チップセットとは、ハードウェア同士のデータのやり取りを仲介、コントロールする役割を持った装置のことですが、あまり取り沙汰されることのない地味な存在です。
しかし、実はPCの方向性を左右するほどの重要パーツなのです。
ここではチップセットの基本的な知識や選び方の解説、そして最新チップセットの比較を行っています。是非、参考にして下さい。
一般的に、コンピュータのハードウェアはマザーボードと呼ばれるメイン基板に取り付けられますが、最低限必要とされる一部の機能は1つのチップ(集積回路)にまとめられて、マザーボード上に直付けされることがあります(オンボード機能)。
その内、データの仲介や制御を行うチップのことをチップセット(Chipset)といいます。チップセットは、複数のチップの集合体です。
PCでやり取りされるデータは、マザーボード上の様々な回路を通って各ハード間を移動しますが、これらの回路は全てチップセットに繋がれ、チップセットを経由して他のハードへと送られるのです。
チップセットは、以前はCPUやメモリ、グラフィックボードなど速度を必要とするハードウェア用のノースブリッジ、それら以外の速度を必要としないハードウェア用のサウスブリッジの2つのチップで構成されてました。
しかし、現在はノースブリッジがCPUに統合されて、サウスブリッジのみとなっています。
チップセットはあらゆるデータの仲介役ですから、その時点で重要パーツであることは明らかですが、中でも覚えて帰りたい機能についてお話ししたいと思います。
おそらく一般ユーザーにとって最も重要なチップセットの役割といえば、使用できるCPUやメモリを決めることになると思います。
CPUにはソケット、メモリにはメモリスロットという物理的な取り付け口がありますが、これらが一致して取り付けることができたとしても、チップセットがそのCPUやメモリを認識できなければ、使用することはできないのです。
良くある問題にチップセットが出た後に発売されたCPUやメモリを認識できないというものがあります。チップセットは、新しいCPUやメモリが何者かを知りませんから、認識できないのも無理はありません。
この場合は、BIOS(バイオス)と呼ばれるOSよりも深い位置にいる基本的なプログラムをアップデートすることで、新ハードウェアが認識されるようになることもありますが、必ず使えるようになるという訳ではありませんので、注意が必要です。
また、利用可能なメモリの数や容量、速度などにもチップセットは影響を及ぼします。
ユーザーが設定を変更してクロック周波数を半ば無理やり上げることをオーバークロック(OC)といいます。
OCは、CPUを破壊することもあるなど危険を伴う行為ではあるのですが、試行錯誤を重ねて設定を詰めることでCPUの性能を限界まで引き上げることは、大変興味深いことでもあります。よって、OCはパワーユーザーにとって、自作PCの醍醐味の一つとなっているのです。
また、グラフィックボードは通常1枚のみですが、複数枚のグラボを協調させて1枚のグラボのように動作させる技術があります(マルチGPU)。これをNVIDIAはSLI、AMDはCrossFireと呼んでいます。
ただ、マルチGPUはクセがすごい技術で、対応しているソフトの場合はシングルGPUでは到達できない性能を発揮してくれるのですが、対応していないソフトに対しては効果が全くないどころか動作が不安定になることもあるくらいなのです。そういった事情からか、近年はマルチGPUが取りざたされる機会も少なくなっています。
これらの技術が使えるかどうかも、実はチップセットにより決まっています。OCもマルチGPUもCPUやグラボ側が対応している必要がありますが、それらが対応していてもチップセットが対応していなければ、全てが無駄になることもあり得ますので、注意が必要です。
基本的には全てのデータがチップセットを経由してやり取りされる訳ですから、SATAやPCI Expressなどの内部接続用の経路も、USBのような外部接続用の経路も結局はチップセットへと繋がれています。
そして、これらの規格が使えるかどうかや経路や端子の最大数などもチップセットによって決まっています。
ロークラスチップセットでは、接続できるストレージ数が限られているため、用途によっては不足してしまうかもしれません。
PCI ExpressやSATA、USBの名前が出てきましたので、これらについて少し詳しくお話ししておこうと思います。
コンピュータの世界では、コンピュータ内で様々なハードウェアが共有するデータの伝送路のことをバス(Bus)と呼んでいます。
チップセットが管理する代表的なバスには、PCIe(PCI Express)やSATA(Serial ATA)、USB(Universal Serial Bus)などがありますが、一般的にはPCIeは高速ストレージ、SATAは低速ストレージ、USBは周辺機器との接続に用いられます。
また、PCIeはCPU側にもあって、こちらはグラフィックボードのために使われます。
これらの規格は定期的に仕様が新しくなりますが、近年はバージョンが上がるたびにデータ転送速度が2倍になるのが通例となっています。また、バージョンの代わりにRevision(リビジョン: 改訂)やGeneration(ジェネレーション: 世代)などの言葉が使われたり、あるいは併用されたりすることもあります。
PCIeにはレーンという概念、仕組みがあります。レーンとは、1本のデータの通り道のことで、これを複数束ねて1本とすることでレーン数倍の速度が得られるのです。通常はPCIe 3.0 x4のようにリビジョンとレーン数が表記されます。
