CPUの種類(世代、アーキテクチャ、ブランド、TDP)の解説

最終更新日 : 2022/04/27

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CPUの種類は非常に多いため、コンピュータに詳しくない人がそれぞれの違いを理解することは、簡単なことではありません。

しかし、CPUの名前の多くは分かりやすい規則に従って付けられていますので、一度体系的に理解しておくと、おおよその特徴や性能は直感的に把握できるようになるのです。

ここではそのために必要な知識についてお話していますので、是非覚えて帰って下さい。

CPUの分類

一口に種類とはいっても、切り口によって分類の方法は変わってきますが、まずはCPUが搭載される機器CPUメーカーについてお話ししたいと思います。

CPUが搭載される機器

CPUはコンピュータと呼ばれる機器には必ず搭載されるパーツで、ソフトウェア(プログラム)を実行する役割を担っています。PC(パーソナルコンピュータ)はもちろん、業務に用いられるサーバワークステーション、あるいはスマートフォンゲーム機など、どれもCPUによってコントロールされています。また、CPUはコンピュータのみならず、家電にも搭載されていて、様々な機能を提供しています。

ただ、PC以外のCPUやソフトウェアは、その機器に特化した機能や性能に制限されていたり、使用者が直接操作することができないようになっていたりすることがほとんどです。

想像以上に多くの機器が、CPUを備えているのです。

CPUメーカー

CPUにおいて最も有名な企業はIntelかと思いますが、そのライバルであるAMDApple、またスマホ系のQualcommなども良く知られているといえるでしょう。小規模なものを含めると、非常に多くの企業がCPUの開発や製造を行っています。

ただ、スマホ向けCPUは単体で選んだり、自分で交換したりができないこともあってか、その性能の話題で盛り上がるということはあまりありません。その点、PC向けCPUは新製品が登場するたびに、メディアやユーザーが性能や特徴を徹底的に調べ上げ、活発に議論もされますので、CPUの花形はこちらということになるでしょう。

中でも圧倒的なシェアを誇るWindowsに対応するIntelAMDCPUメーカーの中心にいるといっても過言ではありません。




以上、2つの観点からCPUを極々簡単に分類してみましたが、当サイトはPCに関する情報がメインですので、基本的にIntelとAMDのPC向けCPUのみを扱います。

ただ、CPUの果たす役割自体はどんな機器、メーカーであっても同じですから、ここでしっかりと基礎を押さえて頂ければ、長きに渡って役立つかと思いますので、是非覚えて帰って下さい。


では、本題であるPC向けCPUの種類について解説していきますが、一般的にはアーキテクチャ開発コードネームブランドTDPなどで分類できます。

まずはIntel(左)AMD(右)の直近数世代のアーキテクチャ開発コードネームを示します。詳細に関しては後ほどお話ししますので、さらっと眺めてみて頂ければと思います。

[発売年月]
世代
開発コードネーム
アーキテクチャ

[2021/11]
第12世代Intel Core (12,000番台)
Alder Lake (アルダーレイク)
Golden Coveコア + Gracemontコア
[2021/03]
第11世代Intel Core (11,000番台)
Rocket Lake (ロケットレイク)
Cypress Coveコア
[2020/11]
第4世代AMD Ryzen (5,000番台)
Vermeer (フェルメール)
Zen 3コア
[2020/09]
第11世代Intel Core (11,000番台, ノート)
Tiger Lake (タイガーレイク)
Willow Coveコア
[2020/05]
第10世代Intel Core (10,000番台)
Comet Lake (コメットレイク)
Skylakeコア
[2019/07]
第3世代AMD Ryzen (3,000番台)
Matisse (マティス)
Zen 2コア
[2019/05]
第10世代Intel Core (10,000番台, ノート)
Ice Lake (アイスレイク)
Sunny Coveコア
[2018/04]
第2世代AMD Ryzen (2,000番台)
Pinnacle Ridge (ピナクルリッジ)
Zen+コア
[2017/10]
第9世代Intel Core (9,000番台)
Coffee Lake Refresh
(コーヒーレイクリフレッシュ)

Skylakeコア
[2017/10]
第8世代Intel Core (8,000番台)
Coffee Lake (コーヒーレイク)
Skylakeコア
[2017/03]
第1世代AMD Ryzen (1,000番台)
Summit Ridge (サミットリッジ)
Zenコア

アーキテクチャ

アーキテクチャ(Architecture)とは、建築術、建物、構造などの意味を持つ英単語です。幅広く使われる言葉ですが、プロセッサ(CPUやGPU)においては一般的に設計というような意味で使われます。

