Radeon GPUの特徴とスペックの見方

最終更新日 : 2021/03/23

radeon

AMD社RadeonのGPUの特徴といえば、発色の鮮明さが挙げられるでしょう。その点で、映像の綺麗さを追求するならRadeonが良いというのが一般的な評価となっています。

ただし、ドライバ(ハードを動かすためのソフトウェア)がやや不安定な点と、独自技術の完成度があまり高くない点などが欠点といえるでしょう。

とはいえ、GeForceのページでもお話しした通り、世代ごとGPUごとに出来は変わってくるので、メーカーだけで全てが判断できる訳ではありません。

ここでは、そんなRadeonブランドのGPUについて、お話ししようと思います。

スペックの見方

それでは、実際の製品を例にスペックの見方についてお話ししましょう。

Radeon RX 6000シリーズの最上位クラス、Radeon RX 6900 XTのスペックの一部を以下に挙げます。

GPU名Radeon RX 6900 XT
開発コードネーム
(アーキテクチャ)
Big Navi (RDNA 2)
コア
コア(SP)数5120
RTコア数80
ベースクロック-
ターボクロック2250 MHz
ゲームクロック2015 MHz
メモリ
VRAM16 GB
タイプGDDR6
速度16 Gbps
バス幅256 bit
帯域512 GB/s
その他
TDP300 W
(8pin x 2)
DirectX12
CrossFirex

データの基本的な見方については、GPU(グラフィックボード)でお話ししていますので、参照してみて下さい。

また、Radeon / GeForceのGPU性能については、GPU比較&ランキングで詳しく知ることができますので、是非チェックしてみて下さい!

GPU名

GPU名は、ある規則に従って付けられています。名前を構成する文字列、数字の意味について、お話しします。

Radeon

Radeon(レイディオン、ラデオン)AMD社のPC向け / 個人向けのGPUのブランド名です。

NVIDIAにはQuadroというプロ向け / 企業向けのGPUブランドがありましたが、AMDにもFirePro(ファイアプロ)という同じような方向性のブランドがあります。QuadroもFireProもDirectX向けには作られていませんので、ゲーム用途には不向きであることは覚えて帰って下さい。

RX

RXは、格や等級を表す文字列です。

以前はR + 数字という表記がされていました。最高位がR9で、以下R7R5R3などというようにです。つまり、CPUやAPUのような性能も表すブランド名だった訳です。

それが、現在はRXで統一されるようになりました。

ちなみに、真偽のほどは分かりませんが、このXローマ数字の"10"を意味していて、R10を表しているなどという説もあるようです。

数字

GeForceでもそうでしたが、GPU名が持つ数字には、2つの意味が含まれています。 1つは世代で、もう1つは相対的な性能です。

数字シリーズ名
300番台Radeon Rx 300シリーズ
400番台Radeon RX 400シリーズ
500番台Radeon RX 500シリーズ
-Radeon RX Vegaシリーズ
-Radeon VII
5000番台Radeon RX 5000シリーズ
6000番台Radeon RX 6000シリーズ

最上位桁が同じGPUは、同じシリーズ、世代でくくられます。例えば、百の位が5ならば、Radeon RX 500シリーズなどと呼ばれる訳です。

現在はもうあまり見掛けなくなりましたが、300番台の数字を持つRadeon Rx 300シリーズは前項でお話ししたR + 数字でブランドを表していた最後の世代になります。xが小文字なのは、数字が入ることを表しています

その後の400番台500番台は、最上位桁の数字で世代を表し、下2桁の数字で相対的な性能を表していました。数字が大きいものほど、そのシリーズにおける性能も高いということです。以下に、おおざっぱな分類を挙げます。

数字スペック
x80以上ハイクラス
x70、x60ミドルクラス
x50以下ロークラス

分類上は上記のようになりますが、率直にいって、GeForceのGPUに比べて性能的にやや劣るため、ハイクラスRadeonでもミドルクラスGeForce程度の性能に留まることも多い点に注意が必要です。


さて、分かりやすい命名規則を持っていたRadeonでしたが、RX 500シリーズの次世代に当たるRadeon RX Vegaシリーズからは、名前の付け方が目まぐるしく変わるようになってきました。

RX Vegaシリーズについては、この後のコアの項目で、お話しします。


Radeon VII(セブン)は、独特なGPUです。前世代RX Vegaシリーズの改良版といったGPUなのですが、1モデルしかないため、シリーズを構成していないのです。

名前に含まれる「VII」はプロセスルール7nm」であることが由来のようですが、第2世代Vega = V(ega) IIという説もあるようです。真偽のほどは分かりませんが、後者はなかなか面白い話ではあると思います。