スペック表ではx1、x2、x4、x8、x16などを良く目にするかと思いますが、それぞれスロット(取り付け口)の大きさが異なります。つまり、レーンの分割はユーザー自身が行うのではなく、マザーボードによりあらかじめなされているということです。
ただし、サイズはx16ながら内部的にはx8のようにイレギュラーな構成になっている場合もありますので、その辺りはしっかりと確認しておく必要があるでしょう。
USBはPCIeよりも複雑です。以下に、USBのバージョンと速度の表を示します。
USB バージョン | 最高速度 |
---|---|
1.0 | 12 Mbps |
1.1 | |
2.0 | 480 Mbps |
3.0 | 5 Gbps |
3.1 | 10 Gbps |
3.2 | 20 Gbps |
4 | 40 Gbps |
USB 3.0までは問題はないのですが、USB 3.1からGen(Generation)の概念が取り入れられたため、ややこしくなりました。
USB 3.1では、USB 3.0のことをGen 1、USB 3.1のことをGen 2と呼んで、表記の仕方を変えたのです。その結果、USB 3.0はUSB 3.1 Gen 1、USB 3.1はUSB 3.1 Gen 2と呼ばれるようになったのです。また、速度も倍になり、前者が5Gbps(Gbits/s: 秒間5ギガビット)で後者が10Gbpsとなりました。
さらに厄介なことに、USB 3.2ではPCIeにもあるレーンの概念が取り入れられ、USB 3.2 Gen 2x2というように末尾にレーン数が記載されるようになったのです。USB 3.2では、レーン数を倍にすることで、これまでの倍の20Gbpsの速度を実現した訳です。
また、USB 3.1 Gen 2はレーン数が1ですから、本来はUSB 3.2 Gen 2x1となる訳ですが、x1は省略されてUSB 3.2 Gen 2表記となることが多いようです。
このように非常に面倒くさい規格になったUSBですが、実は見方次第で意外とシンプルにもなります。
ポイントはGenが共通であることです。Gen 1 = 5Gbps、Gen 2 = 10Gbps、Gen 3 = 20Gbpsというように、USBのバージョンに関係なく、Genにより基本となる速度が決まるのです。
これにレーンの概念が加わると、レーンの本数だけ速度が倍増します。つまり、Gen 1x2とGen 2x1は同じ速度(10Gbps)になるということです。ただし、バージョンによりケーブルの長さや給電能力などの他のスペックが異なることはあります。
速度ごとのUSBのバージョンは、以下のようになります。
USB バージョン | 速度の内訳 | 速度 |
---|---|---|
USB4 Gen 3x2 | 20 Gbps x 2 | 40 Gbps |
USB4 Gen 3x1 | 20 Gbps x 1 | 20 Gbps |
USB 3.2 Gen 2x2 | 10 Gbps x 2 | |
USB 3.2 Gen 2x1 = USB 3.1 Gen 2x1 | 10 Gbps x 1 | 10 Gbps |
USB 3.2 Gen 1x2 | 5 Gbps x 2 | |
USB 3.2 Gen 1x1 = USB 3.1 Gen 1x1 = USB 3.0 Gen 1x1 | 5 Gbps x 1 | 5 Gbps |
通常、表中の赤字の部分は表記されません。なぜなら、USB 3.1にはレーンの概念がなく、USB 3.0にはレーンの概念もGenの概念もないからです。
しかし、レーンの概念がなければレーン数は必ず1で、Genの概念がなければGenは必ず1になりますから、赤字のように補うことができる訳です。
そして、おそらくこれが理由でUSB4(マイナーバージョン番号を持たない表記に変更)にはx1のものがありますが、純粋なUSB 3.2にはないのだと思います。つまり、純粋なUSB 3.2はx2のものだけで、x1はUSB 3.1や3.0のリネーム用に空けているということです。緑字のx1がそれで、先程もお話ししましたが、様々な製品の実際のスペック表ではUSB 3.2 Gen 2などと表記されることが良くあります。また、USB 3.2 Gen 1x2は仕様上便宜的に存在するだけで、実際にはこれに対応した製品は存在しないようです。
USB 3.0から3.2までのバージョンは、「表記法を表す」と解釈するとより分かりやすくなるかと思います。USB 3.2式表記法(バージョン + Gen + レーン数)、USB 3.1式表記法(バージョン + Gen)、USB 3.0式表記法(バージョン)というようにです。Gen 1やx1を加えることで、表記のバージョンアップも可能になるということです。
ただ、規格内の最大速度という意味では、USB 3.0 = 5 Gbpsから倍々で上がっていっていますので、その点は分かりやすいかもしれません。
2022年10月現在、USB4に対応した製品はケーブル類を除いてほとんどありません。それどころかUSB 3.2 Gen 2x2の普及もまだまだといった段階です。
また、USB 3.xの混乱は実際の製品の表記にも見られます。USB 3.2 Gen 2のようにレーン数が省略されていたり、~Gbpsの表記がメインだったりと、ぱっと見ではバージョンが分からないことが多いのです。
よって、USB 3.2 Gen 2x2対応の高速なUSB機器を必要としている人は、Gen 2x2の表記があるかどうかのチェックだけは欠かさない方が良いでしょう。
