GPU(グラフィックボード)

最終更新日 : 2023/09/15
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PCがプログラムを処理した結果をユーザーに伝える方法はいくつかありますが、その中でも最も大きな比重を占めるのが視覚情報、つまりディスプレイに情報を表示するというやり方です。

これを司るのがGPU(Graphics Processing Unit : グラフィックスプロセッシングユニット)と呼ばれるハードウェアです。GPUがなければ、ユーザーがPCから得られる情報が大きく制限されるため、非常に不便になってしまうでしょう。

また、高度なグラフィック処理を必要とするゲーミングPCにおいては、GPUが最重要ハードといっても過言ではありません。

ここでは、GPUの役割や性能を表す要素、理解しておきたい技術などを分かりやすくお話ししようと思います。

GPUとは

冒頭でもお話ししましたが、GPUの役割はグラフィック(画像)データを処理してディスプレイに送ることがメインになります。グラフィック処理に掛かる負荷は非常に大きいため、専用の処理装置が必要になる訳ですが、それがGPUであるということです。

また、GPUと同じような意味の言葉にグラフィックボード(Graphic Board)というものがあります。略してグラボとも呼ばれたり、あるいはグラフィックカード(Graphic Card)ビデオカード(Video Card)などと呼ばれることもあります。

しかし、GPUとグラボはイコールの関係ではありません

グラボは、GPUやGPUが扱うデータを置いておくVRAM(Video RAM : ビデオラムの略、ブイラム)と呼ばれる専用のメモリ、各種入力出力端子、GPUクーラーなどGPUが必要とするハードや装置をひとまとめにした拡張カードなのです。

では、グラボのないPCにはGPUが存在しないのでしょうか?

実は、現在のCPUはその内部にGPUを含んでいるのです。これをCPU内蔵GPUと呼んだりします。内蔵GPUはVRAMなどがないため、メインメモリを間借りしてVRAMとして使用します

よって、グラボがなくてもグラフィック処理は行えるのですが、やはり専用のハードであるグラボに比べると内蔵GPUの性能は大きく劣ってしまいます。高度なグラフィック処理が求められるゲームでは、内蔵GPUはなかなか太刀打ちできないのです。


GPUとグラボは同じ意味ではないことがお分かり頂けたかと思いますが、グラボの性能はGPUの性能でほぼ決まってしまうため、グラボ = GPUという図式は大きく間違っている訳でもないのです。当サイトでも、明確に分ける必要がなければ、同じものとして扱っていますので、ご理解下さい。

GPUのスペックの見方と用語解説

GPU関連の言葉は専門用語が多いため、馴染みのない人にとっては良く分からないものだらけだと思います。

ここでは、そういった言葉や概念について、具体的な例を挙げながら分かりやすく解説したいと思います。

以下に、メインストリーム向け、現行世代最高性能GPUのスペック(仕様)とそのGPUが属する世代に関するデータを挙げます。

NVIDIAメーカーAMD
GeForceブランドRadeon
GeForce RTX
4090
GPU名Radeon RX
7900 XTX
16384コア数6144
128RT用コア数96
512AI用コア数192
2235 MHz定格コア
クロック周波数
-
2520 MHzブーストコア
クロック周波数
2500 MHz
24 GBVRAM16 GB
GDDR6XメモリタイプGDDR6
21 Gbpsメモリ速度20 Gbps
384 bitメモリバス幅384 bit
1008 GB/sメモリ帯域960 GB/s
450 WTDP355 W
8pin x3 or
12VHPWR (450 W)
補助電源8pin x2
TSMC4N (5 nm)プロセスルール5-6 nm
Ada LovelaceGPU
アーキテクチャ
RDNA 3
AD102開発
コードネーム
Navi 31
RTX 4090数字RX 7900 XTX
RX 7900 XT

それでは、一つずつ見ていきましょう。

メーカー

GPUの主な開発会社はNVIDIA(エヌヴィディア)AMD(エイエムディー)です。ちなみに、AMDの正式名称はAdvanced Micro Devices(アドバンストマイクロデバイセズ)です。

製品としてのグラフィックボードは、このGPUを元に様々なメーカーが独自の機能を盛り込んで製造しますが、基本的な性能はGPUによってほぼ決まるため、スペック表にはGPU名が記載されることが多いのです。