つまり、CPUアーキテクチャといえばCPUの設計を表すことになる訳ですが、通常はコアの設計を指します。

コア(核)とは、演算を行う装置のことで、文字通りCPUの中核を担う部分になります。新しいアーキテクチャが完成すると、コアの数やクロック周波数などスペック(仕様)に差を付けた複数のモデルを製造しますが、コアが同じである以上、基本的な性能は同じです。

アーキテクチャが同じCPU同士は世代という言葉でくくられ、上位1~2桁の数が同じ4~5桁の数字が割り当てられます。また、この上位1~2桁の数字を取って第X世代プロセッサなどとも呼ばれます。

基本的には1つのアーキテクチャで1つの世代を構成していますが、1つのアーキテクチャが複数の世代にまたがることがあったり、世代の数字にズレがあったりと規則的ではない場合もありますので、注意が必要です。

では、IntelAMDのアーキテクチャをそれぞれ詳しく見ていきましょう。

Intelアーキテクチャ

世代アーキテクチャ
第8世代Skylake
(スカイレイク)
第9世代
第10世代Sunny Cove
(サニーコーヴ)
Skylake
(スカイレイク)
第11世代Willow Cove
(ウィローコーヴ)
Cypress Cove
(サイプレスコーヴ)
第12世代Golden Cove
(ゴールデンコーヴ)
+ Gracemont
(グレイスモント)

Skylakeアーキテクチャ第6世代のコアですが、ご覧の通り何世代にも渡って使われてきました。それゆえ、この間は設計上の進化があまりなく、シングルスレッド性能(1コア当たりの性能)はほとんど伸びませんでした。ただ、コア数は増加されたため、マルチスレッド性能(CPU全体の性能)ではそれなりに大きな向上を見せています。


第10世代で大きな変化が起きました。新アーキテクチャのSunny Coveアーキテクチャが登場したのです。そして、今後はこのCove系アーキテクチャに置き換わる予定でしたが、Sunny Coveアーキテクチャの出来があまり良くなかったり製造の遅れがあったりして、これが採用されたのは先行して登場したノート向けだけで、デスクトップ向けには引き続きSkylakeアーキテクチャが使われたのです。これにより、Skylakeアーキテクチャは何と5世代に渡り君臨することになったのです。


2系統に分かれてしまったIntel CPUですが、この混乱は次の第11世代でも続きます。Sunny Coveアーキテクチャの改良版であるWillow Coveアーキテクチャは前世代同様ノート向けのみで、デスクトップ向けには別のアーキテクチャが用意されたのです。

しかも、このデスクトップ向けCPUが採用するCypress Coveアーキテクチャは、実はSunny CoveアーキテクチャSkylakeアーキテクチャと同じ古い製法で作っただけのものだったのです。つまり、実質1世代前のノート向けアーキテクチャと同じだった訳です。


このように何世代も失態や迷走を繰り返したIntelですが、第12世代で汚名を返上します。Alder Lake世代のCPUの出来は、上々だったのです。

この世代では、重要な変化がありました。表を見れば分かるかと思いますが、1つのCPUに2系統のコアを持つようになったのです。1つはPコア(Performance)と呼ばれる高性能コア、もう1つはEコア(Efficient)と呼ばれる低消費電力の高効率コアです。重めの処理を前者に、軽めの処理を後者に振り分けることによって全体における電力効率を上げることができるのです。この技術のことをbig.LITTLEといいます(開発したのはARM)。

Alder Lake世代のCPUのPコアはGolden Coveアーキテクチャを採用したコアですが、これはWillow Coveアーキテクチャの改良版です。

一方、Eコアの方はGracemontアーキテクチャのコアですが、これはAtom(アトム)という低消費電力なノート向けのブランドで採用されてきたアーキテクチャです。

mont系アーキテクチャは、そのコンセプトから性能が上げにくいという性質がどうしても拭えません。それゆえに人気がなく、Atomはやや下火になりつつありました。しかし、Eコアへの採用という活路を見いだしましたので、これから大きな進化が見られるかもしれません。

AMDアーキテクチャ

世代アーキテクチャ
第1世代Zen
(ゼン)
第2世代Zen+
(ゼンプラス)
第3世代Zen 2
(ゼンツー)
第4世代Zen 3
(ゼンスリー)

AMDのCPUは、かつて性能もシェアもIntelのCPUに遠く及ばないという、長い長い低迷期にありました。

これを打ち破ったのが2017年に登場したZenアーキテクチャです。シングルスレッド性能(1コア当たりの性能)では及ばなかったもののマルチスレッド性能(CPU全体の性能)ではIntel CPUを超えてきたのです。

その後もZen系アーキテクチャは順当に進化を遂げ、シングルのIntel、マルチのAMDという居場所を確保したため、AMDはシェアを順調に伸ばしてきました。苦手としていたシングルスレッド性能Zen 3アーキテクチャではIntelにほぼ並ぶなど、CPUの第一選択肢はAMDといえるほどに力を付けてきたのです。

