メモリの基礎知識と選び方

最終更新日 : 2019/04/01

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「メモリ(Memory)」とは、データを一時的に記憶しておく装置のことです。「主記憶装置」、「一次記憶装置」とも呼ばれます。

メモリの基礎知識

容量

メモリにおいて最も重要なのは容量です。実はCPUが処理できるデータは、メモリ上にあるデータだけなのです。つまり、CPUに処理させたいデータは、一度メモリに読み込まなければならないということです。

大量のデータを使用するソフトや多数のソフトを起動している場合、メモリに収めきれないことが多々あります。こういった場合、OSはスワップと呼ばれる方法で不足を回避するのですが、これはPCの挙動を遅くさせる主な要因といっても過言ではないのです。

また、一度スワップが起こると、以降の動作も全て同様に処理されるため、PCが重いままという状況は変わらないことが多いのです。 よって、メモリ不足に陥らないように充分な容量を確保しておくことが、快適な環境の絶対条件の一つになるのです。

メモリ容量というのは、多すぎてもあまり意味はありませんが、少ないと使用感に非常に大きな影響を及ぼすものだということを覚えて帰って下さい。


さて、容量などで良く見かける「GB」という言葉についてお話ししておきましょう。まず「G」ですが、これは「10億」を表す接頭辞である「Giga(ギガ)」の頭文字です。

ギガのように10の乗数を表す「接頭辞(SI接頭辞と呼ばれます)」をいくつかご紹介します。

  • k・・・Kilo(キロ)・・・1,000(千)= 10^3
  • M・・・Mega(メガ)・・・1,000,000(100万)= 10^6
  • G・・・Giga(ギガ)・・・1,000,000,000(10億)= 10^9
  • T・・・Tera(テラ)・・・1,000,000,000,000(1兆)= 10^12

1,000倍ごとに接頭辞が変わります。1,000k = 1Mということです。上記4つはPC関連でよく使われるものですので、これを機に覚えて帰って下さい。ちなみに、kだけ小文字が使われているのは、他の接頭辞が定められる前にすでに小文字で使われていたからです。

続いて、「GB」の「B」についてですが、これはデータの大きさ、サイズを表す単位である「Byte(バイト)」の頭文字です。

データサイズを表す単位は、他にも「bit(ビット)」があります。どちらも頭文字が「B」ですが、大文字の「B」がバイトを、小文字の「b」がビットを表すように決められています。つまり、「4GB」と「4Gb」は別物だということです。

また、「1バイト = 8ビット」ですので、相互に変換が可能です。4Gb = 4000Mb = 500MBとなります。

メーカー/ブランド

CPUにはメーカーやブランドがありましたが、メモリにも当然それらは存在します。

かつては、メモリとシステムとの間には「相性」というものがありました。それぞれに問題がある訳ではないのですが、組み合わせにより上手く動作しないということが良くあったのです。

その後、規格が厳密化されたことなどもあり、現在では相性問題に悩まされることはほぼなくなりました。ですので、メーカー名などは気にせずとも良いと思います。

メモリ規格

メモリにおける最重要項目は容量とお話ししましたが、速度も軽んじることはできません。

とはいえ、規格による体感できるほどの速度差は、必ずしもあるとは限らないのです。この辺りは用途次第ということにもなるでしょうが、覚えて帰って下さればと思います。

メモリには、重要な規格が3つあります。1つは「メモリそのものの規格」、それから「最大周波数」を表す「チップ規格」、最後は「最大転送速度」を表す「モジュール規格」です。以下の表にまとめます。

メモリ規格チップ規格モジュール規格データ転送速度
DDR3 SDRAMDDR3-1333PC3-1060010.6GB/sec
DDR3-1600PC3-1280012.8GB/sec
DDR3-1866PC3-1490014.9GB/sec
DDR3-2133PC3-1700017GB/sec
DDR3-2400PC3-1920019.2GB/sec
DDR4 SDRAMDDR4-1600PC4-1280012.8GB/sec
DDR4-1866PC4-1490014.9GB/sec
DDR4-2133PC4-1700017GB/sec
DDR4-2400PC4-1920019.2GB/sec
DDR4-4266PC4-3410034.1GB/sec