また、CPU内蔵GPUも存在しますが、CPUですのでIntel(インテル)AMDが開発を行っています。AMDはCPU(APUを含む)とGPU(グラボ向け)の両方を開発しているということです。

現在のCPU内蔵GPUの性能は、負荷の軽い3Dゲーム程度であればそれなりに遊べるくらいに進歩しているのですが、中位クラスのグラフィックボードの性能にはまだまだ及ばないのが実情です。


まずは、NVIDIAAMDの名前だけでも覚えて帰って下さい。

ブランド

NVIDIAAMDには、特定のコンセプトを持ったブランドがいくつか存在します。

NVIDIAメーカーAMD
GeForce
(ジーフォース)
個人向け
/ゲーム向け
ブランド
Radeon
(レイディオン)
Quadro
(クアドロ)
企業向け
/業務向け
ブランド
FireProなど
(ファイアプロ)

NVIDIAGeForce(ジーフォース)AMDRadeon(レイディオン、またはラデオン)が、それぞれの個人向け、ゲーム向けGPUのブランド名です。

企業向け、業務向けQuadro(クアドロ)Radeon Pro(レイディオンプロ)は、絶対性能でいうならばGeForceRadeonよりも高いということもできるのですが、ゲームプログラムがQuadroRadeon Pro向けに作られていないことなどもあって、性能を発揮することができない場合もあるため、一般ユーザーはGPUの候補から外しても構いません。また、プロ向けだけあって、非常に高価でもあります。

なお、QuadroRadeon Proは毛色が大きく異なるため、当サイトでは扱いません。ご了承下さい。


それから、IntelのCPU内蔵GPUのブランド名は、HD Graphics(エイチディーグラフィックス)といいます。

前項でお話しした通り、AMDはCPUとGPU(グラボ向け)の両方を開発しているのですが、RadeonブランドはCPU内蔵GPUにもグラボ向けGPUにも同じRadeonの名称を使っているため、非常にややこしいことになっています。


詳細は後ほどお話ししますので、ここでは各メーカーのブランド名だけでも覚えて帰って下さい。

GPU名

GPU名は、ある規則に従って付けられています。詳細については、それぞれのブランドの名前を構成する文字列、数字の意味について、お話しします。

NVIDIAメーカーAMD
GeForce RTX
4090
GPU名Radeon RX
6950 XT
GeForceブランド名Radeon
RTXクラスRX
4000数字7000

RTXRXは、性能を基準としたクラスを表しています。

RTXは以前はGTXと呼ばれていました。また、GTXは上位クラスに付けられ、下位クラスにはGTが付くか、あるいは無印(何も付かない)でした。

しかし、近年はGT無印などの下位クラスGPUはほとんど販売されていません。おそらくは、CPU内蔵GPUの性能が向上したため、ロースペックグラフィックボードの需要がなくなりつつあるからかと思われます。

GTXからRTXへ名称が変わったのは、レイトレーシング(Ray Tracing)と呼ばれる技術にハードウェア的に対応したことが理由です。つまり、RはRayの頭文字ということです。

レイトレについては、RTコアを参考にしてみて下さい。


続いてRadeonRXについてです。

こちらは以前はR9R7R5というようにR + 数字という表記方法でした。つまり、CPUのような性能も表すブランド名だった訳です。

それが、現在はRXで統一されるようになりました。詳細な意味は分かりませんが、一説によると、このXローマ数字の"10"を意味していて、R10を表しているなどという話もあるようです。


GPU名が持つ数字には、2つの意味が含まれています。

1つは、シリーズ世代といった意味です。

GeForceの最新世代には4000番台の数字が割り振られていますが、これは上位2桁で世代を、下2桁でその世代における相対的な性能を表していて、世代全体はGeForce RTX 40シリーズと呼ばれます。

Radeonも似たような構成ですが、やや異なります。最新世代には7000番台の数字が割り振られていますが、こちらは最上位桁で世代を、それ以外の数字でその世代における相対的な性能を表していて、世代全体はRadeon RX 7000シリーズと呼ばれます。