バスについてはそれほど詳しく知る必要はありませんが、バスの種類や数によって取り付け可能なパーツの種類や数も決まりますから、おろそかにして良いものでもありません。特に、最新の技術や規格を試したい人は、しっかりと確認することが重要になります。
現在のチップセットは、CPUの製造メーカーであるIntelとAMDが自社のCPU向けに開発しているため、この2つのパーツのメーカーは必ずそろうようになっています。
ここでは、それぞれのメーカーのチップセットのシリーズやラインアップ、スペックなどについて、お話しします。
まずは、チップセットのシリーズごとの特性を見ていきますが、ここではデスクトップ向けのみを扱うこととしますので、ご了承下さい。
Intelチップセットの最新世代はIntel 700シリーズです。直近数世代のシリーズと対応するCPUアーキテクチャとソケットの関係は、以下のようになります。
チップセット | CPU アーキテクチャ |
ソケット |
---|---|---|
Intel 700 シリーズ |
Raptor Lake Refresh (14000番台) Raptor Lake (13000番台) Alder Lake (12000番台) |
LGA1700 |
Intel 600 シリーズ |
||
Intel 500 シリーズ |
Rocket Lake (11000番台) Comet Lake (10000番台) |
LGA1200 |
Intel 400 シリーズ |
*Rocket Lake (11000番台) Comet Lake (10000番台) | |
Intel 300 シリーズ |
Coffee Lake Refresh (9000番台) Coffee Lake (8000番台) |
LGA1151 |
Intel 200 シリーズ |
Kaby Lake (7000番台) Skylake (6000番台) | |
Intel 100 シリーズ |
Intel 100シリーズからIntel 300シリーズまでソケットはLGA1151で共通でしたが、対応するCPUが異なりますから、取り付けることはできても使えるとは限りません。
例えば、Intel 200シリーズもIntel 100シリーズもKaby Lake世代(7000番台)とSkylake世代(6000番台)の両方に対応していますが、Kaby LakeはIntel 100シリーズが発売された後に登場した世代ですので、Intel 100シリーズのチップセットはKaby Lake世代のCPUのことを知る由もないのです。
よって、本来であれば、Intel 100シリーズではKaby Lake世代のCPUは動かないはずですが、先程お話ししたBIOS(バイオス)のアップデートを行うことによって、新しい世代のCPUを認識できるようになるのです。
BIOSアップデートの手順は、認識可能なCPUでPCを起動してアップデートを行い、その後新しいCPUに換装するという形になりますが、一部のマザーボードではCPUを介さずに直接BIOSの書き換えを行える機能を持つものもありますので、気になる人は調べてみるのも良いかもしれません。
さて、これまでは何とか世代を超えることができたIntelのチップセットとCPUの関係ですが、Intel 300シリーズとCoffee Lake世代(8000番台)でそれは終わることとなってしまいました。Intel 300シリーズはKaby Lake以前のCPUに未対応で、Intel 200シリーズとIntel 100シリーズはBIOSのアップデートを行ってもCoffee Lake以降のCPUに対応できないのです。
つまり、Intel 200シリーズ搭載マザーボードは、Coffee Lake世代CPUを取り付けることはできますが、認識することはできないということです。
次のIntel 400シリーズでは、ソケットがLGA1200に変わりました。これにより300シリーズ以前のチップセットを搭載したマザーボードには、Comet Lake(10000番台)以降のCPUは取り付けることさえできなくなりましたので、旧世代とは完全に互換性がなくなったことになります。
Intel 500シリーズは、Rocket Lake(11000番台)世代のCPUと対になるチップセットですが、ソケットが旧世代と同じLGA1200ですので、Comet Lake(10000番台)世代のCPUにも対応しています。
ただ、Intel 400シリーズのBIOSのアップデートによる対応は、上位クラスのZ490とH470のみに限られ、B460とH410は未対応である点には注意が必要です。
また、Intel 500シリーズは前世代と比べてCPU側のPCIeの世代が1つ進んでいますが、これはCPU依存ですので、PCIe 4.0を利用するには、Rocket Lake世代のCPUを使用する必要があります。
次のIntel 600シリーズは、Alder Lake(12000番台)世代に対応するチップセットです。ソケットもLGA1700に変わったため、再び仕切り直しの世代となりました。
また、メモリの世代とCPU側、チップセット側、両方のPCIeの世代が1つ進んでいますが、メモリに関しては物理的な形状が異なるため、マザーボードごとにどちらを採用しているかを確認する必要がありますので、注意が必要です。
そして、最新のIntel 700シリーズは、Raptor Lake(13000番台)世代に対応するチップセットですが、Intel 600シリーズとはソケットが同じですので、Alder Lake世代のCPUを利用することが可能です。