Intel第12世代CPUで再度抜かれてしまいましたが、次のZen 3+アーキテクチャZen 4アーキテクチャでの巻き返しが期待されているところです。


AMDのアーキテクチャは世代を経るごとに名前の数字を上げていくというシンプルな命名規則ですが、大きな変更がない場合には前世代の名前に"+"を付けるという形式を取っているようです。つまり、次に予定されているZen 3+アーキテクチャは小さな変更に留まり、その次のZen 4アーキテクチャでは比較的大きな変化があると思われるいうことです。

とすると、+系のアーキテクチャはあまり期待できないのかと思われるかもしれませんが、新アーキテクチャが必ず大きく進歩するとは限りませんので、小さくとも確実なパワーアップが見込めるという意味では、+系のアーキテクチャにもメリットはあるといえるでしょう。

開発コードネーム

開発コードネームとは、その名の通り、製品の開発時に付けられる仮の名前のことですが、プロセッサにおいては世代やシリーズ全体などに付けられる名前を指すことが一般的です。言葉の響きからすると、各会社の内部でのみ使われる名前のようですが、外部向けの資料やアナウンスにも使われていますので、正式な名称と考えても良いでしょう。

通常、新しいCPUが出た時に使われるのはコードネームの方です。第X世代CPU [コードネーム]というように表現されます。

ただし、開発コードネームとアーキテクチャ名は境目が曖昧なことが多く、また厳密な定義もありませんので、IntelAMDではニュアンスが異なることがあります。ご注意下さい。

では、IntelAMDのコードネームをそれぞれ詳しく見ていきましょう。

Intelコードネーム

世代コードネームアーキテクチャ
第8世代
(8,000番台)
Coffee Lake
(コーヒーレイク)
Skylake
(スカイレイク)
第9世代
(9,000番台)
Coffee Lake Refresh
(コーヒーレイク
リフレッシュ)
第10世代
(10,000番台)
Ice Lake [ノート]
(アイスレイク)
Sunny Cove
(サニーコーヴ)
Comet Lake
(コメットレイク)
Skylake
(スカイレイク)
第11世代
(11,000番台)
Tiger Lake[ノート]
(タイガーレイク)
Willow Cove
(ウィローコーヴ)
Rocket Lake
(ロケットレイク)
Cypress Cove
(サイプレスコーヴ)
第12世代
(12,000番台)
Alder Lake
(アルダーレイク)
Golden Cove
(ゴールデンコーヴ)
+ Gracemont
(グレイスモント)

先ほどのIntelアーキテクチャの表にコードネームを追加したものです。第6世代Skylake(スカイレイク)以降、コードネームには全てLakeが付くようになっています。

実は、コードネームはもう少し細かく分けて付けられています。ハイエンド向けデスクトップ向け高性能ノート向けなどのグループごとにそれぞれコードネームが付けられるのです。

数が多いですから、第10、11、12世代のコードネームのみを以下に示します。

世代開発コードネームターゲット
第10世代Comet Lake-Sデスクトップ向け
Comet Lake-H高性能ノート向け
Comet Lake-U低消費電力ノート向け
Comet Lake-Y超低消費電力ノート向け
Ice Lake-U低消費電力ノート向け
第11世代Rocket Lake-Sデスクトップ向け
Tiger Lake-H超高性能ノート向け
Tiger Lake-H35高性能ノート向け
Tiger Lake UP3低消費電力ノート向け
Tiger Lake UP4超低消費電力ノート向け
第12世代Alder Lake-Sデスクトップ向け
Alder Lake-H高性能ノート向け
Tiger Lake-Pノート向け
Tiger Lake-U低消費電力ノート向け

かつてはグループ(ターゲット)ごとに独立した名前を付けていた開発コードネームですが、近年の命名規則はアーキテクチャ名と"-(ハイフン)"の後ろにアルファベットや数字が付くという非常に合理的な形になっています。デスクトップ向けノート向けに分けて見ていきましょう。

デスクトップ向けは、現在のところ、末尾にSが付く通常版と、表にはありませんがが付くハイエンド向けの2種類のみです。

ノート向けはざっくりいうと、消費電力 = 性能によって分類されています。とはいえ、コードネームの末尾はプロセッサナンバーのサフィックス(末尾のアルファベット)に一致していますので、その点は非常に分かりやすいといえるでしょう。