ただし、百の位が同じモデルをまとめてシリーズとして扱う場合もあるようで、Radeon RX 7900シリーズなどと独立したシリーズ名で呼ばれることもあります。


また、RadeonXT上位クラスであることを表していますが、GeForceにもパワーアップ版を意味するTiSUPERの文字列が付くモデルがあります。

コア

NVIDIAメーカーAMD
GeForceブランドRadeon
GeForce RTX
4090
GPU名Radeon RX
7900 XTX
16384 (SM: 128)コア数6144 (CU: 96)
128RT用コア数96
512AI用コア数192

コア(Core)とは、CPUやGPUのようなプロセッサにおいて、実際にデータ処理を行う装置のことです。基本的には、数が多ければ多いほど高性能といって良いでしょう。

さて、表中のコアは3種類ありますが、どれも役割が異なりますので、それぞれについてお話しします。


CUDAコア / SP

まず、コア数とあるのが、最もオーソドックスなグラフィック処理を行うコアで、これをNVIDIACUDA(クーダ)コアAMDStreaming Processor(ストリーミングプロセッサー)あるいはShader Processor(シェーダープロセッサー)と呼んでいます。後者はどちらも略語がSPですので、SP数というように呼ばれることもあります。

CPUのコア数はPC向けCPUでは10コア以下のものが主流ですが、GPUコアはハイエンドのものでは10000コア以上にもなります。とはいえ、CPUとGPUではプログラムの処理の仕方が異なるため、数による単純な比較は意味がありません


また、近年はいくつかのコアやその他の様々な装置を1つにまとめて小さなGPUを構成し、GPU全体が小さなGPUの複合体となるような構造を取るようになっています。この小さなGPUのことをNVIDIAStreaming Multiprocessor(ストリーミングマルチプロセッサー)AMDCompute Unit(コンピュートユニット)と呼んでいます。

前者は128基のコアで1つのSMを、後者は64基のコアで1つのCUを構成していますので、コアの数をそれぞれの数で割った値がSM、CUの数ということになります。



RT(レイトレーシング)用コア

3Dグラフィックスは、(X, Y, Z)の座標で表される仮想的な空間に図形データを配置して、カメラといわれるプレイヤーの視点を動かしながら、カメラから仮想世界がどのように見えるかを計算して、最終的に2次元の画面に落とし込むことで実現します。

図形データには座標や色などが含まれますが、これを加工するのがコアのお仕事という訳です。

しかし、これとは異なる表現技法が近年脚光を浴びています。それがRay Tracing(レイトレーシング)です。

人間の目もカメラのレンズも飛び込んでくる光を元に映像を作り上げますが、レイトレーシング(光線をたどる)も目やカメラと同じようなメカニズムを利用して映像にするのです。

レイトレ自体は古くからある技法で、映画などには良く使われていますが、これをゲームでリアルタイムに使おうというのがGPUのレイトレ対応で、先にNVIDIAが専用のRTコアを搭載しましたが、AMDもRadeon RX 6000シリーズでようやくこれに対応しました。



AI用コア

近年のGPUにはAI向けの専用コアも搭載されるようになりました。

先に搭載したのはNVIDIAの方でTensorコアと呼ばれています。

AMDはかなり遅れて搭載されるようになったのですが、こちらはAIアクセラレーターと呼ばれています。

クロック周波数

クロック周波数とは、各コアが動作する速度を表すものです。単位はHz(ヘルツ)で、間のM(Mega:メガ)100万を意味する接頭辞です。

動作速度ですので、この数字が大きいほど高速 = 高性能といえる訳ですが、メーカーや世代が異なれば、クロック当たりの性能も異なるため、数字だけで比較することはできなくなります。

ただ、高クロックなものほど高速ではありますので、重要な指標の一つであることは確かです。


クロック周波数には定格ブーストの2種類が存在します。

CPUやGPUは、高い負荷が掛かった時にクロック周波数を引き上げて処理能力を高める機能があります。 これをブースト機能といいます。

つまり、通常時には定格クロックで動き、負荷が掛かった時にブーストクロックで動くということです。

ただし、ブーストクロックの意味はGeForceRadeonで少し異なります。GeForceのブーストクロックはクロックの引き上げが起きた際に平均的に到達するクロックを、Radeonのブーストクロックは最大クロックを表しているのです。

