チップセットの基礎知識と選び方

最終更新日 : 2019/04/04

chipset

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「チップセット」とは、ハードウェア同士のデータのやり取りを仲介、コントロールする役割を持った装置のことですが、あまり取り沙汰されることのない地味な存在です。

しかし、実はPCの方向性を左右するほどの重要ハードなのです。

ここでは、そんなチップセットについて、お話ししようと思います。


チップセットとは?

一般的に、コンピュータのハードウェアは「マザーボード」と呼ばれるメイン基板に取り付けられますが、最低限必要とされる一部の機能は1つの「チップ(集積回路)」にまとめられて、マザーボード上に直付けされることがあります(オンボード機能)。

その内、「データの仲介や制御」を行うチップのことを「チップセット(Chipset)」といいます。チップセットは複数のチップの集合体で、最終的に1つあるいは2つにまとめられて、マザーボードに直付けされます。

PCでやり取りされるデータは、マザーボード上の様々な回路を通って各ハード間を移動しますが、これらの回路は全てチップセットに繋がれ、チップセットを経由して他のハードへと送られるのです。


チップセットは、以前は「CPU」や「メモリ」、「グラフィックボード」など速度を必要とするハードウェア用に「ノースブリッジ」、それら以外の速度を必要としないハードウェア用に「サウスブリッジ」と2つのチップで構成されてました。

しかし、現在はノースブリッジがCPUに統合されて、サウスブリッジのみとなっています。

重要なチップセットの機能

チップセットはあらゆるデータの仲介役ですから、その時点で重要ハードであることは明らかですが、中でも覚えて帰りたい機能についてお話ししたいと思います。

使用できるCPUやメモリを決める

おそらく一般ユーザーにとって最も重要なチップセットの役割といえば、「使用できるCPUやメモリを決める」ことになると思います。

CPUには「ソケット」、メモリには「メモリスロット」という物理的な取り付け口がありますが、これらが一致して取り付けることができたとしても、チップセットがそのCPUやメモリを認識できなければ、使用することはできないのです。

良くあるのが、チップセットが出た後に発売されたCPUやメモリを認識できないという問題です。チップセットは、新しいCPUやメモリが何者かを知りませんから、認識できないのも無理はありません。

この場合は、「BIOS(バイオス)」と呼ばれるOSよりも深い位置にいる基本的なプログラムをアップデートすることで、新ハードウェアが認識されるようになることもありますが、必ず使えるようになるという訳ではありませんので、注意が必要です。

また、メモリの枚数や容量、速度などもチップセットにより決まります。

OCやSLIもチップセット次第

ユーザーが設定を変更することで「CPUのクロック周波数」を半ば無理やり上げる行為を「オーバークロック(OC)」といいます。

OCは、CPUを破壊することもあるなど危険を伴う行為ではあるのですが、試行錯誤を重ねて設定を詰めることで、CPUの性能を限界まで引き上げることは大変興味深いことでもあります。よって、OCはパワーユーザーにとって、自作PCの醍醐味の一つとなっているのです。


また、グラフィックボードは通常1枚のみですが、複数枚のグラボを協調させて1枚のグラボのように動作させる SLI という技術があります(AMDにも同様の技術がありこちらはCrossFireと呼んでいます)。

ただ、SLIは「クセがすごい」技術で、対応しているソフトの場合はシングルGPUでは到達できない性能を発揮してくれるのですが、対応していないソフトに対しては全く効果がないこともあるほどですので、期待しすぎるのは禁物です。


これらの技術が使えるかどうかも、実はチップセットにより決まっているのです。

OCもSLIもCPUやグラボ側が対応している必要がありますが、それらが対応していてもチップセットが対応していなければ、全てが無駄になることもあり得ますので、注意が必要です。

ストレージなどの種類や数にも影響する

基本的には全てのデータがチップセットを経由してやり取りされる訳ですから、「SATA」や「PCI Express」などの内部接続用の経路も、「USB」のような外部接続用の経路も結局はチップセットへと繋がれているのです。

そして、これらの規格が使えるかどうかや、経路や端子の最大数などもチップセットによって決まっています。

ロースペック向けのチップセットだと接続できるストレージ数が限られているため、用途によっては不足してしまうかもしれません。

Intelチップセットのラインアップとスペック

各シリーズの対応表

さて、続いて具体的なお話しに移っていきますが、ここではIntelチップセットのみを扱いますので、ご了承下さい。

Intelチップセットの最新世代は「Intel 300シリーズ」ですが、1つ前の「Intel 200シリーズ」や2つ前の「Intel 100シリーズ」などもまだ存在しますので、注意が必要です。

