Menu

チップセットの比較と選び方

最終更新日 : 2020/03/01

chipset

「チップセット」とは、ハードウェア同士のデータのやり取りを仲介、コントロールする役割を持った装置のことですが、あまり取り沙汰されることのない地味な存在です。

しかし、実はPCの方向性を左右するほどの重要パーツなのです。

ここではチップセットの基本的な知識や選び方の解説、そして最新チップセットの比較を行っています。是非、参考にして下さい。


チップセットとは?

一般的に、コンピュータのハードウェアは「マザーボード」と呼ばれるメイン基板に取り付けられますが、最低限必要とされる一部の機能は1つの「チップ(集積回路)」にまとめられて、マザーボード上に直付けされることがあります(オンボード機能)。

その内、「データの仲介や制御」を行うチップのことを「チップセット(Chipset)」といいます。チップセットは複数のチップの集合体で、最終的に1つあるいは2つにまとめられて、マザーボードに直付けされます。

PCでやり取りされるデータは、マザーボード上の様々な回路を通って各ハード間を移動しますが、これらの回路は全てチップセットに繋がれ、チップセットを経由して他のハードへと送られるのです。


チップセットは、以前は「CPU」や「メモリ」、「グラフィックボード」など速度を必要とするハードウェア用に「ノースブリッジ」、それら以外の速度を必要としないハードウェア用に「サウスブリッジ」と2つのチップで構成されてました。

しかし、現在はノースブリッジがCPUに統合されて、サウスブリッジのみとなっています。

チップセットの重要な機能

チップセットはあらゆるデータの仲介役ですから、その時点で重要パーツであることは明らかですが、中でも覚えて帰りたい機能についてお話ししたいと思います。

使用できるCPUやメモリを決める

おそらく一般ユーザーにとって最も重要なチップセットの役割といえば、「使用できるCPUやメモリを決める」ことになると思います。

CPUには「ソケット」、メモリには「メモリスロット」という物理的な取り付け口がありますが、これらが一致して取り付けることができたとしても、チップセットがそのCPUやメモリを認識できなければ、使用することはできないのです。

良くあるのが、チップセットが出た後に発売されたCPUやメモリを認識できないという問題です。チップセットは、新しいCPUやメモリが何者かを知りませんから、認識できないのも無理はありません。

この場合は、「BIOS(バイオス)」と呼ばれるOSよりも深い位置にいる基本的なプログラムをアップデートすることで、新ハードウェアが認識されるようになることもありますが、必ず使えるようになるという訳ではありませんので、注意が必要です。

また、メモリの枚数や容量、速度などもチップセットにより決まります。

OCやマルチGPUもチップセット次第

ユーザーが設定を変更することで「CPUのクロック周波数」を半ば無理やり上げる行為を「オーバークロック(OC)」といいます。

OCは、CPUを破壊することもあるなど危険を伴う行為ではあるのですが、試行錯誤を重ねて設定を詰めることで、CPUの性能を限界まで引き上げることは大変興味深いことでもあります。よって、OCはパワーユーザーにとって、自作PCの醍醐味の一つとなっているのです。


また、グラフィックボードは通常1枚のみですが、複数枚のグラボを協調させて1枚のグラボのように動作させる技術があります(マルチGPU)。これをNVIDIAはSLI、AMDはCrossFireと呼んでいます。

ただ、マルチGPUは「クセがすごい」技術で、対応しているソフトの場合はシングルGPUでは到達できない性能を発揮してくれるのですが、対応していないソフトに対しては全く効果がないどころか不安定になることもあるくらいですので、期待しすぎるのは禁物です。


これらの技術が使えるかどうかも、実はチップセットにより決まっているのです。OCもマルチGPUもCPUやグラボ側が対応している必要がありますが、それらが対応していてもチップセットが対応していなければ、全てが無駄になることもあり得ますので、注意が必要です。

ストレージなどの種類や数にも影響する

基本的には全てのデータがチップセットを経由してやり取りされる訳ですから、「SATA」や「PCI Express」などの内部接続用の経路も、「USB」のような外部接続用の経路も結局はチップセットへと繋がれています。