また、Radeonにはゲームクロックと呼ばれるものもあって、これはゲームプレイ時の平均動作クロックを意味します。

VRAM

VRAM(Video RAM : ビデオラム)とは、グラフィックボード専用のメモリのことです。ブイラムと読みます。

ディスプレイに表示される画面は、各ウィンドウやタスクバー、背景画像などにより構成された、1枚の画像といえます。

この画像の色データは、VRAM上のある領域に記憶されていて、ディスプレイにそのまま送られます。この領域をフレームバッファ(Frame Buffer)といいますが、あまり目にすることもないですから、覚えて帰る必要はありません。

しかし、VRAMにはそれだけでなく、様々な画像データが保持されるのです。特にゲームなどでは、ある場面に必要なグラフィックデータをあらかじめVRAMに読み込んでおくことで、実際に使う時にすぐに取り出せるという仕組みが用いられています。

グラフィックデータがVRAMに読み込み切れなかった場合は、ソフトが起動できなかったり、起動後にエラーメッセージを発して終了したり、あるいは仮想VRAMとしてメインメモリに読み込まれたりします。ただ、一般的にVRAMに比べメインメモリは数倍低速ですので、読み込みの遅さやカクツキを感じることもあるでしょう。


また、CPU内蔵GPUの場合は、VRAMが存在しませんので、メインメモリ上にグラフィック用の領域が確保されます。PCのスペック表のグラフィックの項目にメインメモリと共有などと併記されている場合は、グラフィックボードを持たない内蔵グラフィックタイプであることを表します。

それから、メインメモリ上にVRAMが作られるということは、その分メインメモリが奪われることを意味します。元々充分なメモリを積んでいない場合は、システムや他のソフトが使うメモリ領域を圧迫しますので、PCの挙動を非常に遅くするスワップが起こる可能性が高くなります。

Intel HD GraphicsAMDのAPU内蔵GPUを使ってゲームをする場合は、メインメモリの容量には特に気を付けた方が良いでしょう。


それから、GPU用のメモリであるVRAMには、GPUによって通常容量と半減容量の2つのタイプが混在するものもありますので、注意が必要です。


さて、ここからはVRAMの性能に関する要素について、いくつかお話しします。


メモリタイプ

メインメモリで使われるメモリタイプといえばDDR4 / DDR5などがありますが、グラフィックボードにおいては、頭にGの付くGDDR5 / GDDR6 / GDDR6Xなどが近年は採用されています。

GDDRはグラボ用のメモリで、メインメモリ用のDDRよりも高速に動作しますが、一部ロースペックグラボなどではDDRタイプが使われることもありますので、注意が必要です。

また、iGPU(CPU内蔵GPU)には専用メモリがありませんから、メインメモリに使われる規格になる点にも気を付けなければならないでしょう。


それから、HBM(High Bandwidth Memory)と呼ばれる規格も存在します。

立体構造を取るため、面積を小さくできたり、また消費電力面でもメリットがありますので、できれば採用したいところなのですが、高価なため採用例は少なく、Radeonの最上位グラフィックボードでいくつか見られた程度です。



メモリ速度

データ転送速度に直結する要素です。

GDDR6メモリの動作速度は14Gbps、最新のGDDR6X19~21Gbpsに達します。

また、HBMの速度は2Gbpsほどと遅いですが、これらはコンセプトが異なりますので、単純な比較に意味はありません。



バス幅

バス(Bus)とは、データの伝送路を表す言葉です。つまり、バス幅とは、伝送路の数のことで、単位はbit(ビット)が用いられます。

道路に例えるならば、クロックが車の速度(あるいは台数)を表し、バス幅が車線数を表します。当然、バス幅が広いものほど、高速にデータ転送が行えます。


GeForce RTX 4090のバス幅は384bitですが、HBMではバス幅は2,000bitほどになります。ただ、メモリ速度同様コンセプトが異なりますので、やはり両者の比較に意味はありません。



帯域

データ転送速度の理論値を表すものです。メモリにおいては、容量と共に最重要項目といっても過言ではないでしょう。

帯域はメモリ速度 x バス幅で求められ、bit/sec(秒間~ビット)Byte/sec(秒間~バイト)という単位で表されます。GeForce RTX 4090でいうと、21Gbps x 384bit = 1008GB/sが帯域になる訳です。