ただ、使われているハイフン以下の文字列が世代ごとに変わっているため、注意が必要です。

AMDコードネーム

世代コードネームアーキテクチャ
第1世代
(1,000番台)
Summit Ridge
(サミットリッジ)
Zen
(ゼン)
第2世代
(2,000番台)
Pinnacle Ridge
(ピナクルリッジ)
Zen+
(ゼンプラス)
第3世代
(3,000番台)
Matisse
(マティス)
Zen 2
(ゼンツー)
第4世代
(5,000番台)
Vermeer
(フェルメール)
Zen 3
(ゼンスリー)

先ほどのAMDアーキテクチャの表にコードネームを追加したものです。第1、2世代地名から、第3、4世代画家の名前から取られています。

さて、ここまでは非常にシンプルで分かりやすいように思えますが、実はAMDのコードネームや数字は、非常に厄介です

まず、APUについてお話しします。現代のCPUは、軽いゲームなら余裕で動かせるレベルのグラフィックチップを内部に備えています。これを内蔵GPU(iGPU)と呼びます。

しかし、AMDのCPUは、iGPUを備えていないのです。ただ、iGPUを持つCPUもあって、それをAPUと呼んで区別しているのです。また、IntelにもiGPUのないCPUがあって、こちらは名前にFが付きます

つまり、AMDのCPU全般とIntelのF付きCPUは、グラフィック処理専用のハードであるグラフィックボードがなければ、ディスプレイに映像を送ることさえできないということです。


また、AMDのプロセッサは、その性質上ノートPCに採用されるのはほとんどがAPUで、CPUが載ることは非常に稀です。よって、APUにはデスクトップ向けノート向けの両方がありますが、CPUにはデスクトップ向けだけしかありません。以下に、APUのコードネームを示します。

世代コードネームアーキテクチャ
第1世代
(2,000番台)
Raven Ridge
(レイヴンリッジ)
Zen
(ゼン)
第2世代
(3,000番台)
Picasso
(ピカソ)
Zen+
(ゼンプラス)
第3世代
(4,000番台
/5,000番台)
Renoir
(ルノワール)
/ Lucienne [ノート]
(ルシエンヌ)
Zen 2
(ゼンツー)
第4世代
(5,000番台)
Cezanne
(セザンヌ)
/ Barcelo [ノート]
(バルセロ)
Zen 3
(ゼンスリー)

さて、AMDのコードネームは厄介といった理由を、順を追ってお話ししたいと思います。

まず、第1世代Ryzen APU(Raven Ridge / Zenアーキテクチャ)の数字が1,000番台ではなく2,000番台である理由についてです。

第1世代Ryzen CPU(Summit Ridge / Zenアーキテクチャ)2017年3月に、第1世代Ryzen APU2018年2月に発売されました。

その直後の2018年4月第2世代Ryzen CPU(Pinnacle Ridge / Zen+アーキテクチャ)が発売になったのですが、この世代は下位クラスを持たず、そのポジションを少し前に発売された第1世代Ryzen APUに担当させるという戦略を取ったのです。そして、第1世代Ryzen APUに割り当てられた数字も、本来は1,000番台であるはずが、第2世代Ryzen CPUに合わせて2,000番台にされたため、世代と数字にズレが生じてしまったのです。

このズレは第4世代Ryzen APU(Cezanne / Zen 3アーキテクチャ)になっても続いています。

また、第4世代Ryzen CPU(Vermeer / Zen 3アーキテクチャ)も本来の4,000番台ではなく5,000番台が割り当てられています。実際の理由は分かりませんが、そもそもの発端であるAPUの数字のズレを正さないところから、APU側を基準にして第3世代Ryzen APU(Renoir / Zen 2アーキテクチャ)よりも1つ先の世代という意味で4,000番台をスルーしたと考えるのが自然かなと思います。

いずれにせよ、AMDのCPU / APUは、世代とアーキテクチャとモデルナンバーの数字がバラバラだということを覚えて帰って下さい。


次に、第3世代Ryzen APU(Lucienne / Zen 2アーキテクチャ)についてです。Lucienneは、次の世代の第4世代Ryzen APU(Cezanne / Zen 3アーキテクチャ)と同じ日(2021/1/13)に発表されたノート向けAPUで、どちらも5,000番台が割り当てられていますが、実はこれはCezanne Zen 2アーキテクチャで作ったものなのです。

ただ、第1世代Ryzen APU第2世代Ryzen CPUの下位クラスを担当した目的は理解できますが、LucienneCezanne ノート向けAPUはラインアップも被っていますので、その意図は不明です。

また、第4世代Ryzen APU(Barcelo / Zen 3アーキテクチャ)Cezanne と同じ世代に入っていますが、こちらはCezanne をアップデートする世代で、同じ5,000番台の数字が割り当てられています。とはいえ、設計自体に大きな変更はありませんのでほぼCezanne といっても過言ではありません。

