PCは熱に弱い電子機器ですから、排熱に難のある小型PCやノートPCはあまりおすすめできません。まして、CPUもGPUもフル稼働になりがちなゲーミングPCとなると、なおさらです。
よって、ゲーミングPCの第一候補は、大型ケースのデスクトップPCということになるのですが、様々な事情によりノートPCでなければならないという人もいることでしょう。
そんな人のために、ここではゲーミングノートPCに関して知っておいて欲しいことについて、お話ししようと思います。
また、各GPUを搭載したBTOゲーミングノートPCを構成を変えながら比較することもできますので、是非有効活用してください。
ここではG-Tune(マウスコンピューター)、LEVEL∞(パソコン工房)で販売されているBTOゲーミングノートPCの価格を簡単にチェックできるシステムを公開しています。
フィルタータブから構成を選ぶことでモデルを絞ることができますので、お得なモデルを知るのに役に立つかと思います。
ここではゲーミングノートPCを選ぶ上でのポイントなどについてお話ししたいと思いますが、基本的な選び方はゲーミングデスクトップPCと同じです。以下のページでお話ししていますので、是非ご一読ください。
GPUの性能については以下のページでお話ししています。
CPUの性能については以下のページでお話ししています。
・ゲーミングPCに最適なCPUとは?最新おすすめゲーミングCPUランキング
ここからはノートPC特有のポイントに焦点を当てた選び方について、お話しします。
デスクトップPCと比べてのノートPCのメリットといえば、コンパクトで持ち運びが可能という点に尽きるでしょう。性能やコスパで劣り、耐久性にも不安があるノートPCですが、そのメリットだけで十分考慮するに値します。
ただし、ゲーミングノートPCとなると、このメリットが薄れてしまうのです。
その理由は熱対策です。ゲーミングノートは、それなりに高性能なグラフィックボードやCPUを積んでいるものですが、これらの熱源を冷却するためには、どうしても大掛かりな装置が必要になってしまうのです。その結果、筐体は大型化して重くなってしまうため、持ち運びにはあまり向かないのです。
また、これと関連して、冷却ファンの音などもうるさくなってしまいます。
ですので、ゲーミングノートPCをモバイル機のようにいつでもどこでもサッと取り出せて、すぐに作業に入れるマシンと考えると痛い目を見ることになるでしょう。どちらかというとデスクトップPCとノートPCの悪いところ取りくらいの認識でいる方が健全です。
早速ですが、当サイトでご紹介しているBTOゲーミングノートPCで採用されているGPUの性能に関するデータをご覧いただきます。
GPU | FHD: 平均フレームレート |
---|---|
RTX 4090 | 243.2 |
RTX 4080 | 214.2 |
RX 7900 XTX | 212.8 |
RX 7900 XT | 193.1 |
RTX 4070 Ti | 187.1 |
RTX 4090ノート | |
RX 7800 XT | 156.5 |
RTX 4070 | 153.5 |
RTX 4080ノート | |
RX 7700 XT | 138.1 |
RTX 4060 Ti 16GB | 119.9 |
RTX 4060 Ti 8GB | 119.5 |
RTX 3060 Ti | 106.4 |
RTX 4070ノート | |
RTX 4060 | 96.0 |
RTX 4060ノート | |
RX 7600 | 94.0 |
RTX 3060 | 81.3 |
RTX 4050ノート | |
RTX 3050 | 59.1 |
GTX 1660 SP | 54.5 |
RX 6500 XT | 35.0 |
上記の表は、前述のゲーミングPCの選び方でお話ししたデスクトップ向けGPUのFHD(1080p)解像度におけるフレームレートのデータで、これにGPU(グラボ)比較&ランキングのデータを加味したものとなります。複数のデータが合わさったものですので精度は余り高くないかもしれませんが、大きく外れてもいないはずですので十分参考になるかと思います。
さて、ゲーミングPCの最低限の条件といっても良いFHD: 60fpsですが、GeForce RTX 4050ノートでも何とかクリアしています。よって、グラフィックへのこだわりが余りない人は、この辺りを目標とすると良いでしょう。
次にもう一つの目安としてはFHD: 120fpsが挙げられるかと思いますが、GeForce RTX 4080ノートならば少し余裕を持ってクリアできます。
とはいえ、120fpsにもなると多少フレーム落ちしても全く問題はありませんから、価格を重視するのであればGeForce RTX 4070ノートというのも選択肢の一つとなるでしょう。
ただ、GeForce RTX 4070ノートはGeForce RTX 4060ノートとの性能差がほとんどありませんので、強みのないGPUといわざるを得ません。コスパ重視ならば多少能力は落ちても後者の方をおすすめします。