当然、数字の大きい方が高速にデータ転送が行えますから高性能といえますが、基本的にはコアの性能に見合ったメモリが積まれることになります。ただ、時々帯域不足により性能に蓋がされるGPUがありますので、注意が必要です。

TDP

TDP(Thermal Disign Power)については、CPUのスペックの見方のページでお話ししていますので、参照して頂ければと思います。

補助電源

グラフィックボードは、多くの電力を必要とするハードウェアです。最上位クラスのグラフィックボードには、最大で500W近い電力を消費するものもあります。

通常、グラフィックボードはマザーボード(全てのハードが載ったり接続されたりする基盤)PCI-Expressと呼ばれる規格で接続されます。このPCI-Expressスロットから電力が供給されるのですが、その上限は75Wです。

よって、それ以上の電力を必要とするグラフィックボードは、補助電源と呼ばれる電源ユニットから直接電力の供給を受ける仕組みを取らなければならないのです。

補助電源には6pin(ピン)のものと8pinのものがあり、前者からは75W、後者からは150Wの電力供給が可能ですので、必要に応じてこれらをグラフィックボードのコネクタに差し込みます。

また、新たに12VHPWER(12V High Power)と呼ばれる規格も登場しました。ハイエンドGPUなどの消費電力の大きなGPUでは8pinを複数取り付ける必要がありますが、これを1つのケーブルで賄うために作られた規格で、最大で600Wの電力が供給できます。


ただ、同じGPUでもグラフィックボードによって必要な補助電源の数や種類が異なることがありますので、注意が必要です。クロックを引き上げたOC(オーバークロック)を行っていたり、オリジナルクーラーを使用していたりするなど、独自の改良を行っているモデルが該当しますが、それに伴って消費電力が上がっている場合も多いのです。

電源ユニットがグラフィックボードを含めたシステム全体の電力を供給できなければ、最悪PCは起動できませんし、起動できても動作が不安定になりがちです。

あるいは、ゲームのようにGPUに負荷が掛かるソフトを立ち上げるとシステムがダウンしたりと、安定稼働が難しくなる可能性が高いので、電源の容量には充分な注意が必要です。


それから、もし補助電源プラグがない電源ユニットを使っているならば、余っている別の種類のプラグを6pinや8pinのプラグに変換できるケーブルも販売されていますので、調べてみると良いでしょう。

プロセスルール

プロセスルール(Process Rule)とは、CPUやGPU、メモリなどの半導体を構成する回路の配線の幅を指す言葉です。製造プロセス(Manufacturing Process)とも呼ばれます。

この配線の幅が細ければ細いほど、同じ面積にたくさんの回路を詰め込むことができますし、逆に同じ大きさの回路であれば、全体のサイズを小さくすることができますので、プロセスルールの縮小化は性能アップを意味することになるのです。

最新のプロセスルールは、5nm(ナノメートル)前後ですが、微細化は徐々に厳しくなってきています。

アーキテクチャ

コアの性能は、コアの設計で決まります。この設計のことをアーキテクチャ(Architecture)と呼びます。

NVIDIAの最新アーキテクチャはAda Lovelace(エイダラブレス)AMDの最新アーキテクチャはRDNA 3と名付けられています。


プロセッサの基本的な性能はコアのアーキテクチャで決まりますし、また改良されて次世代アーキテクチャに繋がるため、その出来は非常に重要になります。

開発コードネーム

GPUの開発時に付けられ使われる名前が開発コードネームです。ただし、多くは公表され、一般的にも使われるようになります。

NVIDIA
(GeForce)
メーカー
(ブランド)
AMD
(Radeon)
Ada LovelaceGPU
アーキテクチャ
RDNA 3
AD1xx開発
コードネーム
Navi 3x

プロセッサやコアは、上記のアーキテクチャを元に、用途やコンセプトごとに異なる性能のものを個別に開発するのですが、それぞれに開発コードネームと呼ばれる名前が付けられます。

ただ、表中のコードネームは1つ大きな区切りで、ここからさらに細分化されたものが、各GPUのコードネームになります。詳しくは、次項でお話しします。

数字

開発が終わると、コードネームはNVIDIA GeForce RTX xxxxAMD Radeon RX xxxxなどのようなGPU名(製品名)に変えられて、販売されます(xには数字が入ります)。