ブランド

CPUにおけるブランドとは、コンセプトが同じ製品のグループといったところですが、IntelAMDの主なPC向けCPUブランドは、前者がCore(コア)、後者がRyzen(ライゼン)といいます。

これらのブランドは、以下のようにさらに細かく分けられます。

Intel性能AMD
Core i9 (コアアイナイン)Ryzen 9 (ライゼンナイン)
Core i7 (コアアイセブン)Ryzen 7 (ライゼンセブン)
Core i5 (コアアイファイブ)Ryzen 5 (ライゼンファイブ)
Core i3 (コアアイスリー)Ryzen 3 (ライゼンスリー)
Pentium (ペンティアム)Athlon (アスロン)
Celeron (セレロン)-

先ほどアーキテクチャが完成すると、コアの数やクロック周波数などスペック(仕様)に差を付けた複数のモデルを製造するとお話ししましたが、性能に最も大きな影響を与えるのはコア数ですので、基本的にはコア数によりブランドが振り分けられます。当然、上位ブランドほどコア数も多くなります。

IntelPentium (ペンティアム)Celeron (セレロン)Coreが登場する以前のIntelの主力ブランドでした。Coreの登場後は、その下位ブランドという形で残っています。

そして、AMDAthlon (アスロン)も同様にかつてのAMDの主力ブランドで、その下にSempron (センプロン)というブランドもありました。つまり、Pentium vs Athlon、Celeron vs Sempronという構図だった訳ですが、現在Sempronは使われていませんし、Athlonここ数世代はラインアップに入っていません

また、Athlonの後、Ryzenへとすぐに切り替わった訳ではありません。Ryzenの前にはFX(エフエックス)Aシリーズなどのブランドが主力となったからです。これらのブランドの時代はAMDにとってはいわゆる暗黒期で、Ryzenの登場により再び光が差した、というのがAMDのCPU史なのです。

それから、両社ともブランド + 数字という命名規則で、かつての主力ブランドを下位ブランドに据えるという構成を取っていますが、これらは全てIntelが先行して行い、AMDがその真似をするという形になっています。

では、IntelAMDのブランドをそれぞれ詳しく見ていきましょう。

Intelブランド

早速、直近3世代の各ブランドのコア数HTT(ハイパースレッディング)の有無、TB(ターボブースト)の有無を見て頂きますが、デスクトップ向けノート向けでは異なりますので、分けてお話しします。


IntelデスクトップCPUブランド

第12世代

ブランド名i9i7i5i3PenCel
コア数
(スレッド数)
8+8
(16+8)
8+4
(16+4)
6+4
(12+4)
/6(12)
4(8)2(4)2(2)
HTT×
TB××


第11世代

ブランド名i9i7i5i3PenCel
コア数
(スレッド数)
8(16)8(16)6(12)---
HTT---
TB---


第10世代

ブランド名i9i7i5i3PenCel
コア数
(スレッド数)
10(20)8(16)6(12)4(8)2(4)2(2)
HTT×
TB××


  • 第12世代Coreの"+"はPコア + Eコアを表しています。特に第12世代Core i5は、Core i5-12600K / KFだけがEコアを持ち、その他のCPUは持ちませんので、ご注意下さい。
  • 第11世代Coreには、Core i3Celeronは存在しません。


さて、表を見ると、同じ世代同士ではブランドの格の差 = コア数の差というのが良く分かるかと思います。

Intelアーキテクチャでお話ししましたが、第6世代Skylakeアーキテクチャから長く脱却できず、シングルスレッド性能があまり伸びなかったため、コア数を増やすことでライバルAMDに必死に食らいついていったのがこの時代のIntelでした。

とはいえ、第10世代Core i34コア / 8スレッドであることは、なかなかに感慨深いものがありました。なぜなら、第7世代までは当時の最上位ブランドだったCore i7でさえ4コア / 8スレッドだったからです。強力なライバルの存在こそが、競争による発展をもたらすということです。

第11世代Coreは少し特殊です。Core i9Core i7コア数が同数だからです。

一応、両ブランドにはクロック周波数に関する技術において違いはあるのですが、実性能ではほとんど差がなく、率直にいってCore i9を選ぶ明確なメリットはありませんでした。また、Core i3PentiumCeleronはラインアップに入らず、代わりにComet Lake(第10世代)の新モデルがこれらのブランドの代替として同時に発売されました。

そして、かつてのパワーを取り戻した第12世代Coreですが、Intelアーキテクチャでお話しした通り、Pコア(高性能コア)Eコア(高効率コア)の2種類のコアを持つようになったため、前世代とは単純な比較がしづらくなりました。