チップセットの各シリーズと対応CPUアーキテクチャ、ソケット、メモリ規格の関係は、以下のようになります。

チップセット CPU
アーキテクチャ
ソケット 対応メモリ
Intel 300
シリーズ
Coffee Lake
(8000番台)
LGA1151 ~DDR4-2666
Intel 200
シリーズ
Kaby Lake
(7000番台)
~DDR4-2400
(Kaby Lake)
Skylake
(6000番台)
~DDR4-2133
(Skylake)
Intel 100
シリーズ
※Kaby Lake
(7000番台)
~DDR4-2133
~DDR3L-1600
Skylake
(6000番台)

2世代前のIntel 100シリーズからソケットは「LGA1151」で共通です。ただし、ご覧の通り、対応するCPUは異なりますから、取り付けることはできても使えるとは限りません。

Intel 200シリーズは、「Kaby Lake(7000番台)」と「Skylake(6000番台)」の両方に正式対応しています。つまり、200シリーズチップセットであれば、Kaby Lake世代のCPUもSkylake世代のCPUも両方使えるということです。

しかし、Intel 100シリーズが登場した時には、Kaby Lake世代のCPUは存在すらしていませんでしたから、当然対応もできていません。ただし、BIOSをアップデートすることで、使えるようになります。

通常、こういった場合は、Skylake世代のCPUでPCを起動してBIOSのアップデートを行い、その後Kaby Lake世代のCPUに換装するという手順が取られますので、覚えて帰って下さい。


さて、200シリーズまではBIOSアップデートで新CPUに対応させることができましたが、現行の300シリーズでは現在のところ対応させることができていません。つまり、300シリーズと200シリーズの間では、断絶が起きているのです。

Coffee Lake世代から、CPUはコア数が「2つ」増えたため、CPU全体の性能が大幅にアップしましたが、その恩恵を受けるにはマザーボードごと交換する必要があるということです(チップセットはマザー直付けで交換不可)。

ただ、このアップデート不可の処理は、Intelが後付けで行っているため、非公式的に無理やり対応させた人がいるとの噂もありますので、ひょっとするといつかは対応してくれるのかもしれません。


また、メモリに関しては、CPUの世代が進むごとに対応メモリも一歩ずつ進化してきたようです。

とはいえ、表中の対応メモリは「最大速度(新しい規格)」に関してですので、自身が対応するよりも遅いメモリ(古い規格)ならば、多くの場合で問題なく使えるはずです。つまり、使い回しが可能ということです。

ただし、Intel 100シリーズのみ対応している「DDR3Lメモリ」は、メモリの種類自体が違いますので、DDR4メモリとの互換性はありません。

ラインアップ

各シリーズ(世代)のチップセットは、コンセプトごとに複数存在します。

直近3シリーズのラインアップは、以下のようになります。

シリーズ/コンセプト ハイOC標準ビジネスロー
Intel 300シリーズ -Z390
/Z370
H370B360H310
Intel 200シリーズ X299Z270H270B250-
Intel 100シリーズ -Z170H170B150H110

表をご覧になって頂くと分かりますが、コンセプトごとに「チップセット名の頭文字」が決まっています。

各種類の意味をざっくりというと、「X」が「ハイエンドCPU向け」、「Z」が「OC(オーバークロック)向け」、「H」が「標準(非OC)向け」、「B」が「ビジネス向け」となりますが、ローエンド向けのものも「H」が使われ、標準のものよりも小さな数字が割り当てられています。

また、この他にも「Q」が付くものが存在するのですが、一般のPCではあまり目にすることはないため、ここでは割愛します。

種類の違いにより、当然性能差もあるのですが、一般的には上の表の左にあるものほど高性能とされています。

スペック

続いて、各系列における最新チップセットの「スペック」についてお話ししますが、基本的には「Intel 300シリーズ」ですが、「X系列」のみラインアップにありませんので、「Intel 200シリーズ」となっていますので、ご注意下さい。