※一部を抜粋したもので、この他にも規格はあります。


「メモリ規格」というのは、メモリの種類の違いといっても良いでしょう。「DDR」の後の数字が世代を表し、これまで世代を1つ経るごとにデータ転送速度は倍になって来ました。また、表にはありませんが、低電圧バージョンである「DDR3L SDRAM」などもあります。

このメモリ規格、種類はそれぞれ形状が異なるため、互換性がありません。DDR3対応の「マザーボード(全てのハードが接続される基板)」にDDR4メモリは取り付けることさえできないということです。

そして、各メモリ規格ごとに複数の別の規格が存在します。それが前述のチップ規格とモジュール規格ですが、前者は「DDR」の文字とDDRの世代を表す数字の後ろに「動作周波数」を、後者は「PC」とDDRの世代を表す数字の後ろに「データ転送速度」を表記します。

どちらの表記が使われるかは場合によりますが、一般に「チップ規格の数字」を「約8倍」したものが「モジュール規格の数字」になりますので、覚えて帰って下さい。

注意点としては、メモリ規格が合えばマザーボードに取り付けることは可能ですが、実際に使えるかどうかはチップセットなどが対応しているかどうかも影響するということです。増設などを行わないのであれば、気にしなくても良いのですが、増設を考えている人はそのPCのメモリ規格を覚えておく必要があります。

デュアルチャネル

「デュアルチャネル(Dual Channel)」とは、同じ規格、容量のメモリを2枚1組で用いることにより、データの転送速度を倍にするという技術のことです。

手軽に高速化できますので、おすすめなのですが、注意点もあります。

まず、マザーボード(全てのハードが載ったり接続されたりする基盤)にメモリスロット(メモリの取り付け口)の数が1つしかなければ、当然2枚取り付けることは不可能ですので、デュアルチャネルもまた不可能となります。

また、メモリスロットが4つある場合などは、取り付ける場所が決まっていたりします。通常は、1つ目と3つ目のスロット、または2つ目と4つ目のスロットというように1つ飛ばしで取り付けます。

ペアにするメモリは、動作周波数などが異なっても普通に動作することもあるのですが、どういう問題が生じるか分かりませんので、大人しく全く同じメモリにしておくのが基本です。

そして、一番の問題は、体感できるほど高速化するとは限らない点です。

ベンチマークテストなどでチェックすれば、数字上はまず間違いなく速度アップするはずです。しかし、理屈の上ではシングルチャネルの2倍の速度ですが、それがそのままスコアに出ることはまずありません。あまり期待を抱きすぎるのは、やめておきましょう。

他にも3枚1組の「トリプルチャネル(Triple Channel)」や4枚1組の「クアッドチャネル(Quad Channel)」などがあり、それぞれシングルの3倍、4倍の速度を理論値として持ちますが、マザーボードやチップセット側が対応している必要があります。同じメモリを3枚、4枚差せば良い訳ではないことを覚えて帰って下さい。

メモリの選び方

「ゲーミングPC向け」を中心に、メモリの選び方について、お話ししたいと思います。

①最低限欲しいメモリ容量は?

一般論としては、「通常用途」なら「4GB」が目安となるでしょう。これは、「インターネットの閲覧」などがメインの場合です。ただし、余裕はあまりないと思われます。

「ミドルクラスゲーミングPC」であれば、「8GB」が最低ラインでしょう。これくらいあれば、少なくともゲームだけ起動すれば、不足するということはまずありません。

そして、「ハイスペックゲーミングPC」では、「16GB」は積んでおきたいところです。もちろん、ハイスペックPCだからといって重いゲームをしなければならない訳ではありませんから、プレイするゲームによっては8GBでも充分な場合もあるとは思います。