そして、これらの規格が使えるかどうかや、経路や端子の最大数などもチップセットによって決まっています。

ロークラスチップセットでは、接続できるストレージ数が限られているため、用途によっては不足してしまうかもしれません。

バス(PCI Express / SATA / USB)について

PCI ExpressやSATA、USBの名前が出てきましたので、これらについて少し詳しくお話ししておこうと思います。

コンピュータの世界では、コンピュータ内で様々なハードウェアが共有する「データの伝送路」のことを「バス(Bus)」と呼んでいます。

チップセットが管理する代表的なバスには、「PCIe(PCI Express)」や「SATA(Serial ATA)」、「USB(Universal Serial Bus)」などがありますが、一般的には「PCIe」が「高速ストレージ」に、「SATA」が「低速ストレージ」に、「USB」が「周辺機器」との接続に用いられます。

また、PCIeは「CPU」側にもあって、こちらは「グラフィックボード」のために使われます。

これらの規格は定期的に仕様が新しくなりますが、近年はバージョンが上がるたびに「データ転送速度」が「2倍」になるのが通例となっています。また、バージョンの代わりに「Revision(リビジョン: 改訂)」や「Generation(ジェネレーション: 世代)」などの言葉が使われたり、あるいは併用されたりすることもあります。


PCIeには「レーン」という概念、仕組みがあります。レーンとは、「1本のデータの通り道」のことで、これを複数束ねて1本とすることで「レーン数倍」の速度が得られるのです。通常は「PCIe 3.0 x4」のようにリビジョンとレーン数が表記されます。

スペック表では「x1、x2、x4、x8、x16」などを良く目にするかと思いますが、それぞれ「スロット(取り付け口)」の大きさが異なります。つまり、レーンの分割はユーザー自身が行うのではなく、マザーボードによりあらかじめなされているということです。よって、どのスロットがいくつあるかを確認する必要があります。


USBはPCIeよりも複雑です。以下に、USBのバージョンと速度の表を示します。

USB
バージョン
速度
1.012 Mbps
1.1
2.0480 Mbps
3.05 Gbps
3.110 Gbps
3.220 Gbps
4.040 Gbps

「USB 3.0」までは問題はないのですが、「USB 3.1」から「Gen(Generation)」の概念が取り入れられたため、ややこしくなりました。

USB 3.1では、USB 3.0のことを「Gen 1」、USB 3.1のことを「Gen 2」と呼んで、表記の仕方を変えたのです。その結果、USB 3.0は「USB 3.1 Gen 1」、USB 3.1は「USB 3.1 Gen 2」と呼ばれるようになったのです。また、Gen 2は速度も倍になり、前者が「5Gbps(Gbits/s: 秒間5ギガビット)」で後者が「10Gbps」となりました。

さらに厄介なことに、「USB 3.2」ではPCIeにもある「レーン」の概念が取り入れられ、「USB 3.2 Gen 2x2」というように末尾にレーン数が記載されるようになったのです。また、「USB 3.1 Gen 2」はレーン数が1ですから「USB 3.2 Gen 2x1」となる訳ですが、「x1」は省略されて「USB 3.2 Gen 2」表記となることが多いようです。

USB 3.2では、レーン数を倍にすることで速度を倍にした訳です。


このように非常に面倒くさい規格になったUSBですが、実は見方次第で意外とシンプルにもなります。

ポイントは「Genが共通であること」です。「Gen 1 = 5Gbps」、「Gen 2 = 10Gbps」、「Gen 3 = 20Gbps」というように、USBのバージョンに関係なく、Genにより基本となる速度が決まるのです。

これにレーンの概念が加わると、レーンの本数だけ速度が倍増します。つまり、「Gen 1x2」と「Gen 2x1」は同じ速度(10Gbps)になるということです。ただし、バージョンにより「ケーブルの長さ」や「給電能力」などの他のスペックが異なることはあります。

