードメーカーに委ねられるという形となるようです。
チップセット側のPCIe 3.0には注釈(*2)が付いていますが、これはバスの種類を選択する必要があることを表しています。基本はX670E / X670が8レーン、B650E / B650が4レーンですが、PCIe 2レーンとSATA3 2本を交換できるような形となっているのです。
よって、SATA3の本数はPCIe 3.0次第 (*3)となる訳ですが、この選択はユーザーが行うのではありません。あくまでもマザーボードメーカーが設計の段階で行うことですので、ユーザーは完成品であるマザーボードを選ぶだけです。
USB 20Gbps(USB 3.2 Gen2x2)もPCIe 3.0と同様にバスの種類を選択する形となっています。ベースの本数はX670E / X670が2本、B650E / B650が1本 ですが、20Gbps1本を10Gbps2本に変えることができます。これもマザーボードメーカーが行うことですので、ユーザーが変えられる訳ではありません。
名前 | X670E | X670 | X570 |
---|---|---|---|
ソケット | AM5 | AM4 | |
オーバークロック | ○ | ||
CPU | |||
メモリ | DDR5: 5200 MT/s | DDR4: 3200 MT/s | |
PCIe 5.0 | 16/4/4 | -/4/4 | -/- |
PCIe 4.0 | -/-/- | 16/-/- | 16/4 (*1) |
レーンの分割 | 1x16 + 1x4 or 2x8 + 1x4 | ||
バス | |||
PCIe 4.0 x4 | |||
チップセット | |||
PCIe 5.0 | - | ||
PCIe 4.0 | 12 | 8 / 4 + 4 (*2) | |
PCIe 3.0 | 8 or 6 + SATA3 x2 or 4 + SATA3 x4 or 2 + SATA3 x6 or SATA3 x8 | - | |
SATA3 | PCIe 3.0次第 | 4 + α (*3) | |
USB 20Gbps | 20Gbps x2 or 20Gbps x1 + 10Gbps x2 or 10Gbps x4 | - | |
USB 10Gbps | 8 | ||
USB 5Gbps | 0 | ||
USB 2.0 (480Mbps) |
12 | 4 |
AMD 600シリーズチップセットのデータの見方についてはAMD 600シリーズチップセットのスペック一覧表でお話ししていますので、ご一読頂ければと思います。
まずは、CPU側のPCIeについてです。AMD 600シリーズチップセットの方の3つの数字の意味は左からグラフィック用 / ストレージ用 / GPP(汎用)でしたが、前世代のAMD 500シリーズチップセットの方はグラフィック用 / 選択という意味です。
X570の場合(*1)は、PCIe 4.0: 4レーンを
からマザーボードメーカーが選択することになります。
また、X570のチップセット側のPCIe 4.0についても同様に、以下の選択を行う必要があります(*2)。
これが2つありますので、個別にマザーボードメーカーが選択します。
以上の選択を行うため、X570のチップセット側のSATA3の数は変動することになる訳です(*3)。固定で4本ありますので、フルにSATA3を選んだ場合は最大で14本用意することが可能です。とはいえ、これだけの本数のSATA3が必要になる用途は限られていますので、多くの人にとってはあまり関係のない話になるでしょう。
では、世代間の比較を行ってみます。
X670E / X670の強みはPCIe 5.0が利用可能な点にあるといえます。ただし、現時点ではPCIe 5.0に対応したグラフィックボードもストレージも存在さえしませんので、このメリットを活用することはできません。
とはいえ、PCIeには互換性がありますので、PCIe 5.0のバスはPCIe 4.0としても使えます(遅い方に合わされます)し、将来的にPCIe 5.0の製品が登場した際、すぐに利用可能となりますので、あって損することはないのです。
また、チップセット側を含めたバスの本数の多さもX670E / X670の強みですが、特にUSB 20Gbps(USB 3.2 Gen2x2)を利用できる点も非常に大きなメリットといえるでしょう(ただし、マザーボードメーカーが採用した場合です)。
互換性がありませんので、新しいRyzen 7000シリーズCPUを使うか、前世代となったRyzen 5000シリーズCPUを使うかでチップセットも変わることになる訳ですが、理由がなければ新しい方をおすすめします。
ただ、古い世代は成熟している分安定していることやセールで安く手に入る可能性があることなどの長所もありますので、デメリットを理解しつつ、敢えて旧世代を選ぶというのも悪くはないと思います。
名前 | B650E | B650 | B550 | |
---|---|---|---|---|
ソケット | AM5 | AM4 | ||
オーバークロック | ○ | |||
CPU | ||||
メモリ | DDR5: 5200 MT/s | DDR4: 3200 MT/s | ||
PCIe 5.0 | 16/4/4 | -/-/- | -/- | |
PCIe 4.0 | -/-/- | 16/4/- | 16/4 (*1) | |
レーンの分割 | 1x16 or 2x8 | |||
USB 10Gbps | 4 | |||
バス | ||||
PCIe 4.0 x4 | PCIe 3.0 x4 | |||
チップセット | ||||
PCIe 5.0 | - | |||
PCIe 4.0 | 8 | - | ||
PCIe 3.0 | 4 or 2 + SATA3 x2 or SATA3 x4 | 4 / 2 (*2) | ||
SATA3 | PCIe 3.0次第 | 4 + α (*3) | ||
USB 20Gbps | 20Gbps x1 or 10Gbps x2 | - | ||
USB 10Gbps | 4 | 2 | ||
USB 5Gbps | 0 | 2 | ||
USB 2.0 (480Mbps) |
6 |
AMD 600シリーズチップセットのデータの見方についてはAMD 600シリーズチップセットのスペック一覧表でお話ししていますので、ご一読頂ければと思います。
まずは、CPU側のPCIeについてです。AMD 600シリーズチップセットの方の3つの数字の意味は左からグラフィック用 / ストレージ用 / GPP(汎用)でしたが、前世代のAMD 500シリーズチップセットの方はグラフィック用 / 選択という意味です。
B550の場合(*1)は、PCIe 4.0: 4レーンを
からマザーボードメーカーが選択することになります。
また、B550のチップセット側のPCIe 3.0についても同様に、以下の選択を行う必要があります(*2)。
以上の選択を行うため、B550のチップセット側のSATA3の数は変動することになる訳です(*3)。固定で4本ありますので、フルにSATA3を選んだ場合は最大で8本用意することが可能です。
ハイクラス(X系列)以上に世代間の差が大きい印象です。バスの種類も数もAMD 600シリーズチップセットは大きく飛躍したといって良いでしょう。
また、下位クラスのB650はベースがPCIe 4.0止まりですので、無理がなければPCIe 5.0が使えるB650Eにしておいた方が良いかもしれません。とはいえ、どちらもミドルクラスチップセットですので、あまり性能にこだわる必要はないという気もします。お好みで選んで頂きたいと思います。