storage
「ストレージ(Storage)」とは、データを保存するための記憶装置のことをいいます。その種類は、CDやDVD、Blu-ray Disc(ブルーレイディスク)などの「光学ディスク」、USBメモリやSDメモリーカードなどの「フラッシュメモリ」など多種多様です。
しかし、PCにおいてストレージといえば、磁気を利用した装置である「HDD(Hard Disk Drive : ハードディスクドライブ)」とフラッシュメモリの一種である「SSD(Solid State Drive : ソリッドステイトドライブ)」ということになるでしょう。これらにはソフトウェアやデータのみならず、OS自身も保存されます。
同じくデータを保持するハードウェアである メモリ は「主記憶装置」と呼ばれましたが、ストレージは「補助記憶装置」や「二次記憶装置」などと呼ばれます。
ストレージにおいて重要なのは、メモリ同様、容量ということになるでしょう。
ソフトウェアを「インストール(ソフトをシステムに組み込むこと)」するストレージの空き容量が、ソフト自身のサイズ以上ない場合、通常は容量が不足するメッセージが出てインストールが中止されます。
複数のストレージや「ドライブ(ストレージを区切って作るデータ領域)」があれば、インストールする場所を変更することもできますが、通常はシステムファイルが入っている「Cドライブ」に入れられることが多いでしょう。
Cドライブの容量が小さく空きがない場合、インストールされている他のソフトを「アンインストール(ソフトウェアをシステムから除去すること)」したり、ユーザーが作成したCドライブ内のデータを他のドライブに移動したりと、空きを作る作業をしなければならないこともあります。
こうして何とかインストールできても、実はその後に問題が起こることもあるのです。
それは「アップデート(Update : 更新)」です。OS自身のアップデートは、システムの不具合の修正がメインですので、放っておく訳にもいかないため、必ず行わなければなりません。
また、オンラインゲームなどは、シナリオやマップ、アイテムの追加やバグ(プログラム上の不具合)の修正などを随時行って、ソフトウェア自体のサイズがどんどん大きくなる傾向があります。
これらのアップデートでCドライブは圧迫されやすいので、空き容量には常に注意を向けておく必要があるのです。
メモリもストレージもデータを記憶する装置であるのは同じですが、大きな違いがいくつかあります。
まず、メモリと言うのは、電気の力で動いてデータを保持するため、電源を落とすとその中にあるデータは全て消えてしまいます。
それに対して、ストレージは物理的に書き込みされるため、電源を落としてもデータは消去されません。よって、残しておきたいデータなどはストレージに記録しておく訳です。
それから、速度の差も歴然としています。物理的に挙動するストレージの方が圧倒的に遅いのです。
メモリのページで、メモリが不足した時の回避法について触れましたが、その方法とは「ストレージ上に仮想的なメモリを作る」というやり方です。名前もそのままで「仮想メモリ(Virtual Memory)」と言います。
CPUが直接読み書きできるのはメモリだけですから、ストレージ上の仮想メモリにはCPUは直接アクセスができません。よって、現在使用中のソフトやデータはメモリ上に確保し、使用中でないデータなどを仮想メモリに移すのです。これにより、使用可能なメモリの容量を「見かけ上」増やすことができるという訳です。この仕組みを「スワップ(Swap)」といいます。
しかし、ストレージの挙動は遅いため、データを移す処理に時間が掛かってしまって、PCが重く感じられるという訳です。スワップが頻繁に起こるようであれば、メモリの増設をした方が良いでしょう。
HDDとSSDの違いについてですが、SSDはHDDに比べて非常に高速な動作を行えます。ですが、同じ容量であればHDDの「数倍」高価ですから、大容量SSDはなかなか手が出せません。
そこでよく使うソフトなどはSSDに、動画ファイルなどのようにあまり速度が必要でなく、容量の大きくなりがちなデータはHDDに入れるといった形が一般的に用いられています。
また、SSDの特性として「容量の大きいものほど高速」というのと「空き容量が多いものほど高速」というのがあります。出来れば全容量の半分くらいは空けておきたいものですが、それでは無駄が大きいですから、SSDを容量ギリギリで使用することはあまり好ましいことではないということを、覚えて帰って下さい。
最近はSSDの低価格化が進み、以前よりも導入へのハードルが下がって来つつあります。巨大な動画ファイルなどは、以前と同じくHDDに保存という形式が続くでしょうが、いくつかの音楽やムービー程度であれば、大容量SSDだけで充分になって来ています。
「ゲーミングPC向け」を中心に、ストレージの選び方について、お話ししたいと思います。
SSDとHDDでは、前者の方が「高速」で「衝撃に強い」作りになっています。ただ、SSDはHDDに比べて「容量が少なめ」な割に「価格が高い」ため、導入への壁が高くなっているのが現状です。
しかし、SSDの最大のメリットである高速性に関していえば、「一度SSDを経験すると、HDDには戻れない」といわれるほど、体感上の差があるのです。
よって、「OS」などの「システムソフトウェア」や頻繁に読み込みが起こる「ゲームプログラム」などは、絶対にSSDにインストールするべきです!