速度ごとのUSBのバージョンは、以下のようになります。

速度USB
バージョン
速度の内訳
40 GbpsUSB4 Gen 3x220 Gbps x 2
20 GbpsUSB4 Gen 3x120 Gbps x 1
USB 3.2 Gen 2x210 Gbps x 2
10 GbpsUSB 3.2 Gen 1x25 Gbps x 2
USB 3.2 Gen 2x1
= USB 3.1 Gen 2x1
10 Gbps x 1
5 GbpsUSB 3.2 Gen 1x1
= USB 3.1 Gen 1x1
= USB 3.0 Gen 1x1
5 Gbps x 1

通常、表中の赤字の部分は表記されません。なぜなら、USB 3.1にはレーンの概念がなく、USB 3.0にはレーンの概念もGenの概念もないからです。

しかし、レーンの概念がなければレーン数は必ず「1」で、Genの概念がなければGenは必ず「1」になりますから、赤字のように補うことができる訳です。

そして、おそらくこれが理由で「USB4(マイナーバージョン番号を持たない表記に変更)」には「x1」のものがありますが、純粋なUSB 3.2にはないのだと思います。つまり、純粋なUSB 3.2は「x2」のものだけで、「x1」はUSB 3.1のリネーム用に空けているということです。緑字の「x1」がそれで、先程もお話ししましたが、様々な製品の実際のスペック表では「USB 3.2 Gen 2」と表記されることが良くあります。

USB 3.0から3.2までのバージョンは、「表記法を表す」と解釈するとより分かりやすくなるかと思います。「USB 3.2式表記法(バージョン + Gen + レーン数)」、「USB 3.1式表記法(バージョン + Gen)」、「USB 3.0式表記法(バージョン)」というようにです。「Gen 1」や「x1」を加えることで、表記のバージョンアップも可能になるということです。

ただ、規格内の最大速度という意味では、「USB 3.0 = 5 Gbps」から倍々で上がっていっていますので、その点は分かりやすいかもしれません。




2020年2月現在、「USB4」に対応した製品はまだ存在しません。それどころか「USB 3.2 Gen 2x2」に対応した製品がようやくお目見えしたくらいですので、USB 3.2 Gen 2x2の普及もこれからといった段階です。

また、「USB 3.x」の混乱は実際の製品の表記にも見られます。「USB 3.2 Gen 2」のようにレーン数が省略されていたり、「~Gbps」の表記がメインだったりと、ぱっと見ではバージョンが分からないことが多いのです。

よって、USB 3.2 Gen 2x2対応の高速なUSB機器を必要としている人は、「Gen 2x2」の表記があるかどうかのチェックだけは欠かさない方が良いでしょう。


バスについてはそれほど詳しく知る必要はありませんが、バスの種類や数によって取り付け可能なパーツの種類や数も決まりますから、おろそかにして良いものでもありません。特に、最新の技術や規格を試したい人は、しっかりと確認することが重要になります。

チップセットのラインアップとスペック

現在のチップセットは、CPUの製造メーカーである「Intel」と「AMD」が自社のCPU向けに開発しているため、この2つのパーツのメーカーは必ずそろうようになっています。

ここでは、それぞれのメーカーのチップセットの「シリーズ」や「ラインアップ」、「スペック」などについて、お話しします。

シリーズ

まずは、チップセットの「シリーズ」ごとの特性を見ていきます。ただし、全てのチップセットがこれに従うとは限りませんので、ご了承下さい。


Intel

Intelチップセットの最新世代は「Intel 300シリーズ」です。直近数世代のシリーズと対応する「CPUアーキテクチャ」と「ソケット」の関係は、以下のようになります。

チップセット CPU
アーキテクチャ
ソケット
Intel 300
シリーズ
Coffee Lake Refresh (9000番台)
Coffee Lake (8000番台)
LGA1151
Intel 200
シリーズ
Kaby Lake (7000番台)
Skylake (6000番台)
Intel 100
シリーズ
Kaby Lake (7000番台)
Skylake (6000番台)

2世代前の「Intel 100シリーズ」からソケットは「LGA1151」で共通ですが、対応するCPUが異なりますから、取り付けることはできても使えるとは限りません。

例えば、「Intel 200シリーズ」もIntel 100シリーズも「Kaby Lake世代(7000番台)」と「Skylake世代(6000番台)」の両方に対応していますが、Kaby LakeはIntel 100シリーズが発売された後に登場した世代ですので、Intel 100シリーズのチップセットはKaby Lake世代のCPUのことを知る由もないのです。