チップセットの仕様自体もIntel 600シリーズとあまり変わりませんので、マイナーチェンジの世代といっても良いでしょう。
それから、Intel 600シリーズがBIOSのアップデートによってRaptor Lake世代のCPUが使えるようになるのも通例通りです。
Raptor Lake Refresh(14000番台)は、その名の通り、Raptor Lake(13000番台)のほぼリネーム世代ですので、実質同じCPUと考えても良いくらい変化の乏しい世代です。よって、Intel 600シリーズもIntel 700シリーズもBIOSのアップデートで対応可能です。
AMDチップセットの最新世代はAMD 600シリーズです。直近数世代のシリーズと対応するCPUアーキテクチャとソケットの関係は、以下のようになります。
チップセット | CPU アーキテクチャ | ソケット |
---|---|---|
AMD 600 シリーズ |
Zen 4 (7000番台) Zen 4 (6000番台) |
Socket AM5 |
AMD 500 シリーズ |
Zen 3 (5000番台) *Zen 2 (3000番台) *Zen+ (2000番台) |
Socket AM4 |
AMD 400 シリーズ |
*Zen 3 (5000番台) Zen 2 (3000番台) Zen+ (2000番台) Zen (1000番台) | |
AMD 300 シリーズ |
*Zen 2 (3000番台) Zen+ (2000番台) Zen (1000番台) |
AMDは自社のプロセッサーの内、内蔵グラフィックを含むものをCPU、含まないものをAPUと呼んで区別していますが、CPUとAPUでは数字にズレがあります(→ [CPU基礎知識] アーキテクチャとコードネーム)。上記の表の数字(~番台)はCPUのものですが、おそらくはこれを解消するために、第4世代Ryzen CPUは4000番台の数字をスキップしたものと思われます。
いずれにせよ、APUは少しややこしいですから、ここでは割愛させて頂きます。ご了承下さい。
AMD 300シリーズからAMD 500シリーズまでソケットはSocket AM4で共通です。よって、これに対応するCPUは取り付け自体は可能ですが、チップセットの種類ごとに対応しているCPUが異なりますので、使用できるとは限りません。「*」の付いたアーキテクチャのCPUがそれで、主に上位クラスのチップセットだけが対応していたり、BIOSのアップデートが必要だったりしますので、しっかりと確認した方が良いでしょう。
そして、最新のAMD 600シリーズで長く続いたSocket AM4からSocket AM5へと刷新されました。これにより、5000番台までの旧世代CPUは取り付けることさえできませんし、メモリやPCIeの世代も1つ進みましたので、大きな進化を遂げることとなりました。
IntelチップセットにもAMDチップセットにも、シリーズごとにコンセプトの異なる複数のチップセットが存在しますので、お話ししたいと思います。
Intelチップセットの直近5シリーズのラインアップは、以下のようになります。ただし、クラスに関しては公式的なものではなく、当サイトによる区分です。
シリーズ/クラス | ハイエンド | ハイ | ミドル | ロー | |
---|---|---|---|---|---|
Intel 700シリーズ | - | Z790 | H770 | B760 | - |
Intel 600シリーズ | - | Z690 | H670 | B660 | H610 |
Intel 500シリーズ | - | Z590 | H570 | B560 | H510 |
Intel 400シリーズ | - | Z490 | H470 | B460 | H410 |
Intel 300シリーズ | - | Z390 /Z370 | H370 | B365 /B360 | H310 |
Intel 200シリーズ | X299 | Z270 | H270 | B250 | - |
Intel 100シリーズ | - | Z170 | H170 | B150 | H110 |
表をご覧になって頂くと分かりますが、クラスごとにチップセット名の頭文字が決まっています。
それぞれのコンセプト、ターゲットをざっくりというと、XがハイエンドCPU向け、ZがOC(オーバークロック)向け、Hが標準(非OC)向け、Bがビジネス向けとなりますが、エントリー向けのロークラスチップセットにもHが使われ、標準のものよりも小さな数字が割り当てられています。
この他にもQが付くものが存在するのですが、一般のPCではあまり目にすることはないため、ここでは割愛します。
種類の違いにより当然性能差もありますが、一般的には上の表の左にあるもの、数字の大きいものほど高性能です。それから、B系はビジネス向けとはいうものの、セキュリティのための何か特別な機能があるという訳ではなく、無駄な機能を削ぎ落したといったニュアンスに近いですから、実際は同じミドルクラスのH系の下位モデルといった位置付けになります。
また、ハイエンド向けはその他のチップセットとは大きく趣が異なりますので、注意が必要です。この点については、後ほどお話しします。
AMDチップセットの直近3シリーズのラインアップは、以下のようになります。
シリーズ/クラス | ハイエンド | ハイ | ミドル | ロー |
---|---|---|---|---|