Pコアはこれまでと同じCove系アーキテクチャで、これのコア数は基本的に変わっていませんので、Eコアの分が性能向上に大きく影響した訳ですが、EコアはPコアほどのパワーはありませんから、コア数だけでは性能比は分からなくなったということです。また、シングルスレッド性能も大きく向上していますので、最早コア数の比較には意味がないといっても過言ではないでしょう。

ただし、表にある通り、Eコアを持つのはCore i5-12600K / KF以上の上位ブランドだけですので、ご注意下さい。

IntelノートCPUブランド

第12世代

ブランド名i9i7i5i3PenCel
コア数
(スレッド数)
6+8
(12+8)
6+8
(12+8)
/6+4
(12+4)
/4+8
(8+8)
/2+8
(4+8)
4+8
(8+8)
/4+4
(8+4)
/2+8
(4+8)
2+8
(4+8)
/2+4
(4+4)
1+4
(2+4)
1+4
(1+4)
HTT×
TB×


第11世代

ブランド名i9i7i5i3PenCel
コア数
(スレッド数)
8(16)8(16)
/6(12)
/4(8)
6(12)
/4(8)
4(8)
/2(4)
2(4)2(2)
HTT×
TB×


第10世代

ブランド名i9i7i5i3PenCel
コア数
(スレッド数)
8(16)8(16)
/6(12)
/4(8)
4(8)2(4)2(4)2(2)
HTT×
TB××


  • 第12世代Coreの"+"はPコア + Eコアを表しています。特に第12世代Core i5は、Core i5-12600K / KFだけがEコアを持ち、その他のCPUは持ちませんので、ご注意下さい。
  • 第11世代Coreには、Core i3Celeronは存在しません。


大まかな傾向はデスクトップ向けCPUと同じです。代を経るごとにコア数やHTT(ハイパースレッディング)TB(ターボブースト)などの機能が下位ブランドにも搭載されるようになるなど、少しずつ強化されてきています。

ただ、ノート向けCPUには厄介な点が存在します。それは同じブランドでもコア数、スレッド数が異なるモデルが多く存在することです。高性能CPUほどコア数が多いという原理原則に変わりはないのですが、プロセッサナンバーだけでは判別しきれませんので、個別にしっかりと確認する必要があります。

特に第12世代Eコアの追加という大きな変化があったからか、ラインアップがかなり複雑化してしまいました。Core i7はPコア、Eコアの組み合わせが4種類もあって、最低スペックのPコア2 + Eコア8Core i3の上位モデルと同じ数ですから、性能面でのブランドの逆転があってもおかしくはないのです。

また、デスクトップ向けCore i5-12600K / KF以上にのみEコアが搭載されていますが、ノート向けの方は最低クラスのCeleronに至るまで、全てのCPUにEコアが載っています。ただ、トータルのコア数ではノートPCの方が多いように見えますが、実はPコア数に関してはどのブランドでもデスクトップ向けの方が上です

big.LITTLE(CPU内に高性能コアと高効率コアの2種類のコアを持って適切に処理を振り分ける技術)は電力効率を上げるための技術ですから、バッテリーや熱の問題を抱えやすいノート向けCPUにはうってつけといえます。逆に、そういった問題が相対的に小さいデスクトップ向けCPUは、Pコア優勢でパフォーマンスを追求する方がユーザーのメリットが大きいという考えなのでしょう。

AMDブランド

こちらもまずは、直近3世代の各ブランドのコア数SMT(同時マルチスレッディング)の有無、クロック周波数のブースト機能の有無を見て頂きますが、お話しした通り、AMD内蔵GPU(iGPU)のあるものをAPU、ないものをCPUと呼んで区別していますし、デスクトップ向けノート向けがありますので、それぞれに分けて解説していきたいと思います(ただし、現在のところ、ノート向けCPUは存在しません)。


AMDデスクトップCPUブランド

第4世代(5,000番台)

ブランド名Ryzen 9Ryzen 7Ryzen 5Ryzen 3Ath
コア数
(スレッド数)
16(32)
/12(24)
8(16)6(12)--
SMT--
Boost--


第3世代(3,000番台)

ブランド名Ryzen 9Ryzen 7Ryzen 5Ryzen 3Ath
コア数
(スレッド数)
16(32)
/12(24)
8(16)6(12)
/6(6)
4(8)-
SMT○/×-
Boost-


第2世代(2,000番台)

ブランド名Ryzen 9Ryzen 7Ryzen 5Ryzen 3Ath
コア数
(スレッド数)
-8(16)6(12)
/4(8)
4(4)-
SMT-×-
Boost--


同じ世代同士で見ると、AMDブランドの格の差 = コア数の差というのがはっきりと分かります。

最上位ブランドのRyzen 9は、第3世代となるRyzen 3000シリーズで登場し、ハイエンドCPU並のコア数でライバルIntelを圧倒しました。AMDマルチスレッド性能Intelを突き放したからこそ、Intelもそれに追従せざるを得なくなった訳ですから、その意義は非常に大きかったといえるでしょう。