よって、本来であれば、Intel 100シリーズではKaby Lake世代のCPUは動かないはずですが、先程お話しした「BIOS(バイオス)」のアップデートを行うことによって、新しい世代のCPUを認識できるようになるのです。

BIOSアップデートの手順は、認識可能なCPUでPCを起動してアップデートを行い、その後新しいCPUに換装するという形になりますが、一部のマザーボードではCPUを介さずに直接BIOSの書き換えを行える機能を持つものもありますので、気になる人は調べてみるのも良いかもしれません。


さて、これまでは何とか世代を超えることができたIntelのチップセットとCPUの関係ですが、「Intel 300シリーズ」と「Coffee Lake世代(8000番台)」でそれは終わることとなってしまいました。Intel 300シリーズはKaby Lake以前のCPUに未対応で、Intel 200シリーズとIntel 100シリーズはBIOSのアップデートを行ってもCoffee Lake以降のCPUに対応できないのです。

よって、Intel 200シリーズユーザーが最新CPUを使うには、ソケットは同じで取り付けられますが認識できないため、マザーボードの交換が必要になってしまいます。ご注意下さい。

AMD

AMDチップセットの最新世代は「AMD 500シリーズ」です。直近数世代のシリーズと対応する「CPUアーキテクチャ」と「ソケット」の関係は、以下のようになります。

チップセット CPU
アーキテクチャ
ソケット
AMD 500
シリーズ
Zen 2 (3000番台)
Zen+ (2000番台)
Socket AM4
AMD 400
シリーズ
Zen 2 (3000番台)
Zen+ (2000番台)
Zen (1000番台)
AMD 300
シリーズ
Zen 2 (3000番台)
Zen+ (2000番台)
Zen (1000番台)

2世代前の「AMD 300シリーズ」からソケットは「Socket AM4」で共通です。ただし、「AMD 500シリーズ」は「Zen(1000番台)」世代のCPUには対応していませんので、取り付け自体は可能でも使用することはできません。

また、「AMD 400シリーズ」と300シリーズの新世代CPUへの対応も基本的にはBIOSのアップデートで可能ですが、一部はアップデートを行っても認識不可のようですから、しっかりと確認を取った方が良いでしょう。

後は、Intelチップセットと同様です。

ラインアップ

IntelチップセットにもAMDチップセットにも、シリーズごとにコンセプトの異なる複数のチップセットが存在しますので、お話ししたいと思います。


Intel

Intelチップセットの直近3シリーズのラインアップは、以下のようになります。ただし、「クラス」に関しては公式的なものではなく、当サイトによる区分です。

シリーズ/クラス ハイエンドハイミドルロー
Intel 300シリーズ -Z390
/Z370
H370B365
/B360
H310
Intel 200シリーズ X299Z270H270B250-
Intel 100シリーズ -Z170H170B150H110

表をご覧になって頂くと分かりますが、クラスごとに「チップセット名の頭文字」が決まっています。

それぞれのコンセプト、ターゲットをざっくりというと、「X」が「ハイエンドCPU向け」、「Z」が「OC(オーバークロック)向け」、「H」が「標準(非OC)向け」、「B」が「ビジネス向け」となりますが、「エントリー向け」のロークラスチップセットにも「H」が使われ、標準のものよりも小さな数字が割り当てられています。

この他にも「Q」が付くものが存在するのですが、一般のPCではあまり目にすることはないため、ここでは割愛します。

種類の違いにより当然性能差もありますが、一般的には上の表の左にあるもの、数字の大きいものほど高性能です。それから、B系はビジネス向けとはいうものの、セキュリティのための何か特別な機能があるという訳ではなく、無駄な機能を削ぎ落したといったニュアンスに近いですから、実際は同じミドルクラスのH系の下位モデルといった位置付けになります。

また、ハイエンド向けはその他のチップセットとは大きく趣が異なりますので、注意が必要です。この点については、後ほどお話しします。

AMD

AMDチップセットの直近3シリーズのラインアップは、以下のようになります。

シリーズ/クラス ハイエンドハイミドルロー
AMD 500シリーズ TRX40X570--
AMD 400シリーズ -X470B450-
AMD 300シリーズ X399X370B350A320