AMD 600シリーズ | - | X670E /X670 | B650E /B650 | - |
AMD 500シリーズ | TRX40 | X570 | B550 | A520 |
AMD 400シリーズ | - | X470 | B450 | - |
AMD 300シリーズ | X399 | X370 | B350 | A320 |
クラスごとにチップセット名の頭文字が決まっているのはIntelと同様ですが、被っているものも多いため、率直にいってややこしいです。特にハイエンド向けのIntel X299とAMD X399は問題があるといっても過言ではないレベルだと思います(リリースはIntel X299の方がやや早いようです)。
その反省もあってか、AMDは最新のハイエンドチップセットをTRX40と命名規則を変えてきましたが、賢明な判断というべきでしょう。
そして、これまたIntelと同じく、ハイエンド向けチップセットは他とは違いが大きいため、一くくりにすることはできませんので、ご注意下さい。
さて、最新のAMD 600シリーズでは、これまでになかったサフィックス(末尾のアルファベット)にEの文字が付くモデルが登場しました。これはExtreme(極度の)の頭文字でパワーアップ版を意味しますので、同名のEの付かないモデルよりもスペックが高くなっています。具体的にいうと、グラフィックボードに使われるPCIe x16がE付きはPCIe 5.0、EなしはPCIe 4.0なのです。この点だけはB650Eのスペックが上位クラスのX670を上回っていますので、注意が必要です。
続いて、クラスごとの最新チップセットのスペックについて、お話ししていきます。
以下に最新のIntel 700シリーズの各クラスごとのチップセットのスペックを示します。詳細はIntel 700シリーズチップセットでお話ししていますので、ご一読下さい。
クラス | ハイ | ミドル | |
---|---|---|---|
名前 | Z790 | H770 | B760 |
ソケット | LGA1700 | ||
オーバークロック | ○ | × | |
CPU | |||
メモリ | DDR5: 5600 MT/s DDR4: 3200 MT/s | ||
PCIe 5.0 | 16 | ||
PCIe 4.0 | 4 | ||
レーンの分割 | 1x16 + 1x4 or 2x8 + 1x4 | 1x16 + 1x4 | |
バス | |||
DMI 4.0 x8 | DMI 4.0 x4 | ||
チップセット | |||
PCIe 5.0 | - | ||
PCIe 4.0 | 20 | 16 | 10 |
PCIe 3.0 | 8 | 8 | 4 |
SATA3 | 8 | 4 | |
USB 最大ポート数 | 14 | 12 | |
USB 20Gbps | 5 | 2 | |
USB 10Gbps | 10 | 4 | |
USB 5Gbps | 10 | 8 | 6 |
USB 2.0 (480Mbps) |
14 | 12 |
チップセットに備わる機能はこれだけではありませんが、代表的なものを挙げてみました。ただし、これらはあくまでも理論値的なもので、実際の数字はマザーボードにより異なることもあります。
では、少し解説をしてみます。
オーバークロックはハイクラス以上のチップセットのみの対応となりますが、CPU側も対応している必要がありますので、しっかりと確認を取らなければなりません。
続いて、表中にはありませんが、マルチGPU技術であるSLI / CrossFireについてです。マルチGPUもGPU側が対応していなければなりませんが、さらにCPU側のPCIeレーンが分割できることも必要条件となります。
とすると、Z790チップセットとH770チップセットだけが条件を満たすことになりますが、この技術は近年下火となってしまったため、具体的な情報が開示されなくなりました。よって、正確な条件は分からないというのが率直なところです。
しかも、マルチGPUに対応しているGPUもハイエンド級のみで、その上マルチGPU自体が動作が不安定になりがちですので、もう実用的な技術とはいえなくなってきています。よって、考慮から外した方が良いでしょう。
メモリに関しては、DDR5とDDR4の両方に対応していますが、どちらも使用可能という訳ではなくマザーボードごとにどちらか片方のみが採用されるという意味ですので、注意が必要です。
前世代のIntel 600シリーズチップセットと仕様はあまり変わりませんので、Intel 700シリーズチップセットが特別有利ということもありません。
とはいえ、チップセット側の各種インターフェイス類の数が増えるなど多少のパワーアップは図られていますので、価格的メリットでもなければわざわざ旧世代を選ぶ必要まではないと思います。
以下に最新のAMD 600シリーズの各クラスごとのチップセットのスペックを示します。
AMD 600シリーズ | ||||||
クラス | ハイ | ミドル | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
名前 | X670E | X670 | B650E | B650 | ||
ソケット | Socket AM5 | |||||
OC | 〇 | |||||
SLI/CF | ? (*1) | |||||
CPU | ||||||
PCIe 5.0 | 16 (GPU) 4 (ストレージ) 4 (GPP) | 4 (ストレージ) 4 (GPP) | 16 (GPU) 4 (ストレージ) 4 (GPP) | 4 (ストレージ) (*2) | ||