第4世代となるRyzen 5000シリーズは、販売当初から新モデルが加わる2022年の4月まで4モデルのみという寂しいラインアップでしたが、当時のライバルであった第10世代Intel Coreシングルスレッド性能でも勝利を収めるなど、躍進を遂げる世代となりました。

Intelは、第11世代でもシングルスレッド性能で何とか追いつくのがやっとで、第12世代ではシングルスレッド性能こそ突き放しましたが、マルチスレッド性能ではようやく互角といった有様でしたので、いかに第4世代Ryzenが優れていたかがお分り頂けるかと思います。

AMDデスクトップAPUブランド

第4世代(5,000番台)

ブランド名Ryzen 9Ryzen 7Ryzen 5Ryzen 3Ath
コア数
(スレッド数)
-8(16)6(12)--
SMT---
Boost---


第3世代(4,000番台)

ブランド名Ryzen 9Ryzen 7Ryzen 5Ryzen 3Ath
コア数
(スレッド数)
-8(16)6(12)4(8)-
SMT--
Boost--


第2世代(3,000番台)

ブランド名Ryzen 9Ryzen 7Ryzen 5Ryzen 3Ath
コア数
(スレッド数)
--4(8)4(4)-
SMT--×-
Boost---


AMDコードネーム第1世代Ryzen APU第2世代Ryzen CPUの下位クラスという位置付けにしたため、世代の数字がズレたとお話ししましたが、第2世代Ryzen APUミドルクラスRyzen 5までのラインアップで、上位ブランドは入りませんでした。

第3世代Ryzen APUではRyzen 7が追加されましたが、現在の最新世代である第4世代Ryzen APUでもRyzen 9はありませんので、やはりAPUはパワーを追求するコンセプトを持ってはいないようです。

高いCPU性能を必要とする代表的な用途といえばゲームですが、その場合はGPUにより高い性能が求められますので、はっきりいうとiGPU(内蔵GPU)は不要です。逆にノートPCの場合は、そもそもゲームに不向きですからグラフィックボードは不要で、iGPUで充分なことがほとんどです。

そう考えるとデスクトップ向けAPUが非常に中途半端に思えますが、現実的にはゲーム以外の用途では最新のRyzen 5ほどのパワーがあれば大体のことはできますので、用途次第では充分に選ぶ価値のあるプロセッサといえます。

AMDノートAPUブランド

第5世代(6,000番台)

ブランド名Ryzen 9Ryzen 7Ryzen 5Ryzen 3Ath
コア数
(スレッド数)
8(16)8(16)6(12)--
SMT--
Boost--


第4世代(5,000番台)

ブランド名Ryzen 9Ryzen 7Ryzen 5Ryzen 3Ath
コア数
(スレッド数)
8(16)8(16)6(12)4(8)-
SMT-
Boost-


第3世代(4,000 / 5,000番台)

ブランド名Ryzen 9Ryzen 7Ryzen 5Ryzen 3Ath
コア数
(スレッド数)
8(16)8(16)
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6(12)
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/4(4)
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SMT○/×○/×○/×-
Boost-


スペースや熱の関係でノート向けプロセッサにこそiGPU(内蔵GPU)が必要になるのですが、ご存じの通りRyzen CPUにはiGPUがありませんから、AMDのノート向けCPUにはほぼ全てこのRyzen APUが使われています。よって、デスクトップ向けRyzen APUのようなRyzen CPUの下位ブランドといったニュアンスはノート向けにはありません。

デスクトップ向けRyzen APUにはなかったRyzen 9第3世代からラインアップに加わりましたが、コア数はRyzen 7と同数ですので、CPU性能に大きな差はありません。ただし、表にはありませんが、iGPUのコア数には差があります

また、AMDコードネームでもお話ししましたが、第3世代第4世代にはコードネームの異なる2つの世代が混在しています。特に第3世代の方は与えられた数字も異なりますので、注意が必要です。

TDPとサフィックス

TDP(Thermal Disign Power: 熱設計電力)とは、設計上どれくらいの発熱量になるかの目安のことです。ただ、半導体においては、消費電力と発熱量は比例関係にありますので、TDPは最大消費電力と似たような意味も併せ持ちます。単位W(Watt : ワット)で表されます。

また、消費電力 ≒ 発熱量は、性能とも比例関係にあります。よって、消費電力を上げればCPU性能を高くすることができますが、発熱もまた膨れ上がってしまうため、CPUクーラーによって冷却する必要があるのです。その際、どれくらいの冷却性能が必要かを知るために、TDPという指標があるという訳です。