そして、最新世代は6000番台の数字を持つRadeon RX 6000シリーズですが、現在のところ6900と6800、6700の3系統が存在し、それぞれRadeon RX 6900シリーズRadeon RX 6800シリーズRadeon RX 6700シリーズとして個別に扱われることもあるようです。

前シリーズとなるRadeon RX 5000シリーズから最上位桁世代上位2桁目相対的な性能を表していますので、RX VegaシリーズとRadeon VIIを経て原点回帰を行ったようにも見えます。

しかし、下2桁は全てのモデルが00と活用されず、同じ数字の上位モデルにはRX 6800 XTのようにXTというサフィックス(接尾辞)を付ける形式にしている辺りに少し変化があります。

コア

NVIDIAのGPUコアはCUDA(クーダ)コアと呼ばれていますが、一般的にはシェイダープロセッサ(Shader Processor)、あるいはストリームプロセッサ(Stream Processor)などと呼ばれています(以下SP)。

AMDではSPのまま呼んでいましたが、近年は64基のSPを1つにまとめたものをCompute Unit(コンピュートユニット)、さらにそのCUを含めたいくつかの装置をまとめたものをShader Engine(シェイダーエンジン)と呼び始めました。

各CUやSEごとに様々なハードウェアを割り当てて共有させることで小さなGPUのように扱い、GPU全体が小さなGPUの複合体となるような構造にしているのです。


さて、前項でRadeon RX Vegaシリーズの数字について触れましたが、同シリーズの2つのモデルRadeon RX Vega 64Radeon RX Vega 56の数字は、まさにこのCUの数を表しているのです。

RX Vega 64のSP数は64 x 64 = 4096で、RX Vega 56のSP数は56 x 64 = 3584ということです。

この方式は、Vega世代のノート向けGPUでも使われていますので、覚えて帰って頂ければと思います。

クロック周波数

コアクロックには、通常時のベース(定格)クロックと負荷が掛かった時に自動で引き上げられた時のブーストクロックの2種類があります。

GeForceのブーストクロックは引き上げが起きた際に平均的に到達するクロックを表しましたが、Radeonの場合は最大クロックを表しますので、ご注意下さい。

また、Radeon RX 5000シリーズからはゲームクロックという概念が追加されましたが、これはゲームプレイ時の平均動作クロックを意味します。

VRAM

基本的なことはGPU(グラフィックボード)GeForceVRAMの項目でお話ししていますので、参照してみて下さい。


Radeon RX 6900 XTのVRAMには、GDDR6という規格のメモリが使われています。GDDR6は、現在のグラボのVRAMとしては標準的な規格です。

しかし、旧世代のRadeon VIIRadeon RX Vega 64 / 56などのVRAMには、HBM2(High Bandwidth Memory 2)という規格が使われていました。

これは速度は遅いのですが、その名の通り、メモリバス幅が広いタイプで、全体として高速に動作するタイプのメモリです。

立体構造を取るため、面積を小さくできたり、また消費電力面でもメリットがありますので、できれば採用したいところなのですが、価格が高いため、一部のハイスペックGPUにしか使えないのが現状です。


さて、RX 6900 XTのメモリ帯域(データ転送速度)

16 x 256 [Gbit/sec]
= 4,096 [Gbit/sec]
= 512 [GByte/sec]
(1Byte = 8bit)

となります。


また、GPU用のメモリであるVRAMには、GPUによって通常容量半減容量の2つのタイプが混在するものもありますので、注意が必要です。

RX 500 / 400シリーズは大半がこのタイプで、当然一般的には容量が大きい方が高価となります。購入する際には、しっかりと確認した方が良いでしょう。

消費電力

Radeon RX 6900 XT消費電力300Wで、必要な補助電源8pin x 2となっています。

供給可能な電力は、PCI-Expressスロットからは75W6pin補助電源からも75W8pin補助電源からは150Wですので、PCI-Expressスロットと8pin x 2からの電力供給能力は最大375W(75W + 150W x 2)になります。

容量に関しては、メーカーがOC(オーバークロック: クロック周波数の上昇)を行っていたり、オリジナルクーラーを使用していたりするなど、独自の改良を行って消費電力が増加している場合や、また消費電力は常に一定ではないため、ある程度の余力も必要となりますので、大きめの容量を考えなければならないのです。

よって、GPU自体に定められた消費電力ではなく、グラフィックボードごとの消費電力を確認することが重要になります。


グラボは、メーカーや製品のコンセプトにより、冷却重視、静音重視、性能重視など様々なモデルが販売されていますので、良く調べて自分の目的に見合った製品を購入しましょう。