X系列Z系列H系列B系列H系列
名前 X299Z390H370B360H310
コンセプトハイエンドOC標準ビジネスローエンド
ソケット LGA2066LGA1151
OC X
SLI X
最大メモリ容量 128GB64GB32GB
PCIeレーン数
(チップセット)
2420126
(PCIe2.0)
SATA3 864
USB3.1
(Gen 2)
0640
USB3.0 10864

チップセットに備わる機能はこれだけではありませんが、代表的なものを挙げてみました。ただし、これらはあくまでも理論値的なもので、実際の数字はマザーボードにより異なることもあります。

また、「USB 3.1/3.0」に関してですが、USB 3.1には「Gen 1」と「Gen 2」があって、後者は転送速度が前者の倍の「10Gbps」となっています。

「USB 3.1 Gen 1」はUSB 3.0と同じ速度であるため、USB 3.0として扱い、Gen 2以降をUSB 3.1とするのが一般的なようです。上記の表もその規則に従っていますので、ご注意下さい。

チップセットの選び方

「ゲーミングPC向け」を中心に、チップセットの選び方について、お話ししたいと思います。

ただし、チップセットはマザーボード直付けで、後から交換ができませんので、最初に選んでおく必要があります。ご注意下さい。

以下に、最新チップセットの簡易スペック表を示します。

系列最新モデルコンセプト OCSLI最新ソケット
X系列X299ハイエンド LGA2066
Z系列Z370OC向け LGA1151
H系列H370
H310(ロー)
標準 XX
B系列B360ビジネス

ハイエンド

「ハイエンド」に属する「X系列チップセット」ですが、その他のチップセットとは「ソケット」が異なりますから、互換性がありません。つまり、X系列チップセットは、世代最高クラスの性能を持つ「ハイエンドCPU」専用のチップセットで、非ハイエンドCPUは取り付けることさえできないということです。

また、機能面についてはさすがに「最高クラス」ですが、ハイエンドCPUは「内臓GPU」を持たないため、グラフィックボードが必ず必要になりますので、ご注意下さい。

問題点もあります。ハイエンドらしく「価格が高い」という大きなデメリットもあるのですが、「ゲーミングPC」において何よりも致命的なのは、「ゲーミング性能はさほど高くない」という点です。

なぜなら、ハイエンドCPUの性能の高さは、処理を行う「コア」という装置の数が多いことに由来するのですが、それゆえに消費電力が増加してしまって、「1コア当たりの性能」を上げることができないからなのです。

もし、ゲームプログラムがコア数に比例して処理速度が上がるように作られていれば別ですが、現状は「4~6コア」を中心に作られていますので、コア数の多さが足を引っ張る形になってしまっているのです。


よって、「ゲーミングPCにハイエンドCPUは不要」です。

ハイスペック

「ハイエンド」=「X系列チップセット」が不要であれば、その下の「Z系列チップセット」が「事実上のハイエンド」ということになります。

Z系列チップセットは、「OC(オーバークロック)」と「SLI(複数枚グラフィックボード)」にも対応していますから、OCに対応した「Core i7-K(末尾K)」CPUを合わせておきたいところです。

ただ、SLIに関しては、動作の不安定さが付きまといますので、あまり期待をしすぎないことが重要です。


「ハイスペックゲーミングPC」には、是非ともZ系列チップセットを選びましょう!

ミドルスペック

「ミドルクラス」のGPUを使うのであれば、OCは不要ですから、OC未対応の「H系列チップセット」や「B系列チップセット」で充分です。前者は「標準的」、後者は「ビジネス向け」というコンセプトですが、共に「ミドルクラス向け」のタイプといって良いでしょう。

また、必然的にCPUも「Core i7-K」は不要ですから、「Core i7-無印」やあるいは「Core i5」でも構わないでしょう。

ただ、1つ注意が必要なのは、H系列チップセットには機能を制限した「ロースペック版」が存在することです。ロースペック版は、上位2桁目の数字が小さいですから、見分けは付きやすいと思います。

現行の「Intel 300シリーズ」では、「標準タイプ」が「H370」、「ロースペックタイプ」が「H310」となっていますが、後者はチップセット側の「PCIe(PCI Express)レーン数」は数の少なさもさることながら、規格が1世代古い「PCIe 2.0」である点にも注意が必要です。

ロースペックで必ず問題が生じるという訳ではないのですが、露骨に性能を削られているため、かなり重い処理を要する「ゲーミング用途」ではおすすめしたくないというのが、率直な感想です。