NVIDIA
(GeForce)
メーカー
(ブランド)
AMD
(Radeon)
Ada LovelaceGPU
アーキテクチャ
RDNA 3
AD1xx開発
コードネーム
Navi 3x
RTX 4090
RTX 4080
RTX 4070 Ti
RTX 4070
RTX 4060 Ti
RTX 4060
GPU名RX 7900 XTX
RX 7900 XTX
RX 7800 XT
RX 7700 XT
RX 7600

さて、前項で触れた開発コードネームについて、お話しします。

まずは、以下に、NVIDIAAMDの最新世代GPUの名前とコードネームを記載します。

ただし、コードネームは正式に公表されるものではないため、データの正確性は保証できないことをご了承下さい。


まずはGeForceについてです。

GPU開発コードネーム
RTX 4090AD102-300
RTX 4080AD103-300
RTX 4070 TiAD104-400
RTX 4070AD104-250
RTX 4060 Ti 16GBAD106-351
RTX 4060 Ti 8GBAD106-350
RTX 4060AD107-400

GeForceの開発コードネームはアルファベット2文字 + 数字3文字がベースになりますが、アルファベットの方はアーキテクチャ名から取られています。Ada Lovelaceの場合は頭の2文字が取られてADになる訳です。

その後の3桁の数字は、最上位桁が世代を、下2桁が種類の違いを表しています。つまり、AD1xxならばAda Lovelaceアーキテクチャの第1世代という意味になるということです。

また、種類の違いとはGPUの違いを意味しています。別のいい方をすると、この5文字が同じGPUは全て、同じチップを使っている双子、三つ子の関係にあるということです。スペックが高い方に小さい数字が使われます。

実は、CPUやGPUなどは同じ半導体チップを使いながら、品質チェックの結果、求める水準を超えられなかったものなどは、特定の機能を削ることでスペックを落とされて異なるCPU、GPUとして販売されます

この時、手が加えられず、スペックを落とされなかったチップをフルスペック版と呼んだりします。

ハイフン(-)以下の数字、文字列がその違いを表していますが(細かくいうとさらにバリエーションが存在します)、これまでは伝統的に400が付くものがフルスペックで、それ以下が制限版になってきました。

これらの規則に基づいてコードネームを見ていくと、Ada Lovelace世代は現在のところ、RTX 4070 Ti / 4070には同じAD104コアが使われていますが、RTX 4060 Ti / 4060では異なるコアが使われています。

また、RTX 4070 TiAD104コアの、RTX 4060AD107コアのフルスペック版で、その他のGPUは全て制限版となっているようです。

こういった点から後々フルスペック版が出るかもしれない、といった推測も行われます。例えばRTX 4090AD102-300ならばAD102-400RTX 4090 Tiとして発売されるかもしれない、といったようにです。

とはいえ、あくまでも予測ですので、実際には登場しなかったり、発表やリークはあったもののキャンセルされたりすることも珍しくありませんので、鵜吞みにはしないようにしましょう。


続いて、Radeonについてです。

GPU開発コードネーム
RX 7900 XTXNavi 31 XTX
RX 7900 XTNavi 31 XT
RX 7800 XTNavi 32 XT
RX 7700 XTNavi 32 XL
RX 7600Navi 33 XL

Radeonの方もGeForceの命名規則と良く似ています。数字は2桁ですが、十の位の方が世代を、一の位の方が種類の違いを表していますので、方向性は同じといって良いでしょう。数字が小さい方がスペックが上という点も、数字までが同じGPUは同一チップである点も一緒です。

違いは数字の後に続く2~3文字のアルファベットにあります。GeForceは数字の大小で分かりやすかったのですが、Radeonは伝統的に

KXTX > XTX > XT > XL (またはPRO) > XLE > XE

という序列にしているようです。ただし、コードネームのアルファベットとGPU名のアルファベットが必ずしも一致する訳ではありませんので、注意が必要です。

以上を踏まえて、現行世代を読み解くと、RX 7800 XTRX 7700 XTはGPU名の数字は異なりますが、共にNavi 31コアを使う兄弟GPUであることが分かります。

また、理屈でいうと、Navi 33 XTコアやNavi 32 XEコアを採用するRX 7600 XTが用意されているかも、という推測も可能になる訳ですが、やはり実際に出るかどうかは分かりません。