PCIe 4.0 | - | 16 (GPU) | - | 16 (GPU) 4 (ストレージ) | ||
USB 10Gbps | 4 | |||||
チップセット | ||||||
PCIe 5.0 | - | |||||
PCIe 4.0 | 12 | 8 | ||||
PCIe 3.0 | 8 or 6 + SATA3 x2 or 4 + SATA3 x4 or 2 + SATA3 x6 or SATA3 x8 | 4 or 2 + SATA3 x2 or SATA3 x4 | ||||
SATA3 | PCIe 3.0次第 (*3) | |||||
USB 20Gbps | 2 or 1 + 10Gbps x2 or 10Gbps x4 | 1 | ||||
USB 10Gbps | 8 | 4 | ||||
USB 2.0 (480Mbps) |
12 | 6 |
まずSLI/CFに関してですが(*1)、近年はめっきり話題になることがなくなったこともあってか、AMD 600シリーズのマルチGPUへの対応状況を表すデータを見つけ出すことができませんでした。
ただ、通常マルチGPUに対応するにはCPU側のPCIeレーンの分割が必要になるのですが、これに関してはどのチップセットも可能なようですので、一応最低条件は満たしているといえるかと思います。とはいえ、実際にマルチGPUが可能かどうかははっきりとは分かりませんので、これ以上は扱わないものとします。ご了承下さい。
次に、B650チップセットのCPU側のPCIe 5.0に関してです(*2)。E付きとEなしの違いは、グラフィックボード用のPCIeが5.0か4.0かの違いですが、B650だけはストレージ用のレーンもPCIe 5.0ではなくPCIe 4.0が基本です。ただ、マザーボードメーカーが独自に対応するなどすればPCIe 5.0が利用できるようですので、この辺りはマザーボードごとに変わってくるという仕様になっています。
また、他の3モデルに含まれるGPP(General Purpose Port)とは、様々な用途に使われるポートという意味ですが、おそらくほとんどがストレージ用になるかと思われます。
それから、SATA3についてです。表にはPCIe 3.0次第とありますが(*3)、これはPCIe 3.0のレーンとSATA3のレーンが共用されていることが理由です。PCIe 3.0: 2本とSATA3: 2本が等価となっていますので、各マザーボードがそれぞれをいくつ取るかによって、構成が変わってくるということです。X670E / X670チップセットのUSB 20Gbpsについても同様です。
最後に、チップセットの選び方をクラスごとにお話ししたいと思います。
メーカー | Intel | AMD |
---|---|---|
名前 | X299 | TRX40 |
ソケット | LGA2066 | Socket sTRX4 |
OC | 〇 | |
SLI/CF | 〇/〇 | |
CPU | ||
PCIe 5.0 | - | |
PCIe 4.0 | - | 64 (8) |
PCIe 3.0 | 44 | - |
チップセット | ||
PCIe 5.0 | - | |
PCIe 4.0 | - | 24 |
PCIe 3.0 | 24 | - |
SATA3 | 8 | 20 |
USB 20Gbps | - | |
USB 10Gbps | - | 12 |
USB 5Gbps | 10 | 0 |
USB 2.0 (480Mbps) |
14 | 4 |
ハイエンドチップセットの意義とはハイエンドCPUが使える点にあり、ハイエンドCPUの意義とは多くのコアを備えている(メニーコア)点にあります。
しかし、メニーコアを有効活用できる用途は限られているのです。一般的には動画編集 / エンコードくらいで、負荷のかかる用途であるゲームでさえ、多くのコアは必要ありません。それどころかコアの多さが消費電力(=熱)の増加をもたらしてシングルスレッド性能(1コア当たりの性能)に制限をかけてしまうので、逆効果になることもあるくらいなのです。
ハイエンドCPUも、これに対応するチップセットを搭載したマザーボードも価格が高いにもかかわらず、自分の用途に関しては性能が低いというのでは、何がしたいのか分かりません。おまけに互換性がありませんから、CPUだけ交換という訳にもいかず、換えるならマザーボードごとということになってしまいます。
つまり、ハイエンドCPU & ハイエンドチップセットの組み合わせは、なかなかにリスキーなのです。用途がはっきりしていて、なおかつその用途に対して有効であるという実績があって初めて考慮に入れるくらいの慎重さを持って頂きたいと思います。
さらに、IntelもAMDもハイエンドCPUには内蔵GPUがありませんから、必ずグラフィックボードが必要になります。ご注意下さい。
さて、現在の最新チップセットといえば、IntelがX299でAMDがTRX40ですが、後者の方が発売が遅かった分、バスの規格が新しい点が両者の主な違いとなります。
ただ、最新とはいいましたが、X299は2017年、TRX40は2019年の発売ですので、実はどちらもスペックとしては古くなってしまっています。