クラスごとに「チップセット名の頭文字」が決まっているのはIntelと同様ですが、被っているものも多いため、率直にいってややこしいです。特に「ハイエンド向け」の「Intel X299」と「AMD X399」は問題があるといっても過言ではないレベルだと思います(リリースは「Intel X299」の方がやや早いようです)。

その反省もあってか、AMDは最新のハイエンドチップセットを「TRX40」と命名規則を変えてきましたが、賢明な判断というべきでしょう。

そして、これまたIntelと同じく、ハイエンド向けチップセットは他とは違いが大きいため、一くくりにすることはできませんので、ご注意下さい。

スペック

続いて、クラスごとの最新チップセットの「スペック」について、お話ししていきます。


Intel

以下に「Intel 300シリーズ」の各クラスごとのチップセットのスペックを示します。ただし、存在しない場合は旧世代の中で最も新しいチップセットを取り上げますので、ご了承下さい。

クラス ハイエンドハイミドルロー
名前 X299Z390H370B365H310
ソケット LGA2066LGA1151
OC X
SLI/CF 〇/〇X/X
PCIe Rev
(CPU)
3.0
PCIe Rev
(チップセット)
3.02.0
PCIeレーン数
(チップセット)
24206
SATA3 864
USB Ver 3.03.13.03.1
USB 20Gbps -
USB 10Gbps -64-0
USB 5Gbps 1084
USB 2.0
(480Mbps)
1410

チップセットに備わる機能はこれだけではありませんが、代表的なものを挙げてみました。ただし、これらはあくまでも理論値的なもので、実際の数字はマザーボードにより異なることもあります。

では、少し解説をしてみます。


まず、「ハイエンドは他とは違う」といった理由ですが、これは「ソケット」が他と異なる点にあります。ソケットとは「CPUの取り付け口」のことで、ソケットが異なるということは、CPUを取り付けることさえできないということになるのです。つまり、「ハイエンドCPU」には「ハイエンドチップセット(マザーボード)」を組み合わせるしかないということです。


「OC(オーバークロック)」と「SLI / CrossFire」は、ハイクラス以上のチップセットのみの対応となりますが、CPU、GPU側も対応している必要がありますので、しっかりと確認を取らなければなりません。


バスに関しては、「H310」の「PCIe(チップセット)」のリビジョンが1世代古い点に注意が必要です。

AMD

以下に「AMD 500シリーズ」の各クラスごとのチップセットのスペックを示します。ただし、存在しない場合は旧世代の中で最も新しいチップセットを取り上げますので、ご了承下さい。

クラス ハイエンドハイミドルロー
名前 TRX40X570B450A320
ソケット Socket sTRX4Socket AM4
OC X
SLI/CF 〇/〇X/〇X/X
PCIe Rev
(CPU)
4.03.0
PCIe Rev
(チップセット)
4.02.0
PCIeレーン数
(チップセット)
241664
SATA3 20122
USB Ver 3.1
USB 20Gbps -
USB 10Gbps 12821
USB 5Gbps 02
USB 2.0
(480Mbps)
46

AMDはチップセットに関するデータをあまり詳細に公開していないため、特にバスの本数に関してはかなりあやふやなところがありますので、ご了承下さい。

さて、「ハイエンド」が他とソケットが異なったり、「ロークラス」のバスのリビジョンが古い点などはIntelと同じですが、AMDの「ハイスペック以上」のチップセットが「PCIe 4.0」に対応している点は注目に値するといえるでしょう。

また、下位クラスチップセットのリビジョンは「PCIe 2.0」ですから、「高速SSD」の速度が制限されてしまいそうですが、実はAMDは「CPU側のチップセット」が「ストレージ」などに利用可能ですので、こちらを使って「PCIe 3.0」で接続することができます(Intelはグラフィックボード専用)。