しかし、ハイスペックを生かせるゲームとなると、ある程度重くなるのは必然ですから、やはり16GBは欲しいかなと思います。また、最新の重めのゲームをプレイするならば、16GBは「必須」といって良いでしょう。


いずれにせよ、動作を遅くする「スワップ」が起きないようにすることが重要ですから、容量的な余裕はあればあるほど安心です。無理のない範囲で積んでおきましょう。

②メモリ速度はそれほど重要ではない

メモリ速度は、メモリ規格に表されています。以下に、最新のメモリ規格「DDR4 SDRAM」の内、現在主流のタイプをいくつか記載します。


チップ規格モジュール規格データ転送速度
DDR4-2133PC4-1700017 GB/sec
DDR4-2400PC4-1920019.2 GB/sec
DDR4-2666PC4-21300
(PC4-21333)
21.3 GB/sec


さて、「データ転送速度」についてですが、スペック上は1つ上の規格でも「10%強」ほどの速度上昇に留まっています。これは、ベンチマークテストを行えば、数字として違いが表れるでしょうが、体感上は違いを感じることはほとんどないといって良いくらいの差です。

ただし、さらに上位の規格になると違いも見えてきますので、ハイスペックPCであれば、それなりに速いメモリを合わせたいところです。

また、CPU内蔵GPU(iGPU)を使う場合は、メモリ速度が「ボトルネック(制限、制約)」になることが多いため、高速なメモリを採用することをおすすめします。

これら以外の場合は、割高になる高速メモリを無理して用意する必要はないでしょう。

③デュアルチャネルは必須

たった今「メモリ速度を気にする必要はない」とお話ししたところですが、メモリ速度に関しては1つだけ外せない条件があります。それは、先ほどお話ししたデュアルチャネルです。

もう充分に古い技術ですので、メモリスロットが1つしかないマザーボードを除いて、ほぼ全てデュアルチャネルに対応しているはずですので、積極的に狙っていきましょう。


また、これもつい先程お話ししたことですが、メモリ速度に難のある「iGPU(CPU内蔵GPU)」を有効利用するのであれば、「高速メモリ」とデュアルチャネルは、ほぼ必須といって良いでしょう。

とはいえ、iGPUの性能では、ゲーム用途にはまだまだ力不足ですから、ゲーミングPCには大人しくグラフィックボードを載せましょう。

④最初に決めておきたいメモリ構成

ここでいうメモリ構成とは、「何GBのメモリを何枚用いるか」を表しています。

例えば「8GB」のメモリを搭載するとしても、「8GB x 1」なのか「4GB x 2」なのかで意味合いは大きく変わってきます。なぜなら後者では「デュアルチャネル」が効くからです。

2枚構成にするだけで、メモリ速度が「2倍」になる訳ですから、是非ともデュアルチャネルを成立させておきたいところです。


また、不足を感じたら、メモリを増設するという考え方もあります。

これはこれで良いのですが、1つ注意点があります。

例えば、「8GB」で容量不足を感じた場合は、8GBのメモリを買い足して「16GB」にするのが通常ですが、最初にデュアルチャネル構成であった場合は「4GB x 2」という構成になっているはずです。

ということは、メモリスロット数や「トリプルチャネル(3枚1組で使うと速度3倍になる技術)」への対応などの問題を抜きにして、8GBのメモリを追加すると「4GB x 2 + 8GB」といういびつな構成になってしまうのです。

これではデュアルチャネルが成立する部分が「4GB x 2」か「4GB + 8GBの内の4GB分」という形になってしまいます(どちらも計8GB分は成立します)。

逆に、最初に「8GB x 1」の構成であれば、今度は初期状態が「非デュアルチャネル」ということになってしまうのです。


カスタマイズ不可のBTOパソコンなどでメモリ構成が決まっているのであれば、どうしようもないかもしれませんが、無駄なくデュアルチャネル化したいのであれば、最初から容量をしっかりと決めておいて、「2枚構成」にしておくべきだと思います。