ストレージについては、以下のページも参考にしてください。
高速なSSDと大容量なHDDという王道的ストレージ構成も、近年のSSDの低価格化により崩れ去り、現在は1TB以上のSSDのみの構成で必要にして十分です。
さらに、従来のSATA接続タイプのものから高速なPCIe接続タイプのものが主流となり、ストレージはここ数年で一気に世代が変わったという印象です。
ただ、SSDに関してはSATA接続タイプでも十分に速く、またPCIe接続タイプは発熱量も大きいため、ノートPCにはやや不向きである点は忘れてはならないでしょう。
とはいえ、問題になるというほどではありませんし、何よりBTOではSATAタイプが選択できないモデルも増えてきましたので、気にしても仕方がないという状況です。よって、無理にSATAタイプを選ぶ必要はないのですが、逆に最新の最速規格もまた大きなメリットがありませんのでおすすめはできないというのが率直な評価です。
後は好みの問題ですので、価格次第では最速規格も悪くはありません。
ディスプレイについては、以下のページも参考にしてください。
ノートPCにはディスプレイが付いていますが、CPU同様交換ができない、あるいは難しいパーツですから、最初にしっかりと考えておく必要があります。
画面が大きい方が迫力も増しますし、何より細かい部分が大きく見えますので、見やすくなる点は確実にメリットとなります。
しかし、ディスプレイの大きさは、イコール筐体の大きさでもありますので、大きいほど持ち運びが難しくなってしまいます。これはデメリットといえるでしょう。
小型ノートPCの場合は、持ち運ぶのには便利ですが、視認性と熱問題で悩まされるかもしれません。画面が小さいため見にくいのと、筐体が小さいため熱がこもりやすいからです。
画面のサイズの基本は、やはり15インチでしょう。そして、もう少し大きな画面が欲しい人は17インチになると思います。
画像のキメの細やかさは、解像度で決まります。
一般的なノートPCでもフルHD(1920x1080)のものが増えてきましたが、ゲーミングノートPCではもっと高精細なディスプレイを採用するモデルも多くあります。
FHDは最低条件としても、4K(3840x2160)までいくと視認性が落ちてしまいますので、自分の目に合った解像度を選ぶことが重要です。
解像度は設定で変更することも可能ですが、拡大縮小処理により画質が落ちることもありますので、設定を変えなくても綺麗に見えるバランスを知っておきましょう。
パネルの種類とは駆動方式の違いをいうのですが、TN方式、VA方式、IPS方式などがあります。
一般的にはTN方式は安いけれど視野角が狭い、VA/IPS方式は高いけれど視野角が広いという評価が良く知られているかもしれません。確かに普段使いも含めて、できれば後者の方がおすすめではあるのですが、ゲーミング用途の場合は少し異なる部分もあるのです。
それは応答速度です。応答速度とは、ドット(画面の最小単位となる点)がある色から別の色に変わるまでに掛かる時間のことをいいますが、応答速度が遅いものほど、ブレや残像が目立つようになるのです。これは、特に動きの激しい映像で顕著になります。
応答速度は、TN方式が最も高速です。そのため、わずかな反応の遅れも許されない本気のFPSゲーマーなどは、TN方式一択なのです。
また、コントラスト(白と黒の明るさの比率)はVA方式が最も得意としますが、ノートPCにVA方式が採用されることはあまりありませんので、実質TNかIPSのどちらかになるかと思います。
よって、IPSを基本として、動きの大きなゲームをプレイする場合にTNも考慮に入れる、という選び方がセオリーでしょう。
表面処理には、グレアとノングレアの2種類が存在します。
グレアはツルツルな表面で綺麗で鮮やかなのですが、光の反射が激しいため、映り込みも起こりやすく、それが故に目の疲労度も大きいといわれています。
ノングレアはザラザラな表面で発色は地味ですが、映り込みも少なく、目が疲れにくいので、特に長時間プレイする人やテキストを扱う作業を行う人などにはおすすめです。
結局は個人の好みの問題ではあるのですが、1日1,2時間、映画を観るようにゲームを楽しみたい人以外は、ノングレアを選んでおけば間違いはないでしょう。グレアで失敗したと思うことはあっても、ノングレアで失敗したと思うことは、まずないからです。
最初にお話しした通り、ディスプレイはノートPCと一体となっていますので、交換が非常に難しいハードウェアです。
にもかかわらず、使用感に直結する重要なハードでもありますので、しっかりと理解して選んで頂きたいと思います。
ただ、ほとんどのノートPCには外部出力がありますので、大きなディスプレイを用意して、そちらに表示させることも可能ですし、むしろマルチディスプレイは利便性も格段に向上しますので、おすすめしたいくらいです。
とはいえ、これでは携帯性が落ちますし、移動先ではシングルディスプレイになってしまいますから、ノートPC内のディスプレイにもこだわりたいところです。