チップセットの選び方

最後に、チップセットの選び方を「クラスごと」にお話ししたいと思います。

ハイエンド

メーカー IntelAMD
名前 X299TRX40
ソケット LGA2066Socket sTRX4
OC
SLI/CF 〇/〇
PCIe Rev
(CPU)
3.04.0
PCIe Rev
(チップセット)
3.04.0
PCIeレーン数
(チップセット)
24
SATA3 820
USB Ver 3.03.1
USB 20Gbps -
USB 10Gbps -12
USB 5Gbps 100
USB 2.0
(480Mbps)
144

ハイエンドチップセットの意義とは「ハイエンドCPUが使える」点にあり、ハイエンドCPUの意義とは「多くのコアを備えている(メニーコア)」点にあります。

しかし、メニーコアを有効活用できる用途は限られているのです。一般的には「動画編集 / エンコード」くらいで、負荷のかかる用途である「ゲーム」でさえ、多くのコアは必要ありません。それどころかコアの多さが消費電力(=熱)の増加をもたらして「1コア当たりの性能」に制限をかけてしまうので、逆効果になることもあるくらいなのです。

ハイエンドCPUも、これに対応するチップセットを搭載した「マザーボード」も価格が高いにもかかわらず、自分の用途に関しては性能が低いというのでは、何がしたいのか分かりません。おまけに互換性がありませんから、CPUだけ交換という訳にもいかず、換えるならマザーボードごとということになってしまいます。

つまり、「ハイエンドCPU & チップセット」の組み合わせは、なかなかにリスキーなのです。用途がはっきりしていて、なおかつその用途に対する実績があって初めて考慮に入れるくらいの慎重さを持って頂きたいと思います。

さらに、「Intel」も「AMD」もハイエンドCPUには「内蔵GPU」がありませんから、必ず「グラフィックボード」が必要になります。ご注意下さい。


さて、現在の最新チップセットといえば、Intelが「X299」でAMDが「TRX40」ですが、後者の方が発売が遅かった分、バスの規格が新しいのが両者の主な違いとなります。

特に「高速SSD(NVMe)」を利用する場合は、「PCIe 4.0」は面白い選択肢になるでしょう。

現在主流の高速SSDは「PCIe 3.0 x4(4GB/s)」で接続されるものが多く、実際の転送速度は「3~3.5GB/s」辺りが一般的です。これが最新の「PCIe 4.0 x4(8GB/s)」接続の高速SSDでは「5GB/s」辺りまで伸びてきましたので、速度を必要とする用途の人には「おすすめ」です。

その他の用途であっても、実用性はさておき、せっかくの「ハイエンドPC」ですから、最新最高のスペックでそろえるのが醍醐味ではないでしょうか。

ハイクラス

メーカー IntelAMD
名前 Z390X570
ソケット LGA1151Socket AM4
OC
SLI/CF 〇/〇
PCIe Rev
(CPU)
3.04.0
PCIe Rev
(チップセット)
3.04.0
PCIeレーン数
(チップセット)
2416
SATA3 612
USB Ver 3.1
USB 20Gbps -
USB 10Gbps 68
USB 5Gbps 100
USB 2.0
(480Mbps)
144

「動画」を扱うのでない限り、大半の人にとってハイクラスチップセットである「Intel Z系チップセット」と「AMD X系チップセット」が「事実上のハイエンド」ということになると思います。どちらも「OC(オーバークロック)」、「マルチGPU(SLI / CrossFire)」に対応し、「バスの本数」も充分に備えています。

現在のIntelとAMDのCPU性能に関しては、「ゲームではIntel、それ以外ではAMD」という評価が一般的です。

特に「ゲーム用途」では、CPUが原因でカクつきが生じる場合もありますので、Intelの高クロックCPUの方が「ゲーミングPC向き」なのですが、それでも性能不足になる事態に備えてOCにも対応しておきたいところです。OCは推奨できる技術ではないのですが、クロックを上げることでカクつきを回避できる可能性があるからです。

OC対応CPUについては、AMD CPUには条件はありませんが、Intelは「末尾K(とハイエンド向けの末尾X)」のCPUしか対応していませんので、この条件だけは必ず満たす必要があります。やや高価ではありますが、素の性能も高いですから、コスパもまずまずです。