新世代が出てこないのは、ハイエンド系の需要が少なくなってしまったことが考えられます。その原因はメインストリーム向けの上位CPUのコア数(16コア)がハイエンドCPU並になったからでしょう。現在の上位ハイエンドCPUのコア数は64ですから、数自体は全く及んでいませんが、以前は10コア以上を求めるならハイエンドCPUしか選択肢がなかったため、一定の需要がありました。それがメインストリーム向けでも実用上問題のない、あるいは持て余すほどのコア数となったため、必要なくなったという訳です。
以上のような理由で、16コアを超えるようなメニーコアがどうしても必要という場合を除いて、現在のハイエンドPCは全くおすすめできない状況です。
ただ、その希少性を愛し、他の人とは違うスペックを手にしたいというのであれば、規格が新しくコア数も多いAMDの方をおすすめします。
メーカー | Intel | AMD | |
---|---|---|---|
名前 | Z790 | X670E | X670 |
ソケット | LGA1700 | Socket AM5 | |
OC | 〇 | ||
SLI/CF | ? (*1) | ||
CPU | |||
PCIe 5.0 | 16 | 16 (GPU) 4 (ストレージ) 4 (GPP) (*2) | 4 (ストレージ) 4 (GPP) (*2) |
PCIe 4.0 | 4 | - | 16 (GPU) |
USB 10Gbps | - | 4 | |
チップセット | |||
PCIe 5.0 | - | ||
PCIe 4.0 | 20 | 12 | |
PCIe 3.0 | 8 | 8 or 6 + SATA3 x2 or 4 + SATA3 x4 or 2 + SATA3 x6 or SATA3 x8 | |
SATA3 | 8 | PCIe 3.0次第 (*3) | |
USB 20Gbps | 5 | 2 or 1 + 10Gbps x2 or 10Gbps x4 | |
USB 10Gbps | 10 | 8 | |
USB 5Gbps | 10 | - | |
USB 2.0 (480Mbps) |
14 | 12 |
表中の注釈については、チップセットのラインアップとスペック > スペックでお話ししていますので、参照して頂ければと思います。
動画を扱うのでもない限り、大半の人にとってはハイクラスチップセットであるIntel Z系チップセットとAMD X系チップセットが事実上のハイエンドということになるかと思います。どちらもオーバークロック(OC)に対応し、バスの本数も充分に備えています。
ゲームに関していうならば、CPUが原因でカクつきが生じる場合もありますので、OCにも対応しておきたいところです。OCは推奨できる技術ではないのですが、クロックを上げることでカクつきを回避できる可能性があるからです。
OC対応CPUについては、AMD CPUには条件はありませんが、Intelは末尾K(とハイエンド向けの末尾X)のCPUしか対応していませんので、この条件だけは必ず満たす必要があります。やや高価ではありますが、素の性能も高いですから、コスパもそれほど悪くはありません。
ただし、これはあくまでもグラフィック品質にこだわったハイスペックPCに限った話です。少々のカクつきは問題ないというのであれば、OCのことを考える必要はありません。
続いて各チップセットを細かく見ていきます。
まずはCPU側のPCIeについてです。X670EチップセットとX670チップセットの違いはグラフィックボード用のPCIeが5.0か4.0かだけですが、現時点でPCIe 5.0でなければ性能に制限がかかるグラフィックボードはありませんので、将来ハイエンドGPUに換装した場合の速度が気になるような人以外は気にする必要はなさそうです。
これらとZ790チップセットとの違いはストレージ用のPCIeにあります。AMDの方は5.0、Z790の方は4.0ですから、前者の方がより高速なストレージを使うことができます。
ただ、PCIe 4.0でも充分すぎるほどに速いですから、5.0の速度が必要な用途はそれほどなさそうです。また、Intelチップセットを採用するマザーボードでもメーカーが独自の仕様でPCIe 5.0に対応している場合もありますので、興味のある人は調べてみると良いかもしれません。
チップセット側のバスの本数については、Z790に軍配が上がりますが、数字は最大値ですので、実際はこれより少ない可能性がある点に注意が必要です。
このクラスを必要とする人の多くがゲーム用途だと思いますので、ファーストチョイスはゲームに強いIntelになるかと思います。よって、おすすめチップセットにはIntel Z790を挙げておきます。
メーカー | Intel | AMD | ||
---|---|---|---|---|
名前 | H770 | B760 | B650E | B650 |
ソケット | LGA1700 | Socket AM5 | ||
OC | X | 〇 | ||
SLI/CF | ? (*1) | |||
CPU | ||||
PCIe 5.0 | 16 | 16 (GPU) 4 (ストレージ) 4 (GPP) (*2) | 4 (ストレージ) (*2) | |
PCIe 4.0 | 4 | 16 (GPU) | 16 (GPU) 4 (ストレージ) | |
USB 10Gbps | - | 4 | ||
チップセット | ||||
PCIe 5.0 | - | |||
PCIe 4.0 | 16 | 10 | 8 | |
PCIe 3.0 | 8 | 4 | 4 or 2 + SATA3 x2 or SATA3 x4 | |
SATA3 | 8 | 4 | PCIe 3.0次第 (*3) | |