CrossFire

CrossFire(クロスファイア)とは、複数のグラフィックボードを協調させて、1枚のグラフィックボードとして扱う、AMDの技術のことです。かつては、最後にXを付けたCrossFireX(クロスファイアエックス)と呼ばれたこともありますが、現在はCrossFireが正式なようです。

NVIDIAも同様の技術を持っていて、こちらはSLI(Scalable Link Interface : エスエルアイ)NVLink SLIなどと呼ばれています。


SLIは構築の条件がなかなか厳しいのですが、現在のCFは比較的楽に組めるようになっています。詳細には触れませんが、最近のグラボであれば、同じGPUのグラボをマザーボードに取り付けて、新しめのドライバにするだけでほぼOKです。NVIDIAのようなグラボ同士を直接繋ぐケーブルなどは、必要ありません。

また、協調させられるグラボの枚数に応じて数字-Wayと表記されることもあります。例えば4-Wayであれば、最大で4枚のグラボを協調させられることを意味します。


SLI / CFは、しっかりと条件を満たしていれば枚数倍の性能とまではいきませんが、それに近い性能が引き出せることもあります。しかし、ハード面の問題をクリアしたとしても、ソフトが対応していなければ全く性能が発揮されないこともあるなど、なかなかにクセがすごい技術です。

さらに、Radeon 6000シリーズはCFに未対応ですが、ライバルNVIDIAの最新世代GPU、GeForce RTX 30シリーズでもSLIに対応しているのはハイエンドモデルのGeForce RTX 3090のみと、率直にいって、技術自体が下火になりつつあるように感じます。

アーキテクチャ一覧

さて、ここからはAMDのGPUアーキテクチャについて、お話しします。概要は、アーキテクチャでお話ししていますので、参照してみて下さい。

以下に、近年のアーキテクチャを記載します。

マクロ
アーキテクチャ
(読み方)
コア
アーキテクチャ
プロセス
ルール
採用世代
Polaris
(ポラリス)
第4世代GCN 14nm Radeon RX 400シリーズ
Radeon RX 500シリーズ
Vega
(ヴェガ)
第5世代GCN Radeon RX Vegaシリーズ
7nmRadeon VII
Navi
(ナヴィ)
RDNA Radeon RX 5000シリーズ
Big Navi
(ビッグナヴィ)
RDNA 2 Radeon RX 6000シリーズ

現在はRadeon RX 6000シリーズが採用しているBig Naviアーキテクチャの時代です。また、プロセスルールについても理解しておいて頂ければと思います。


AMD GPUのアーキテクチャは少しややこしいため、まずはこの点について、お話ししたいと思います。

いわゆるアーキテクチャとは、表中でいうコアアーキテクチャが該当しますが、CPUでもGPUでもコアのアーキテクチャは正式にはマイクロアーキテクチャと呼ばれます。

GCNとは、Graphics Core Next(グラフィックスコアネクスト)の頭文字を取った言葉です。改良が重ねられ、最新のGCNは第5世代です。

また、GCNは初代をGCN 1.0としていましたので、第5世代であればGCN 1.4というような表記をすることもあります。ただ、近年は第X世代GCNという呼び方の方がメインのようです。

それに対し、マクロアーキテクチャとは、マイクロアーキテクチャの1つ上のくくりで、コアなどが載るチップに対するアーキテクチャというような意味です。Radeon RX 400シリーズPolarisマクロアーキテクチャから採用されました。

ただし、一般的には、これらを厳密に区別する必要もありませんので、Polarisを単にアーキテクチャと呼ぶことの方が多いようです。


さて、Polarisマクロアーキテクチャは、RX 400シリーズの次のRadeon RX 500シリーズでも引き続き採用されました。というよりは、RX 500シリーズはRX 400シリーズのプチ改良世代ですので、スペックも性能もほぼ同じだったのです。

しかし、その次のVegaマクロアーキテクチャは、GCNアーキテクチャも世代が1つ進んで進化を見せましたが、何より大きな違いはハイエンドモデルが登場したことにあります。

実は、Polaris時代のGPUは全てミドルクラスで、ハイスペックに属するはずのRX 590でさえもスペック的にはミドル級だったのです。

逆に、Vega時代はミドル以下のGPUがありませんから、この2世代(3シリーズ)は合わせて1世代のようなところがあるかもしれません。

その後、プロセスルールが7nmに微細化されたRadeon VII(7)が登場しましたが、プロセスルール以外の基本的な部分は、RX Vegaシリーズと変わりありません。