ただし、これはあくまでもグラフィック品質にこだわった「ハイスペックPC」に限った話です。少々のカクつきは問題ないというのであれば、OCのことを考える必要はありません。


さて、最新のハイクラスチップセットは「Intel Z390」と「AMD X570」となりますが、これもハイエンドチップセットと似たような構図になっています。よって、「高速SSD(NVMe)」に興味があるならば、「PCIe 4.0」を備えたX570が第一選択肢になるでしょう。

とはいえ、多くのユーザーにとっては、「PCIe 3.0」接続の高速SSDやあるいは「SATA」接続のSSDでも不満はないと思いますので、「ハイエンドCPU」と同じく限られた用途ではあると思います。本当に必要なのか、しっかりと考えて頂きたいと思います。

ミドルクラス

メーカー IntelAMD
名前 H370B365B450
ソケット LGA1151Socket AM4
OC X
SLI/CF X/XX/〇
PCIe Rev
(CPU)
3.0
PCIe Rev
(チップセット)
3.02.0
PCIeレーン数
(チップセット)
206
SATA3 62
USB Ver 3.13.03.1
USB 20Gbps -
USB 10Gbps 4-2
USB 5Gbps 82
USB 2.0
(480Mbps)
146

「標準的なPC向け」のチップセットが「Intel H / B系チップセット」と「AMD B系チップセット」です。B系は被っている上、使われている数字も似ていますから、非常にややこしいといわざるを得ません。

それはさておき、両社のチップセットの大きな違いといえば、Intelチップセットが「OC」と「マルチGPU」に対応していないのに対して、AMDチップセットはOCと「CrossFire(AMDのマルチGPU)」に対応している点です。AMDはCPUにOCの制限がありませんから、多くのミドルスペックPCでOCが可能ということになります。

OC可能とはいえ、ミドルクラスでOCが必要となる局面はあまりないとは思います。しかし、ハイスペックGPUを換装してハイスペックPCへアップグレードする場合、CPUはOCで乗り切ってシステムの刷新を先延ばしにすることができるなど、やはりOCはあると便利かつ安心です。

Intelの場合は、OC可能な「K付きCPU」は不要ですから、「無印」が基本になるでしょう。


さて、最新のミドルクラスチップセットは、Intelが「H370」と「B365」、AMDが「B450」となっていますが、B365はH370の「スペックダウン版」といった認識で良いと思います。

また、B365の1つ前かつ1つ下のチップセットに「B360」というものがありますが、これはB365よりも「PCIe 3.0」のレーン数が少ないものの、「USB」の規格が1つ新しいという特徴がありますので、少しややこしい関係になっています。よって、用途次第ではB360の方が良い場合もあるかもしれません。

「高速SSD」については、AMDは「CPU側のPCIe」に接続できますので、速度面で問題はありませんし、なによりOCとCFへの対応がうれしいですから、やはりこのクラスのチップセットでは「AMD B450」の方が魅力的だと思います。

ロークラス

メーカー IntelAMD
名前 H310A320
ソケット LGA1151Socket AM4
OC X
SLI/CF X/X
PCIe Rev
(CPU)
3.0
PCIe Rev
(チップセット)
2.0
PCIeレーン数
(チップセット)
64
SATA3 42
USB Ver 3.1
USB 20Gbps -
USB 10Gbps 01
USB 5Gbps 42
USB 2.0
(480Mbps)
106

「Intel H系チップセット(数字が小さい方)」と「AMD A系チップセット」がロークラスチップセットに該当しますが、どちらも「OC」や「マルチGPU」に未対応、「バスの規格」も古かったり本数が少なかったりと、やはり「エントリー向け」でゲームなどの重い処理が必要な用途には力不足といわざるを得ません。

ミドルスペック構成までであれば、問題といえるほどの制限はないかもしれませんが、少し高度なことをしようとするとチップセットに足を引っ張られる可能性がありますので、通常用途であってもあまり「おすすめしたくない」のが率直な感想です。


さて、最新のロークラスチップセットは「Intel H310」と「AMD B450」となりますが、どちらもそう差はありませんので、どちらが「おすすめ」というのもありません。