USB 20Gbps | 2 | 1 | ||
USB 10Gbps | 4 | |||
USB 5Gbps | 8 | 6 | - | |
USB 2.0 (480Mbps) |
14 | 12 | 6 |
表中の注釈については、チップセットのラインアップとスペック > スペックでお話ししていますので、参照して頂ければと思います。
Intel H / B系チップセットとAMD B系チップセットは、どちらも標準的なPC向けのチップセットです。B系は被っている上、使われている数字も似ていますから、非常にややこしいといわざるを得ません。また、IntelのH770チップセットはB760チップセットの、AMDのB650EチップセットはB650チップセットの上位版といった位置付けです。
両社のチップセットの大きな違いといえば、IntelチップセットがOCに対応していないのに対して、AMDチップセットは対応している点にあります。AMDはCPUにOCの制限がありませんから、多くのミドルスペックPCでOCが可能ということになります。
OC可能とはいえ、ミドルクラスでOCが必要となる局面はあまりないとは思います。しかし、将来的にハイスペックGPUに換装してハイスペックPCへとアップグレードする場合、CPUはOCで乗り切ってシステムの刷新を先延ばしにすることができるなど、やはりOCはあると便利かつ心強いです。
また、このクラスに合わせるIntelのCPUは、OC可能なK付きCPUは不要ですから、無印で問題ありません。
バスの本数に関しては、ハイクラス同様、Intelに軍配が上がりますが、CPU側のPCIe 5.0をストレージ用に使える点はAMDのアドバンテージとなっています。
ただ、何度もお話ししている通り、PCIe 4.0でも充分に高速ですから、特にミドルクラスPCで無理に最新最高のスペックを追求しても仕方がないと思います。よって、興味や必要性のある人にだけおすすめしておきます。
では、総評です。
ゲーミング用途ではやはりファーストチョイスはIntelではあるのですが、このクラスではCPUの影響力は相対的に低くなりますので、率直にいってどちらでも良い、というのが答えになります。
これは一般用途においても同様ですので、シンプルにOCとPCIe 5.0に魅力を感じたらAMDを、バスの本数に魅力を感じたらIntelを、どちらでもなければ安い方をという選び方をおすすめします。
メーカー | Intel | AMD |
---|---|---|
名前 | H610 | A520 |
ソケット | LGA1700 | Socket AM4 |
OC | X | |
SLI/CF | X/X | |
CPU | ||
PCIe 5.0 | 16 | - |
PCIe 4.0 | - | |
PCIe 3.0 | - | 24 (4) |
チップセット | ||
PCIe 5.0 | - | |
PCIe 4.0 | - | |
PCIe 3.0 | 8 | 6 |
SATA3 | 4 | 6 |
USB 20Gbps | - | |
USB 10Gbps | 2 | 5 |
USB 5Gbps | 4 | 2 |
USB 2.0 (480Mbps) |
10 | 6 |
Intel 700シリーズチップセットにもAMD 600シリーズチップセットにも、まだロークラスチップセットがありませんので、旧世代のロークラスチップセットのデータを載せています。また、未確認ではありますが、前者はこの世代ではロークラスチップセットは発売されないという情報もあるようです。真偽のほどは分かりませんので、もうしばらく待つ必要があるでしょう。
では、比較に入ります。
Intel H系チップセット(数字が小さい方)とAMD A系チップセットが、ロークラスチップセットに該当します。どちらもOCやマルチGPUに未対応、バスの規格も古かったり本数が少なかったりと、やはりエントリー向けでゲームなどの重い処理が必要な用途には力不足といわざるを得ません。
ミドルスペック構成までであれば、問題といえるほどの制限はないかもしれませんが、少し高度なことをしようとするとチップセットに足を引っ張られる可能性がありますので、通常用途であってもあまりおすすめしたくないのが率直な感想です。
さて、ロークラスチップセットの主流はIntel H610チップセットとAMD A520チップセットとなりますが、数字を見てお分かりの通り、後者は世代が1つ古いため、CPU側もチップセット側もPCIeのリビジョンが3.0までとなっています。PCIe 3.0のストレージでも決して遅くはないため、問題になることはまずないと思いますが、安心できるレベルにはないというのが率直なところです。
それよりも不安な点はバスの少なさです。チップセット側のPCIe 3.0の本数がH610は8、A520は6となっていますが、通常高速なSSD(M.2 / NVMe)はx4(4レーン)で接続されますので、両者ともこのSSDを最大で2つまでしか取り付けできないのです。
もちろん、それなりの速度のSATA SSDでも構わないとは思いますが、やはりこの余裕のなさは気になってしまいます。
では、総評です。
お話しした通り、ゲーミング用途でも一般用途でもパワー不足感が否めませんので、最小構成で軽い処理専用のマシン以外ではこれらのチップセットはおすすめできません。
ただ、用途に合っていれば問題がある訳ではありませんので、選んでみるのも良いかもしれません。その際はUSB 10Gbpsの数に魅力を感じたらAMDを、それ以外ならIntelをおすすめしたいと思います。