2019年7月にはRadeon RX 5000シリーズが登場しました。

マクロアーキテクチャはNaviといいますが、この世代からマクロアーキテクチャという言葉があまり使われなくなって、単にアーキテクチャや開発コードネームといった呼び方になった印象です。

とはいえ、意味合いが変わった訳ではありませんから、特に気にする必要もないと思います。

Naviの特徴は、ゲーム向けのGPUという点にあるでしょう。これは、ゲーム向けに開発された新マイクロアーキテクチャRDNA(Radeon DNA)がもたらした特徴です。

前アーキテクチャGCNは、GPGPU(GPUをCPUのように汎用的に扱う技術)向けに開発されたコアでした。よって、GPUの性能としては高いものの、ゲーム性能があまり伸びず、ゲームをメインターゲットとしているライバルNVIDIAのGeForceブランドに勝てなかったのです。

Naviはゲーム寄りにシフトしたため、GPGPU向けの性能はGCNに比べてダウンしているのですが、一般ユーザーにとって高性能GPUを必要とする用途といえば、ほぼゲームといっても過言ではありませんから、Naviの路線変更はメリットといって良いかと思います。

実際、RX 5000シリーズはSP数から見るとミドルクラスですが、充分過ぎるほどのゲーミングパフォーマンスを見せています。


そして、2020年11月に登場したのが、開発コード名Big NaviRadeon RX 6000シリーズで、これが現在の最新世代ということになります。

マイクロアーキテクチャは前世代のRDNAを一歩進めたRDNA 2で、全体的なパフォーマンスも順当に進化したのですが、何よりも大きいのはこの世代はハイクラスを含むという点です。

RX 5000シリーズの最高スペックGPUがRX 5700 XTだったのに対して、RX 6000シリーズの内、最初に発表された3つのGPUは、RX 6900 XTRX 6800 XTRX 6800で、特にRX 6900 XTに関してはRX 590以来の9の数字を持つハイエンドモデルとなったのです。

また、その性能もライバルNVIDIA GeForceの対抗ブランドに迫るなど、もはやゲームはGeForceという常識は崩れ去ろうとしているといっても過言ではないでしょう。

開発コードネーム一覧

基本的なことは、開発コードネームでお話ししていますので、分からないことなどは、そちらを参照してみて下さい。


以下に、ここ数世代のGPUのアーキテクチャ開発コードネームGPU名を挙げますが、データが錯綜しているため、正確性はあまりない点にご注意下さい。

アーキテクチャ開発コードネームGPU名
Polaris
(第4世代GCN)
Polaris 10 XTRadeon RX 480
Polaris 10 PRORadeon RX 470
Polaris 11Radeon RX 460
Polaris 20 XTXRadeon RX 580
Polaris 20 XLRadeon RX 570
Polaris 21Radeon RX 560
Polaris 12Radeon RX 550
Polaris 30 XTRadeon RX 590
Vega
(第5世代GCN)
Vega 10 XTRadeon RX Vega 64
Vega 10 XTXRadeon RX Vega 56
Vega 20Radeon VII
Navi
(RDNA)
Navi 10 XTRadeon RX 5700 XT
Navi 10 XLRadeon RX 5700
Navi 10 XLERadeon RX 5600 XT
Navi 10 XERadeon RX 5600
Navi 14 XTXRadeon RX 5500 XT
Navi 14 XTRadeon RX 5500
Big Navi
(RDNA 2)
Navi 21 XTXRadeon RX 6900 XT
Navi 21 XTRadeon RX 6800 XT
Navi 21 XLRadeon RX 6800
Navi 22 XTRadeon RX 6700 XT

現在のAMD製GPUの開発コードネームは、マクロアーキテクチャ + 数字(+ 文字列)で構成されます。

詳細は分かりませんが、表を見る限りでは、10の位の数字世代を表しているようです。また、1の位の数字が小さいほどハイスペックですから、これが相対的な性能を意味していそうです。

この辺りは、NVIDIAの命名規則と良く似ているといえるでしょう。ということは、マクロアーキテクチャ + 数字が同じGPUは、全て同じチップを使っている双子、三つ子の関係にあると見て良いと思います。

実は、CPUやGPUなどは、同じ半導体チップを使いながら、品質チェックの結果、求める水準を超えられなかったものは、特定の機能を削ることでスペックを落とされて、異なるCPU / GPUとして販売されているのです。

この時、手が加えられず、スペックを落とされなかったチップをフルスペック版と呼んだりします。

最後の文字列はを表しているようです。数字まで同じGPU(同じチップ)の序列をはっきりさせるためのものでしょう。正確なものかは分かりませんが、伝統的にXTX > XT > XL (またはPRO) > XLE > XEという序列となっているようです。