TDPはCPUごとに設定されていますが、バラバラに決められている訳ではありません。デスクトップ向けノート向けそれぞれに高性能、高消費電力タイプ低性能、低消費電力タイプバランスタイプなど3~4種類ほどタイプがあって、グループを構成しています。

性能の高い上位ブランドほど高TDPになりそうと思われるかもしれませんし、実際そういった傾向はあるにはありますが、実は各ブランドごとにTDPの違うモデルが存在します。よって、下位ブランドの高TDPモデルが上位ブランドの低TDPモデルを性能で上回ることも珍しくはありません

また、TDPはCPUの開発コードネームサフィックス(末尾のアルファベット)とも深い関係があります。そのあたりのことを、IntelAMDに分けてお話ししたいと思います。

Intelサフィックス

早速、最新世代であるAlder Lake(第12世代)開発コードネーム、サフィックス、TDPの一覧を示します。

開発コードネームサフィックスTDP
Alder Lake-SKS / K150W / 125W
無印65W
T35W
Alder Lake-HH45W
Alder Lake-PP28W
Alder Lake-UU9W or 15W

まずはデスクトップ向けについてです。開発コードネーム自体は1種類のみ(ハイエンド向けを含むと2種類)ですが、OC(オーバークロック)可能な末尾K125W(特別モデルの末尾KSだけ150W)、通常モデルの末尾なし(無印)65W、低消費電力の末尾T35Wと基本はこの3種類に分けられています。ただ、コアの数が少ないからか、Core i3以下のブランドでは無印のTDPが少し引き下げられています

上記の例はAlder Lake世代ですが、開発コードネームは1つにまとめられながら、サフィックスによるTDPの違いがあるのがIntelの歴代デスクトップ向けCPUの特徴です。


続いて、ノート向けについてです。基本的にはデスクトップ向けと同じく数種類に分けられていますが、Alder Lake世代では高性能な末尾H(最上位モデルのみHK)45W、通常モデルの末尾P28W、低消費電力の末尾U9W または 15Wとなっています。

デスクトップ向けとの違いは、TDPごとに個別の開発コードネームがあるという点にあります。そして、コードネームのハイフン以下の文字をサフィックスに使うという命名規則を採用している点も違いの一つです。

廃熱処理に余裕のあるデスクトップPCに対して、ノートPCにはその余裕がほとんどありません。だからこそ、TDPで細かく分類して充分な冷却性能を確保できるよう設計されている訳です。よって、廃熱が追い付かずパワーが発揮できない、あるいは常にファンが轟音を発しているなど、快適な利用が難しくなることを避けるためにも、安易に小型ケース + 高性能CPUという組み合わせを選ばないように注意して頂きたいと思います。

AMDサフィックス

AMDの開発コードネームはIntelとは異なり、CPUAPUで分けて付けられます。さらに、APUの方はデスクトップ向けノート向けがありますが、コードネームは共通です。

また、何度もお話ししていますが、AMDのプロセッサは世代、数字にズレがありますので、横並びにしても仕方がない側面もあるのですが、それぞれの最新世代の開発コードネーム、サフィックス、TDPの一覧を以下に示します。

開発コードネームサフィックスTDP
Vermeer
(第4世代CPU)
-105W, 65W
Rembrandt
(第4世代デスクAPU)
無印65W
E35W
Rembrandt
(第5世代ノートAPU)
HX, H45W
HS35W
U15-28W

第4世代RyzenデスクトップCPUに関しては、Intel同様、サフィックスとTDPはあまり関係ありません。現在のところ、Ryzen 7 5800X以上の上位モデルが105W、それ未満のCPUが65Wとなっていますので、単純にパワーによって分けていると考えて良さそうです。

ただし、旧世代までは上位モデルにも低TDPモデルはありましたので、基本的にはIntelと同じく、TDPにより各ブランドにバリエーションを生み出す方針なのかもしれません。


第4世代RyzenデスクトップAPUのサフィックスとTDPの関係性は、非常にシンプルです。

まずデスクトップAPUにはGのサフィックスが必ず付きますが、これがいわゆる無印のポジションとなります。TDPは65Wです。

そして、低消費電力モデルにはさらにEが付いてGEとなります。TDPは35Wですので、この2種類のTDPはIntelデスクトップCPUと同じ設定ということになり、かつこれまでの全世代でこの規則は変わっていません。この分かりやすさがデスクトップAPUの特徴です。


最後に第5世代RyzenノートAPUに関してですが、これもIntelに近い仕様となっています。高性能な末尾H(OC可能モデルはHX)45W、通常モデルの末尾HS35W、低消費電力の末尾U15-28Wとなっています。