逆に、高速である必要のない「動画データ」や「音楽データ」などはHDDでも問題がありませんから、「安価」で「大容量」なHDDに入れておくと良いでしょう。
ストレージに「OS」と「ゲームソフト」だけをインストールした場合を考えてみます。
まず、「Windows 10」をクリーンインストールした直後で「10~15GB」、各種アップデートなどを行うと「20GB弱」ほどの容量をシステムに取られます。
次に、ゲームのインストールになりますが、当然必要な容量はゲームごとに異なりますので、一概にいえるものではありません。ただ、近年のゲームでは「数十GB」は当たり前で、巨大なものでは「100GB超え」も珍しくなくなってきました。
とはいえ、軽めのゲームなどには「数GB」で済むものも多くありますので、ここでは「20GB」辺りを見込んでみましょう。これで「20GB(OS)」と「20GB(ゲーム1本)」で計「40GB」ということになります。
40GBほどであれば、「64GB」のSSDでも良さそうですが、気を付けたいことが1点あります。それは、SSDの「大容量なものほど、空き容量が大きいものほど高速」という特徴です。
当然のことながら、メーカーやブランドにより読み書き速度に違いはあるのですが、同じブランドであれば「大容量のSSDを空きに余裕のある状態で使用する」方が、「小容量のSSDを一杯一杯で使う」よりも高速に動作するということです。
そういう意味では、できる限り大容量のSSDを半分くらいの使用率で稼働させるのが理想的なのかもしれませんが、さすがに無駄が大きい気もしますので、「SSDはカツカツの状態では使わない」ということだけを覚えて帰って頂ければと思います。
よって、40GBほどの使用量であれば、「120GBクラス」のSSDが欲しいところです。
最後に、「コストパフォーマンス(CP)」の面から見ると、現在は「250~500GBクラス」のものが最も割安といえる状況のようです。
また、64GB以下のSSDは、あまり見掛けることもなくなりつつあります。
ということで、最低限欲しい容量という意味では「120GBクラス」ということになりますが、重量級のゲームや複数のゲームをプレイすることやCP面も考えると、「250~500GBクラス」が鉄板容量ということになるかと思います。
近年登場した「高速SSD(3,000MB/s」ですが、徐々に目にするようになって、採用する人も増えてきました。
さて、その速さに関してですが、「普通のSSD(~550MB/s)」に比べて「6倍」ほどのベンチマーク結果を出すこともあるようで、大変魅力的なストレージといって良いでしょう。
しかし、そこにはちょっとしたからくりと注意点がありますので、お話ししておきます。
まず、「6倍の速度」といいましたが、これは「シーケンシャルリード」の数字なのです。シーケンシャルとは、「連続している」というような意味の言葉で、シーケンシャルリード/ライトとは、つまり「連続して配置されたデータを読み込む/書き込むこと」を表します。
それに対して、飛び飛びに配置されたデータを読み書きすることを「ランダムリード/ライト」といいますが、ランダムの方は良くて「2~3倍」ほどの速度なのです。
つまり、データのサイズや配置のされ方によっては、高速SSDの速度が発揮されづらい状況もあるということです。その場合は、速度差を体感することもないでしょう。
ただし、SSDはブランドによる性能差や接続タイプの違いによって、速度も大きく変わることがありますので、一概にはいい切れない部分があります。
そして、もう1点は「高速SSDは熱い」ということです。負荷が掛かると、非常に熱くなってしまうのです。
中には「ヒートシンク」と呼ばれる冷却のための部品が付いているものもありますが、上手く冷やせても普通のSSDよりはずっと熱いですから、色々と覚悟しておく必要があるでしょう。
また、発熱があるレベルを超えると「サーマルスロットリング」が働くこともある点に注意が必要です。サーマルスロットリングとは、発熱による破損を防ぐために、システムなどが強制的に動作に制限を掛けることをいいます。
サーマルスロットリングが働くと、当然速度制限が掛かってしまいますが、これでは高速SSDの意味がありません。
以上のように、高速SSDは「クセがすごい」のですが、大きなケース、冷却システムなどで発熱が気にならない場合には、選択肢として充分ありではあるでしょう。
ただ、肝心の性能が体感できないリスクなども考えると、強くおすすめできる段階にはまだないというのが、率直な感想です。
SSDをカスタマイズする時に難しいのは、規格、用語が分かりにくく理解しづらいことです。高速SSDには複数の規格が混在しているので、仕方がないことではあるのですが、なかなかに厄介です。
そこでここでは、比較的分かりやすく、なおかつ重要なことだけに絞ってお話ししたいと思いますので、是非覚えて帰って下さい。
高速タイプではない普通のSSDは、通常「Serial ATA(SATA、現在の主流はSATA3)」という規格でマザーボードと接続されます。「SATAケーブル」を使ってマザーボードの「SATAポート」に繋ぐのです。
それに対して、高速SSDはマザーボード上の「M.2(エムドットツー)スロット」に直に差し込む形になりますが、ややこしいのはここからです。
M.2は、いわば「取り付け口の形に関する規格」で、実際にデータをやり取りする内部の接続にはいくつかの既存の規格が用いられているのです。それらを表す代表的な言葉には「SATA」、「PCI Express(PCIe)」、「AHCI」、「NVM Express(NVMe)」などがあります。
この内、SATAとAHCIは普通のSSDで用いられるものと同じですから、M.2タイプのSSDであっても、速度は普通のSSDと変わらない点に注意が必要です。
高速SSD用に使われる規格は、PCIeやNVMeになりますから、これらが併記されているかをしっかりと確認して下さい。